『マツノキ』の依頼です5
新年あけましておめでとうございます(遅)。
今年もよろしくお願いします。
兵士の一人に案内されて実際の現場に向かっているわけだが、近づくにつれて、腐敗臭と呼べる匂いが漂ってきた。『善の洞穴』などである程度慣れてはいるが、やはり好んで嗅ぎたい匂いではないな。
実際に現場までやってくると、例のボスゾンビがいる広場の入り口に向けて兵士が槍を構えている状況だった。しかし、今まさにゾンビが向かってきているというわけではなく、ただ単に警戒で構えているだけなんだそうだ。これまでは柵を使っていたそうだが、夜中の戦闘で壊されてしまい、残ったのが上級アンデッドのみになったことで方法を変えたんだとか。魔法を使える兵士も交代で待機しており、常に2人以上は魔法を使える状態で警戒に当たっているらしい。
屋敷の地下は、今降りてきた階段から数m通路が伸びており、その先に小部屋、そしてその奥にアンデッドたちがいる広場がある作りになっていた。小部屋と言っても、10対10程度の人数で戦闘ができるくらいの広さはあり、アンデッドたちが入り口からまっすぐに通路に向かったとしても、誰かしらが抑え込めるだろう。
「お前ら、依頼を受けてくれた冒険者が来たぞ。状況は?」
「夜中の戦闘の後、ボス、アンデッドともに動きはありません。ずっと後ろを向いて座り込んだままで。不気味なほどおとなしいままです」
「これくらいおとなしいのは珍しいんですか?」
「下級のアンデッドがいた間はほどほどに向かって来るアンデッドがいましたので」
「中を見たいのでいったんどいてもらえますか? 念のため全員下がってください」
「はっ!」
俺たちはそれぞれの武器を構えながら兵士と場所を変わった。黄龍は呼んですぐに俺の頭の上にちょこんと座り込み、アンデッドの姿を見て少し涙目になっていたが、今回は頑張ってもらうぞ。
兵士がいなくなったことで、アンデッドたちの様子が見えるようになったが、聞いていた通り、30体程度のアンデッドたちが左右の壁際で動くことなく並んでいた。『上級鑑定』で調べてみると、冒険者を素材とした上位種ゾンビたちがほとんどだが、ボスのすぐ側に控える2体は他のアンデッドたちと姿形こそ大差ないが、その種類をリッチソルジャーと言う、また違うアンデッドだ。
「ボスの情報が見えない」
「私も。他のアンデッドたちはみんな鑑定できたけど、ボスにだけ鑑定が通らないね」
「ユウカ、ヒツギ、心当たりないか?」
「隠蔽スキルをもっていることで情報がきちんと表示されないってことはわかるけど、鑑定すら通らないっていうのは聞いたことないね」
「わしもないのう。どれ……」
ユウカの瞳が淡く蒼色の光を放つ。『見透かす瞳』を使ったようだ。
「ふむ……何者かはわかったが、どうしたものか」
「どういうこと?」
「あれはアンデッドではないのじゃ」
「アンデッドじゃなくて、死霊魔法を使うモンスターってこと?」
「あそこにおるのは操られておるただの女なのじゃ。ここではないどこかで操っておる本体がおるはずじゃ」
「魔法で操っているってことは何らかの痕跡があるはずだけど、ここからじゃさすがにわからないかな」
「あいつはできるだけ生け捕りにして、他の奴らを片付ければよさそうか?」
「それができれば、だけどね。ここの兵士の人たちを見てると、誰も怪我をしているようには見えないし、前衛がいて、後衛として魔法使いも常に複数いるそうじゃない? たしかに数は多いけどダンジョンのボス戦ほどじゃないし、わざわざ高ランクの冒険者に依頼として出すほどじゃないと思うんだけど」
「操っている側の練度というか、操る力が強いんだろうな。連携をとってくるのはもちろんとして、特別な能力を持っているかもしれない」
「ボスがいるからこそ呼んだのじゃろうしの。とりあえず中の様子はわかったわけじゃが、どうするのじゃ? 少なくともヒツギの棺桶は振り回せそうじゃぞ」
「そうだね。完全に固定砲台になるだろうなって思ってたからちょっと安心したかも」
「アンデッドの能力はさすがに戦ってみないとわからないからね。今日挑んでも明日に回しても変わらないんじゃない? もともとそのつもりで来てたわけだし」
