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風龍様との話です

 俺はヒメたちを呼んだ。すぐに3mくらい離れたところと頭の上に魔方陣が出現し、それを見たカルアが俺の胸にダイブしてきた。来る前にとってしまおうというわけか。


「かう!」


 やはりというかなんというか頭の上(定位置)の魔方陣はヒメだった。器用に俺に負担のないように降り立つと、瞬く間にでろーんの体勢になった。


「げひっ」


「われさんじょう!」


 残りの従魔たちは離れた魔方陣から出てきた。黄龍はどこからそんな知識を仕入れてくるのか知らないが、ビシッと決めポーズをとって出てきた。しかし、頭の上(定位置)と俺の腕の中がヒメとカルアが既に陣取っているのを見つけると、悲しそうな顔になってとことこと俺の足元までやってきた。


「ちちさまー……」


 今にも泣きそうな表情でズボンの裾を摘まむ黄龍。やめて! こっちが泣きそう!


「うにゃ?」


 そんな黄龍を見かねたのか、風龍様が黄龍を両手で持ち上げ、自分の頭の上に座らせた。


「こんな老人の頭の上では不満かも知れませんが、今はこれで勘弁してくださいな」


「……」


 頭の上の黄龍に笑みを浮かべて語りかける風龍様を見て、びっくりしていた黄龍も満開の笑顔になった。


「にへへー。ここもきもちーよ!」


 ヒメのでろーんポーズのようにお腹をつけて転がった黄龍の頭を右手の人差し指で撫でる風龍様。完全に堕ちたわ。孫を可愛がるおじいちゃんが目の前に!


「かうかう?」


 ペシペシと頭を叩いてヒメが俺に問いかける。本題を忘れるところだった。


「コルク、死体は残さず焼いたか?」


「ああ。少なくとも目に見える範囲の死体はすべて消えるのを確認した。残っていないはずだ」


「ならいいや。ありがとな」


「いや、主が間に合ったようで何よりだ」


「俺がつく前にこちらの風龍様が助けてくれてたんだよ」


「ああ、癒される。おや、どうかしましたか?」


「いえ、いいです」


「そうですか」


「ともかく、お前らが頑張ってくれたおかげでなんとか無事に済んだ。ゼルセは特にな」


「ガァ」


「というわけで、今からジョーさんが来るまでご褒美のお肉パーティだ」


「くわー!」「ゲヒッ」「かう!」「やったー!」「ふっ」


 喜び方は三者三様だが、皆ウキウキしているのは変わりない。俺はそんなヒメたちを見ながら大きめの皿を出し、その上に以前焼いてあったドラゴンたちの肉を並べる。餌を前にしてお預けをくらう犬のようによだれを垂らして俺の言葉を待つヒメたち。黄龍は風龍様の頭の上だから絶対によだれを垂らすんじゃないぞ。


「食べていいぞ。ある程度まではどんどん追加を出すからみんな好きに食ってくれ」


 俺の言葉と同時に一斉にお肉に突っ込んだ。風龍様の頭の上にいた黄龍だけは少し出遅れたが、風龍様がふっと吹いた風に乗って誰よりも先にお肉に突っ込んだ。その勢いのまま大きめのお肉を口と両手でしっかりとキャッチして、もぐもぐお肉をほおばりながらふわふわと風龍様の頭の上に戻った。


「あいわふぉー」


「どういたしまして。たっぷり食べてくださいね」


「あい!」


 元気な黄龍を見て笑顔を浮かべる風龍様に対して苦笑いを浮かべながら俺は追加のお肉をいくつか出した。それぞれがすでに一つ目のお肉を食べ始めているから少し時間が稼げるだろう。1つ1つを大きめにしておいたからなおさらだ。

 俺はその間に風龍様の用事を聞くことにした。


「風龍様、今よろしいですか?」


「癒しタイムを邪魔するというのですか?」


「後でまた黄龍を貸しますから。先ほどメッセンジャーと言っていましたが、どなたからの伝言ですか?」


「絶対ですよ。それほど余裕のある日程というわけではありませんし、今日は泊まっていかせていただきます」


「黄龍も寝かさないといけないですしあんまり長くはとれませんよ?」


「よく寝る子ほど育つという言葉もありますし、そこは大丈夫です。無理はさせません。おやつを持ってきましたが、まあこの様子ですと食べ過ぎになってしまいますね。やめておきましょう」


