『マツノキ』の依頼です7
リッチソルジャーたちが発していた音が突然重低音に変わり、それに合わせて、地面を這っていた6体のゾンビが1点に集まり、1体のゾンビに変わった。
ゾンビ6体分が集まってできたその個体は、肉がぎゅっと押し固められたように、元のゾンビよりも少し大きいくらいのサイズしかなかった。しかし、腕や足、胴の太さは先ほどの倍くらいあり、よく見ると目が複数ついており、見えるだけで3対ある。後ろにもあると思っていいだろうな。
合体ゾンビは両腕をどんと地面に叩きつけた。それだけなのに地面が揺れ始める。単純にパワーは上がっているのだろうけど、これはそれだけではなさそうだ。
合体ゾンビは右腕と左腕を交互に打ち付け始めた。そのたびに揺れが激しくなり、次第に地面が波打つように動き始める。武器がかなり重く、バランスのとりづらいヒツギはかなりふらついていた。
「ロストバイブレーション」
マナが杖を地面につけて魔法を使うと、そこを中心に揺れが収まっていく。合体ゾンビが追加で何度地面を打ち付けてもそれ以上揺れが起こることはない。
「さすがマナ」
「ごめん、集中しないと結構きついの」
合体ゾンビが腕を叩きつけるのをやめないせいで魔法を止められないマナは額にうっすらと汗をにじませながらヒツギの声に応える。2体のリッチソルジャーたちの発する音が力を与えている可能性は高そうだ。
「『小規模ワープ』『鬼の一撃・付与』『不死殺し』『ダークナックル・纏』」
俺は一気に終わらせるべく、合体ゾンビに近づいてその顔面を殴りつけた。
「重!」
完璧に頬を捉えたはずの拳は首を跳ね飛ばすどころか、頭を多少傾けさせる程度で止まり、その頭を振る反動で俺は元の位置にまで飛ばされてしまった。何というか、地面にしっかりと根を張った大木を殴ったような感じで、合体ゾンビを浮かすには『竜化』か『強鬼化』でもしないと厳しそうだ。黄龍は俺の髪の毛をがっしり掴んでいたから振り落とされなかったようだが、俺の髪がいくらか犠牲になった。痛い。
「あいつ重すぎる。とてもじゃないが6体分じゃ済まないぞ」
「そこはあの女か、リッチソルジャーたちが何かしてるってことなんだろうね。戦闘開始からほぼずっと歌い続けてるのに魔力がきれる様子がないってだけでも脅威なのに」
「しかし、お主が殴り飛ばせないほど堅いとなると、刀を通すのも苦労しそうじゃの」
「あれは相性的に俺とヒツギでやるよ。ユウカはリッチソルジャーを頼む」
そう話しているうちにも合体ゾンビは動きだしていた。ゴリラのように両腕を使って疑似四足歩行とでもいうような走り方で向かって来る。大きさ的にはダンジョンのボスの方が圧倒的に大きいのに、その圧倒するような威圧感はぜんぜん負けていなかった。
「……クエイク!」
キャラビーが足止めにクエイクを使った。高さは膝程度で、それを避けるために宙に浮いたところを狙えると思ったのも束の間、そんな土壁など関係ないというように合体ゾンビはそれを粉砕して突き進んでくる。
ヒツギが重ねた棺桶を合体ゾンビに向けてフルスイングする。合体ゾンビも対抗するように両手を重ねて棺桶にぶつけてきた。棺桶と腕がぶつかり、拮抗したのは数秒で、ヒツギが右の棺桶だけを切り離して1周くるりと回して棺桶に叩きつけた。棺桶が片方になったわずかの時間だけ押し返していた合体ゾンビは、その追撃で逆に押し返される。しかし、ヒツギの棺桶でも持ち上げるにはパワーが足りず、少し後ろにさげる程度しかできなかった。
先ほど地面を揺らしたように、両腕を地面に叩きつけた合体ゾンビが声にならない叫び声をあげた。今度はマナが魔法で抑えているわけでもないのに地面が揺れることはなかった。いつまで経っても地面が揺れないことが不思議なのか、両腕で交互に地面を叩く。しかし、地面は揺れなかった。
合体ゾンビが地面を打ち付け続ける奥では、地面から3種のトゲで串刺しになったリッチソルジャーの1体を切り刻んでいた。切れた腕が戻っていく様子も見えるが、ユウカの切り刻むペースがそれを上回っており、最終的に完全に切り殺していた。
また、もう1体はもう1体でマナと魔法の撃ち合いになっていた。リッチソルジャーの放つ魔法をマナがひたすら相殺し、隙を見て魔法を撃ちこむ。ここから見える限りだとマナの方が優勢に見えるが、ちらちらと女の方に視線を向けているのを見ると、あまり余裕はないのかもしれない。
いくら地面を叩き続けても何も起こらないのに我慢できなくなったのか、合体ゾンビはあきらめてこちらに突進してきた。頭上で棺桶を振り回し続けるヒツギじゃなくて俺の方に来るのは想定通りだった。俺は『強鬼化』でパワーを上げて迎え撃つ。
「黄龍、動きを止めるからよろしく」
「まかせるのだ!」
勢いをつけてとびかかるように向かって来る合体ゾンビを、『不動明王』と『ダークナックル・纏』を上乗せして受け止める。勢いと重さがすごいが、『不動明王』を超えられるパワーではなく、合体ゾンビと両手を合わせるようにして受け止めた。
「やぁあ!」
頭の上から黄龍が雷の砲弾を放った。俺が抑えているから逃げ場のない合体ゾンビの頭を一部抉り、地面で破裂した。抉れた頭から血が垂れることはなく、そこを補うように肉が動いて傷口を埋めていく。
「ひぃぁあああ!」
その様子に悲鳴を上げながら黄龍が雷砲弾を連発する。1発1発が確実に頭を抉るが、抉れた端から肉が蠢いて傷口を塞いでいく。少しだけパワーが緩んだような感覚があるから、完全にダメージがないわけではないのだろう。
「黄龍、俺の魔力を喰いまくっていいからこいつを削りきれ! 我慢比べだ!」
「みゃあぁああああ」
涙を流して悲鳴を上げながら黄龍は言われた通りに手を休めず撃ち続ける。ガンガン魔力を喰われながら合体ゾンビを抑える身としてはつらくはあるが、俺は合体ゾンビをつかむ力をさらに強めた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
平日に書く余裕がないとやっぱきついですね。
感想返しも遅くなってしまいました…。ひ、久しぶりに感想いただいて返すのを忘れていたわけじゃないですよ? ほんとですよ?
ではまた次回




