ジョーさんたちとの話です4
ジョーさんが俺に向かってまっすぐ駆け出した。俺はそんなジョーさん、ではなく、その更に後ろに控えるゴールドさんに『ロックオン』して『ダークランス』を放つ。そして、自分からそれていく黒い槍を訝しげに見るジョーさんにはステュラを振るって『剣閃・十』を放った。
ジョーさんは飛んできた斬撃を走りながら拳で打ち砕くと、勢いを止めずにさらに迫ってくる。
「『ダークソード・纏』『ダークナックル・纏』」
遠距離での攻撃をゴールドさんだけに切り替え、適当に時間差で発射するようにして上空に『ファイア』『エアロ』『アクア』を100発ほど展開したあと、ジョーさんを迎え撃つ準備として右手の剣と左拳に魔法を纏わせた。
「待ってたぜこの時をよ!」
ジョーさんがステュラの届く範囲に入った。その瞬間に俺はジョーさんめがけてステュラを振り下ろした。
ジョーさんはステュラの側面を裏拳で叩いていなしながら、反対の手を突き出してくる。俺も『ダークナックル・纏』で強化した拳で迎え撃つ。魔法を貫いて拳と拳がぶつかる。
拳と拳がが拮抗しているうちに、ステュラをいなした方の手が伸びてくる。俺もその腕を跳ね上げるようにステュラで狙った。それに気づいたジョーさんは慌てて腕を引く。
剣を振り上げた勢いに任せるように地面を蹴り、『空蹴り』で空中を足場にしてジョーさんの顔面に跳び蹴りを放った。避けられないと判断したジョーさんは頭を少し引いてヘッドバットで対抗してくる。動きが止まった一瞬を狙ってジョーさんの手が足を掴もうとするのを見て、俺は『小規模ワープ』で距離をとった。置き土産に
と纏わせていた『ダークナックル』と『ダークソード』を飛ばしておいたが、2つとも殴り消されるのが見えた。拮抗していた方の拳は継続的なダメージの影響か無傷では無さそうだったが、すぐに回復していく。
ニヤニヤとこちらを見るジョーさんめがけて駆け出すと同時に、ゴールドさんへの魔法を追加しておいた。まだまだ数は残ってるが、足止めにはもっといるだろうしな。
走りながら再び拳と剣に魔法を纏わせる。ジョーさんは今のところ近接格闘しかしていない。そのため、俺はただ拳をぶつけ合うだけでもダメージを与えられるのだ。すぐに回復してしまうのがジョーさん自身のスキルなのか魔装ケンポーギの能力なのかはわからないが、どちらにせよずっと続けられるようなことでもないはずだ。限界が来るまでゴールドさんをあそこに留まらせながらジョーさんと打ち合い続けられれば勝ち。そうならないにしろ、焦ってくれればやりようはある。
「ジョー! ちょっとは僕を助けたまえ! 魔法が止まらないんだけど!」
「こっちも手一杯だ! てめーでなんとかしやがれ!」
「あんまりだ!」
ゴールドさんの悲痛な叫びを一蹴する間もジョーさんは俺から視線を外さない。さすがに向こうを見るなんてことはしないか。
「『一閃』」
俺は10mくらいの距離まで近づいたとたんに『小規模ワープ』で距離を詰め、至近距離でステュラをふるった。わずかに肉を切る感覚はあったが、すぐに剣は止められてしまった。肘と膝で上下から挟むような形で、あわよくば折ろうと思っていたのか若干上下の位置がずれている。だが残念、こいつは折れないんだ。
「『クエイク』」
地面についている軸足の下から土の壁を生やす。脛当たりを持ち上げるように生えてきたそれに足を取られ、ジョーさんのバランスが崩れた。支えがなくなったことで力が緩んだのか、ステュラを挟み込む力が多少弱まり、剣を引き抜くようにしてさらに横腹を切り裂く。痛みに顔をゆがませるジョーさんめがけて俺は力を込めてこぶしを叩き込んだ。
ガキッ
気絶させるために顔面を狙った拳がいきなり現れた半透明な盾に弾かれた。役目を終えたかのようにパキリと割れて消えゆく盾だが、それは確実に時間を作っていた。