「罠も見当たりませんし、ここから先制攻撃もできそうですね」
「そうなってくるとどこを狙うべきか悩むな。結構散らばっているし、最初に仕留めたいとなるとまあリッチソルジャーなんだろうけど、ボスを殺さないようにってなったからな」
「残っているのは全員人型のアンデッドだからどいつがっていうのもないからますます悩むね」
「いっそのこと、メイと黄龍ちゃんが左側、私が右側を狙って、向かって来る相手と戦う?」
「それがいいかもな。そういうわけだ黄龍。できるだけ広範囲に、左側のアンデッドにぶっ放すぞ」
「わかったのだ! ちちさまもいっしょ?」
「おう」
「やるのだ!」
「頼りにしてるからね。でも、一応地下だからやりすぎないでね?」
「天井が降ってきましたなんてシャレにならないからな」
「気を付けるのだ」
「これだけ大きな声で話してて聞こえないとも思えないしあんまり期待はできないよな……一応入り口は塞ぐか」
「任せてください。……クエイク!」
キャラビーがクエイクの魔導書を使って入り口を囲う様に壁を作る。下が土ではないから魔力の消費量が通常よりも多いようだが、キャラビーもかなり魔力量は多くなってきているから問題にはならなさそうだ。
「よし。準備はいいか?」
俺の問いかけにみんなが無言でうなずいた。全員で広場ギリギリの位置に立ち、その中でも俺とマナが前に出た。黄龍も戦闘態勢に入り、パチパチと雷を纏いながら宙に浮いた。
マナが持つ杖の先端にどんどん魔力が集まりだした。俺達もいつでも放てるように準備を進める。
「いくよ。煉獄火炎!」
「ぴかぴかごろごろー!」
「『不死殺し』『サンダーブレス』」
左右にそれぞれ攻撃が放たれた。同時に少しでも動けるように俺たちは広場に足を踏み入れる。
「私の創作の邪魔をスルナァァアアアア!」
魔法を放ったからというよりは、俺達が足を踏み入れたことで、ボスの女が奇声を上げながら振り向いた。びりびりと空気を震わすほどの音で、左右のアンデッドたちに迫っていた攻撃がかき消される。俺と黄龍の攻撃は不発に終わったが、マナの魔法はその衝撃を受けたと思われる瞬間にはじけ飛び、その一つ一つがアンデッドに襲い掛かった。マナが作った獄炎魔法は、未だ下を向いたまま動かないアンデッドを8体燃やし尽くした。
女の奇声が収まった瞬間、アンデッドたちが動き出した。すーっと宙に浮かぶ女を守るようにリッチソルジャー2体が続き、左右から無傷の上級ゾンビたち20体が向かってくる。
「黄龍!」
「もういっぱついくのだ! ぴかぴかドラゴン!」
黄龍から6つに分かれた雷が龍を形どって、向かって来るゾンビめがけて襲いかかる。黄龍の放った雷はゾンビを1体ずつ確実に浚い、全身をずたずたにしながら奥のリッチソルジャーたちに方向を変えた。
「「ファァアアアア」」
先ほどの女の奇声とは違い、低音と高音でハーモニーを奏でるように2体のリッチソルジャーが音を出す。口を開けていないのにどこから音が出ているのか疑問ではあるが、6本の雷は2体のかなり手前で方向を変え、壁に飛んでいった。それぞれの雷に浚われたゾンビたちも遅れて壁に激突し、地面に落ちた後も動こうとしていたが筋肉がずたずたになっているのか、腕に力が入らないようで立ち上がれなさそうだった。ゾンビにこういう言い方はどうかとも思うが、まだ生きているみたいだしきっちり止めを刺さないと回復される可能性が高い。
「むにゃー」
うなだれる黄龍に構う暇はなく、俺達は向かって来るゾンビたちに向かいあった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
あけましておめでとうございます!
新年1発目の更新です! 早い人は既に仕事が始まっているでしょう。かく言う自分もその一人…。
今年は予定通りであれば物語が大きく動く一年になると思います。
のんびりだらだら進んでおりますのでいつになるかは未定ですが、応援よろしくお願いいたします。
仕事で年末にやらかしてしまっていたことが発覚しまして、対応に時間がかかりそうということもあるので来週は更新できるか微妙です。完全に自分のミスでした。投稿遅れたらすいません。
ではまた次回




