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『マツノキ』の依頼です9



 ヒツギたちに、壊れた土壁の向こうから様子を伺う兵士たちの対応を任せて、俺とマナは穴の中を見に行くことにした。

 マナのアイスロードで凍った壁面を、マナを肩車して降りていく。先ほどの爆発のおかげか、砕けた壁面が凍り付き、ところどころ足場のようになっていたから特に苦労せずに降りることができた。『空蹴り』で適度に勢いを殺しながら降りていく以上、どこかで着地しないと回数が減っていく一方だったのだ。レベル分、9回しか使えないとなると、穴がどこまで続いているかわからない状態で下手に使えなかったからな。

 先ほどの爆発の影響か、穴の底からは煙が上がっていた。マナの魔法で俺達を避けるようにしているが、煙のせいで底が全く見えない。これがなければもう少し楽になりそうなんだが……。


『スキル:空蹴りがLvMAXになりました。 』


 そんなことを考えていたら『空蹴り』のレベルが上がった。これで余裕は1回分増えたことになるが、今も4回とか5回蹴ったら足場についていたし、特に変わらないかな。正直、こんなタイミングでレベルアップするなら、数回分くらいオマケでさっきレベルが上がってくれればよかったのに……。


「メイ、氷が穴の底についたみたい。もうすぐだよ」


「底の様子はわかるか?」


「さすがにそれは無理。熱で探知しようにもまだ冷え切ってないからできないし」


「暑そうか?」


「耐えられないほどじゃないかな。先に冷やす?」


「マナが大丈夫ならいいよ」


「じゃあ冷やすね。ちょっと次の足場で止まってくれる?」


「いや、大丈夫じゃないのかよ」


「暑いの苦手なんだよね。まあちょっと我慢すればいいくらいの暑さなんだけど、汗でスケスケになっちゃうかも」


「今すぐ冷やせ」


「見たい?」


「どうでもいい」


「見る?」


「見ない」


「いやん」


「はっ」


「鼻で笑うなぁ!」


 そんな風に話しているうちに、次の足場を見つけた。勢いを殺してその足場に着地すると、折れないように『クエイク』でさらに足場を生やして補強する。


「降ろして」


 マナに言われるまま足場に降ろすと、マナは杖の先端を穴の奥に向ける。そしてまた新しい魔法を使い、杖の先端をくるくるとまわし始めた。どんな魔法なのかまったくわからないけど、冷やすと言っていた以上は氷か風の魔法なんだろう。


「これくらいでいいかな。もう大丈夫だよ。ついでに煙も散らしちゃったから見やすくなったはず」


「ありがとな。じゃあ行くか」


「すぐに底が見えてくるよ。勢いをつけすぎないでね」


「了解」


 俺はマナを肩に担いで足場から飛び降りる。扱いが不服であると叩いて伝えてくるマナはどことなくヒメに似ていなくもないな。


 マナが言っていた通り、すぐに穴の底が見えた。一応周囲に『魔力盾』と『ダークネスシールド』を展開して床に降りるが、特に何かがくるようなことはなかった。『探知』にも反応はないし、『罠察知』の反応もない。

 俺達2人以外は誰もいないこの空間は、さっきの爆発がここで起こったことを示すようにすべてのものが壁際に寄っていた。叩きつけられた机や椅子は砕け、ガラスの破片もあちこちに飛び散っていた。あまり広くない部屋ではあるのだが、かなりの物が置いてあったようだ。


「あんまり見たくはないけど、彼女も見つけられたね」


 俺が壁際に落ちている焦げた書類などを見ていると、マナが遺体を発見した。すぐにマナの方へ行き、その遺体をいったん『クエイク』で隠した。爆発に間近で巻き込まれた彼女は見るも無残な様子になっていた。焼いて埋葬するのは後だ。


「彼女はここに逃げ込んでどうするつもりだったんだろうね? どこかに通じているような場所もないし、完全に袋小路だと思うんだけど」


「隠れて様子見ってのはさすがにないだろうしな。ゾンビたちは全員倒したし、兵士たちも問題なく入れるようになった。そうなった以上、あの地下空間は詳しく調べられるだろうから、ここもすぐにばれるだろう」


「何かをとりに来たとか? 転移で逃げるための物とか」


「そんなものがあるように見えるか?」


「見えないね。何かの研究が行われていたのはたしかなんだろうけど、書類はほとんど燃えちゃってるね」


「もしかするとこれらを破棄しに来たのかも」


「ありえるね。あ、この辺りは若干燃えずに残ってるよ」


 話しながら部屋中を漁っていると、数枚の燃え残った書類を見つけた。たまたま他の物の下敷きになったおかげで燃え残ったようだ。


「メイ、これって……」


 書類を読み進めていたマナの顔色が変わった。そして震える手で書類を渡してきた。


「……クローン人間の資料?」


「ただのクローン人間じゃなくて、強化クローンって感じ。その資料を見てる限りだと、劣化クローン自体はできても強化はうまくは行ってないみたいだけど、彼女は失敗したクローンの強化をしてたみたい」


「つまり、あのゾンビたちはクローンの失敗作ってことか?」


「そう考えれば納得はできるよね。私たちが来る前にもかなりの数を兵士が倒してるみたいだし」


「それを強化した結果があの合体ゾンビか。何をやればあんな能力を持たせられるんだよ」


「それは私も気になるけど、見てほしいのはそこじゃなくて、クローンを作るのに使われた人のところ!」


「人? ……なんの冗談だ?」


「冗談じゃ済まないからこうやって言ってるの。確か闇ギルドの討伐に向かったのって昨日だよね? このクローンたちの所属って、その向かった闇ギルドじゃない?」


「奇襲をかけるために転移で近くの町まで行くって言ってたし、もう戦闘が終わってても全然おかしくないぞ」


「私たちに」


「できることはない。俺たちは別になんでもかんでもできるわけじゃない。できるのは無事に討伐が終わることを祈るだけだ」


「……ジョーさんはユウカと同じSランクの冒険者だもんね。いくつかのギルドが協力してって話だし、他にもたくさんの高ランク冒険者が一緒に向かってるはずだよね」


「きっと何事もなかったように勝つって。あの人は強いから」


 その後、部屋中をくまなく探してみたものの、読むことができた書類はマナが見つけた数枚だけだった。少ないけど本や巻物もあったが全滅だった。爆発の後に噴き出した炎が完全にトドメだったわけだ。

 その後、俺達は彼女の遺体を火葬して上で待つヒツギたちのところへ戻った。


 俺たちが見つけた書類。それに書かれていたクローンの素体。その名はあのヴァンハルトだった。




どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50)

有効職業

 聖???の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70

 重戦士 Lv62/70   剣闘士 Lv49/60

 龍人  Lv10/20  精霊使いLv17/40 

 舞闘家 Lv29/70  大鬼人 Lv11/40 

 上級獣人Lv7/30  魔導士 Lv23/90

 死龍人 Lv1/20

非有効職業

 魔人  Lv1/20 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80 』

前話に引き続き、遅くなり申し訳ありませんでした。

夜勤からの歯医者からの確定申告失敗と続いてしまい、書けませんでした。


あと、前話がナンバリングミスしてましたね。7が2回続いていました。既に修正済みですよー。


ではまた次回。

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