「『回転蹴り』!」
地面に倒れる際に両手で弾くように体を浮かしたジョーさんが、上下逆さまのままプロペラのように蹴りつけてくる。なんとか防御が間に合って、1発2発と折れるような痛みを感じながら腕で受ける。そして3発目を俺の影から飛び出した『ダークチェーン』が絡みとった。俺はヒツギの真似をするように、鎖をつかんでジョーさんを振り回し、さっき『クエイク』で作った壁に叩きつけた。
「っはっ」
ジョーさんの肺から空気が漏れ出る。衝撃で崩れた土の壁がそのままジョーさんの上に覆いかぶさり、ジョーさんが完全に土に埋もれた。念のために俺はその山を『アイスロック』で固める。さらに『シャドウハンド』と『シャドウチェーン』で山をぐるぐる巻きにして終了だ。
俺は氷から目を離してゴールドさんの方を向く。折れた腕も既に『再生』によって回復しており、普通に殴っても問題ないだろう。
極力音をたてないようにすばやく近づくと、ゴールドさんは山の下にいるジョーさんに声をかけながら、まだ魔法を盾で受け続けていた。
「ジョー、聞こえてるかいジョー! ほんとに魔法が止まらないんだけど! 200を超えてからは数えるのをやめたけどちっとも終わらないよ!? 君に付与した盾が割れる感覚もあったし、まさか負けたりしてなひぃっ! 角度が、角度が変わった! ちょっと火が入ってきた!」
騒ぐゴールドさんだが、俺以外にその声が聞こえている人はいない。空に浮かぶ魔法も少なくなってきたし、『エアロ』と『アクア』を合わせて50発だけ追加して、俺はステュラをしまって自分の強化を始める。
『パワーエンチャント』『獣の一撃・付与』『ダークナックル・纏』『魔なる構え』『ためる』
さすがに『鬼化』や『獣化』、『竜化』なんかは使わないでおくが、強化状態のコルクでもぶち抜けるだろう。それ以上となるといくら防御に秀でたゴールドさんでも殺しかねないしな。
「お、魔法が少なくなってきた? ジョーよくや……シズカダナー」
結局すべての魔法を無傷で受け切ったゴールドさんだが、周りの静けさにすべてを理解したようだ。
「強めにまっすぐ盾の上からぶん殴るので全力で防御して下さい。死にますよ」
「僕を守るすべての黄金を盾に。左方、右方、上方、下方、後方の盾を前方に。グランドシールド。アルティメットシールド、キングシールド、そしてすべての盾に黄金の加護を」
俺の抑揚のない言葉を聞いて、ゴールドさんが黄金の盾を強化していく。まばゆい光を放つようなことはないが、明らかに輝きが増した。
「これが僕の最大防御だ。ユウカさんの奥の手だろうと受け止められるよ。実際に古龍の一撃なら耐えたこともある」
「なら安心して撃てますね。いきます『ブレイクショット』」
腰を落としてまっすぐ盾めがけて拳を放った。
パリンパリンと小さい盾が10枚割れ、さらにゴールドさんが魔法で生み出した盾も次々と割れる。そしてついに黄金の盾に手が届いた。
「おらぁ!」
黄金の盾に止められたが力強く腕を振りぬいた。ヒビの入った黄金の盾とともにゴールドさんが吹き飛んでいく。
「おめでとうございます。メイさんの勝ちですね」
吹き飛んだゴールドさんを風に乗せて受け止めた風龍様がやってきて、俺の勝利を告げた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
先週は投稿できずすいませんでした。
OJT中ではありますが、本格的に仕事が始まり、疲労で平日は書けず、土日は風邪を引いて寝込むという生活が続いております。台風の時期はいつもぐじゅぐじゅです…。
予約投稿なのはそのせいですね。気づいたら朝でも問題がないように。
来週は土曜も仕事なので遅れるかもです。
ではまた次回




