ジョーさんたちとの話です3
女性陣の結託によってジョーさんとゴールドさんと戦うことになった俺は、いつもゼルセたちと戦ったり、ユウカと鍛錬するのに使っている広場までやってきた。
「ここなら思い切り暴れられそうだな」
「それにしてもここの森にこんな広場があったとは知らなかったな。元呪われ屋敷の周辺というだけあって調査がされてなかったのかな?」
それぞれが体を軽く動かしながら話しているが、二人の格好はかなり対照的だった。
ジョーさんがまとっている魔装ケンポーギは、そこらにある鎧なんかよりもよっぽど防御力は高いし、自身の能力を大幅に上げる効果もあるが、見た目的には普通の服と素材が違うようには見えず、真っ白い。
一方で、ゴールドさんの見た目はとにかく派手だ。その名の通りではあるが、つま先から頭のてっぺんまで全身を黄金の鎧で包み、手にする盾も剣もみんな黄金色。少し気になって『上級鑑定』で調べてみると『黄金の盾』と『黄金の剣』と表示された。
名前はもう見たまんまではあるが、その能力はなかなかに厄介だ。すべての魔法攻撃の威力を下げる効果のある黄金の鎧に、光属性を帯びた黄金の剣。名前は忘れたが、以前大会で棍棒でへし折った剣のように聖属性でないのは助かる。まあ光属性でも俺には相当厳しいし変わらない気もするが。
「そろそろ準備はよいかの?」
ステュラを取り出して腰にさげ、二人を観察していると、ユウカが近くまでやってきた。
はじめはあんなことを言った手前、審判として風龍様かユウカだけ来て、マナたちは館で見ているだけの予定だったのだが、ジョーさんが示しがつかないとか言い出した結果、風龍様とマナが安全のために結界を張って、その中から観戦することになった。今は広場の隅の方で始まるのを待っている。風龍様もいるし、流れ弾が飛んでいってもなんとかしてくれるだろう。
「ジョー、先は譲ってあげるよ。僕は後で構わないから」
「いいのか?」
「僕は後でゆっくりとこの破廉恥男にお仕置きをしないといけないからね」
「そういうことなら先に楽しませてもらおうかな」
ジョーさんが拳を打ちつけて気合を入れる。この人相手ならばステュラは使わないほうがよさそうだな。両手がフリーな方が対応しやすそうだ。それに、1人ずつということであればいくらでもやりようはある。
「なんじゃ、お主らバラバラで戦うつもりか?」
「ん? どういうことだ?」
「普段鍛錬で相手をしとるわしじゃから断言するが、1人ずつ戦ったら相手にすらならんぞ?」
ユウカの言葉で2人のこめかみがピクリと動く。ユウカよ、何を言ってくれてんだコラ。
「ユウカさん、冗談はよしてくださいよ。ジョーならともかく、この僕ですよ?」
「なんでお前はそんなに自信満々なんだよ……。でも、俺でも一人じゃ無理ってことか?」
「うむ」
「いやいや、相手はSランク2人だぞ? なんでそんなこと言うんだよ。ユウカは俺を過大評価しすぎじゃないか?」
「お主が過小評価しすぎなだけじゃ。わしですら本気でやったら相手にならんというのに、わしより弱いこやつらが相手になるわけないじゃろうが」
「相変わらずズバズバ言ってくるなお前は。容赦ねえ」
「こんなところでお主らの機嫌をうかがっても何も益がないじゃろうが。それに、先に釘を刺しておかんといかんこともあるしの、メイ」
「俺?」
「そうじゃ。距離をとって延々と魔法を撃ち続けるのは禁止じゃからな」
「げ」
「その反応じゃとやるつもりだったんじゃな……。わしとの鍛錬でもやったことじゃからもしかしてとは思っておったが」
「別にそれくらいは個人の戦い方によるんだから仕方ないんじゃないか? 遠距離からの攻撃なんか普通だろ。対応できないほうが悪い」
「普通ならの。メイの場合そうも言ってられんのじゃ。こやつはすぐに連続転移で距離をとって、一撃一撃が文字通り必殺級の威力の魔法を壁のように撃ち続けるのじゃ。なんとか近づこうにも転移し続けるから手に負えん。モンスターや盗賊との殺し合いということであれば構わんが、鍛錬目的の模擬戦でやられてしまうとのう」
「あはは。まあ防御の練習と思ってもらえれば」
「さすがにそれはねえ」
「デスヨネー」
「まあユウカさんが言うのであれば僕は同時でも構わないよ。ジョー、攻撃は頼んだから」
「俺も一緒でいいや。防御を任せられるなら楽になるし」
「2人同時になるなら少しだけ考える時間が欲しいんだけど。2,3分でいいから」
「じゃあ準備ができたら言ってくれ。それからスタートだ」
俺は少し距離をとってスキルを少し見直した。といっても使うスキルを選別するくらいだ。一対一なら使おうと思っていた『不動明王』は使いにくそうだし、ゴールドさんだけが相手なら使おうと思ってた『竜化』とかは明らかに身軽そうなジョーさんが一緒ならば悪手になりかねない。あれ使うと死角も増えるし。
一方で『火炎壁』や『クエイク』みたいな分断できるスキルが役に立ちそうだ。一対一だとヴァンハルト戦の時のように後ろに下がれないように建てる壁くらいしか使わなさそうだが、2人を分断できるなら使い道はある。
武器ももう一本出そうかと思ったけど、片方は開けておいた方がよさそうだし、やっぱりこのままだな。
「お待たせしました。もう大丈夫です」
「そうか。それでは始めるとするかの。マナに魔法を撃ってもらうから、それが弾けたらスタートじゃ」
それだけ言うと、ユウカも後ろに下がっていき、俺たちもお互いに距離をとった。
「いきますよー! ライトボール!」
マナが結界の中から光の玉を飛ばす。そして俺たちのかなり上空で弾けた。戦闘開
「危な!」
弾けた瞬間、危険を感じて俺は『小規模ワープ』で後ろに跳んだ。さっきまでいたところを後ろからジョーさんが殴りつけるのが見える。今の状態を見ると完全に後ろを向いているわけだし、もしかして『不意打ち』か?