「おやつ?」


「お前はお肉を味わって食べなさい」


「はーい」


 争奪戦の様相を見せるお肉パーティから抜け出し、安全地帯でお肉を食べる黄龍は好きなように食べていられるだろうし、おやつまで追加する必要はないだろう。


「伝言ですが、1つは火龍から、1つは私と水龍から、そしてもう1つは土龍からです」


「全員ですか」


「ええ。それだけあなたのことを気にしているのですよ。我々の町を守ってくれた英雄であるあなたを」


「そういわれると少し照れますね」


「それだけのことをしてくださったのですよ。あの死龍王ダムドレアスに対して私たちは無力です。龍殺しの力の前には龍である以上、何もできません」


 風龍様は悔しそうに、そしてどこか諦めたように言う。『喰らう瞳』によって俺はその龍殺しの力を持っているわけだが、とても言えるような雰囲気ではない。なぜだか俺のスキルだとかを習得しているヒメたちも使えるかもしれないが、黄龍はどうなんだろう。今度調べないと。


「火龍と私、水龍の話をわけましたが、その実内容は同じです」


「どういうことですか?」


「それぞれが違う龍を探していたのですが、同じ場所にいるということが判明したのです。私が伝言として聞くまでお互い気が付きませんでした」


「龍というと、黄龍が生まれたときに話に出ていた雷龍ですか?」


「雷龍様だけというわけではありません。メイ様が気にしていた暗黒龍、そして森龍、あ、今はさらなる進化を遂げて森龍王となった龍の3体です」


「前2体はわかるんですが、その森龍王というのはどんな龍なんですか?」


「私が幼龍のころにお世話になった龍です。雷龍様を探す中で久しぶりに連絡をとってみたら、黄龍そのものを見たことはないけれど、黄龍という種族の話を聞いたことがあるということでしたので、時間と興味があれば立ち寄ってみるといいと思います」


「遠いところなのですか?」


「ええ。私も気軽に行けるような場所ではありません。そもそも国が違いますし」


「デルフィナでないとなると、もしかしてアーディアとか?」


「いえいえ。エルフの住まうヤカリ森国のキュウの大森林です。そこの一部の地域で守護龍として過ごしているそうです。雷龍と暗黒龍は40年ほど前からそこで隠居生活をしているみたいで、現在は他にも数体の老龍がいるみたいです」


「数体の龍が守る地というわけですか」


「ミラの町よりもよっぽど安全でしょうが、皆年老いた古い龍ですので、全盛期ほどは動けないでしょうね」


「そうなんですか?」


「隠居しなければならないほど年を取った龍ですからね。人族とは時間の流れが違います。私はミラの町でそのまま隠居生活をするつもりですが、旅行もかねて訪れる予定です」


「ミラの町もいい町ですしね」


「ほっほっほ。そう言っていただけると嬉しいですね」


「そういえば土龍様はまた別の話なんですよね?」


「ええ。彼女からは注意しろという話だったのですが、もう遅かったようです」


「『闇の爪』ですか?」


「ええ。土龍は子飼いの諜報員を多数抱えているのですが、彼らがマークしていた『闇の爪』のメンバーが数名グリムに向かったという連絡があり、念のためということでしたが、すでに襲われているというのはさすがに予想外でした」


「俺たちも驚きましたよ。第二段階に挑んだらすぐに『バーニングバード』がやられていたんですから」


「そのあたりの詳しい話は館に戻ってからにしましょう。どうやら来たようです」


「え?」


 風龍様が向けた視線の先に目を向けると、ジョーさんが鎧を着こんだ男性とともにやってきていた。


どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 有効職業

 聖???の勇者Lv16/?? ローグ Lv44/70

 重戦士 Lv53/70   剣闘士 Lv47/60

 神官  Lv38/50   龍人  Lv8/20

 精霊使いLv15/40   舞闘家 Lv27/70

 大鬼人 Lv10/40   上級獣人Lv5/30

 魔導士 Lv15/90

 非有効職業

 死龍人 Lv1/20   魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99   狙撃王 Lv1/90

 上級薬師Lv1/80 』

前半は書いていてほんとに楽しかったです(笑)


発売からやっている俺が勇者じゃ救えない!?2巻のTwitterキャンペーンが

いよいよ明日までとなります! 後でいいやーとか思ってやり忘れている方はぜひ!

「ヒメで遊ぼうー棒跳び編ー」が読めるのはこのキャンペーンだけですよー!


2巻は1巻と違ってたくさん宣伝しているからかなんだか疲れました…慣れないことはできないなー

次回は宣伝もないかな?


ではまた次回

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