「『ダークランス』」
無詠唱で転移魔法が使えるなんて話は知らないし、俺はその背中に10連で黒い槍を放つ。まっすぐに向かうものと放物線を描いて向かうものに分け、すべてがジョーさんに飛んでいく。
「はっはっは。任せろ」
ゴールドさんの笑い声が聞こえたと思ったら、ゴールドさんが盾を構えてジョーさんの前に出た。構えた盾の周囲に半透明な盾が2枚現れ、合計3枚の盾で俺の『ダークランス』をすべて受け止める。
続けざまに『エアロ』と『ファイア』を200発ほど展開して2人に向かって飛ばした。特に操作もしていないそれらは外れるものもあるが、そのほとんどはゴールドさんの盾にあたって消えるか、ジョーさんの繰り出す拳圧にかき消されていった。その間に俺は準備を進める。
「ユウカさんがあんなに言うから警戒していたけど、この程度なのかい?」
「油断すんな。そもそもこれだけの魔法を撃ってる時点で相当だろうが」
2人はまだまだ余裕がありそうだ。準備の終わった俺は追加で100発ほど『ファイア』を放って目くらましにしながら2人に向かって駆け出した。
「いくら数が多くても威力がこれじゃあね。ま、僕の防御が硬すぎるだけだけどね!」
「じゃあその内側ならどうです?」
『ファイア』の壁に隠れながら近づいた俺は、ゴールドさんのすぐ上に転移して、『獣の一撃・付与』をした右足のかかとで盾の内側をたたきつけた。しっかりと握っていたため手放させることはできなかったが、ゴールドさんの体勢が崩れる。急に目の前に現れた俺に驚きつつも迎撃しようとしてきたジョーさんに『ダークランス』を撃って牽制し、『空蹴り』を駆使して一回転しながら無防備なゴールドさんの背中に同じく『獣の一撃・付与』をした左足をたたきつけた。
「ちっ」
俺の左足は宙に浮く2枚の半透明な盾に阻まれた。重なって俺の足を受け止めるそれらはピクリとも動かない。
「おらぁ!」
追い打ちをかけてもう一枚もぶち抜こうとしたが、正面から風の衝撃を受けて攻撃はできなかった。声からしてジョーさんの拳圧だろう。俺はすぐに『小規模ワープ』で距離をとり、2人の様子を確認する。
「なかなかの威力だね。ま、僕の盾を抜くには足りなかったみたいだけど!」
「相変わらず馬鹿げた防御力だな」
「君もわかったかい? 僕がAランクでなく、A+ランクでもなく、Sランクと呼ばれる理由が」
「俺は自分で化物なんて言いたくねーけどな」
「人々は憧れと畏怖を込めて僕をこう呼ぶ! そう! 黄金騎士と!」
剣と盾を天に掲げて叫ぶゴールドさん。正直呼び方には少しも興味はないが、確かに自分で『Sランク』と名乗るだけありそうだ。
「さて、どうダメージを与えようか……」
「今度はこっちから行こうか。ジョー!」
「あいよ」
再び拳を打ち鳴らして、ジョーさんが駆け出した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70
重戦士 Lv53/70 剣闘士 Lv47/60
神官 Lv38/50 龍人 Lv8/20
精霊使いLv15/40 舞闘家 Lv27/70
大鬼人 Lv10/40 上級獣人Lv5/30
魔導士 Lv15/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
6月になりましたね。ようやく少しずつ社会人生活にも慣れてきました。
そのせいかはわかりませんが飲み会が多くて土曜は倒れてることが増えました…。
金曜の仕事終わりのお酒がおいしいのが悪い!
ではまた次回




