パーティ登録次の日です3
ボスエリアに足を踏み入れた俺たちを迎えるように奥にモンスターが現れ始めた。
ボスは真レオウルフキング、取り巻きはトライホーンウルフとレオウルフが2体ずつ、それからエルダードンキーが1体レッドベアが8体。左右にほぼ半々で分かれているけど、1体しかいないエルダードンキーがキャラビーがいる左側に出現していた。少し心配かな。
そう思ってキャラビーの方に目をやると、キャラビーもまたこちらを見ていて、こくりとうなずいた。
「ガルゥゥウウアア!」
戦闘は真レオウルフキングの影分身から始まった。それを合図とばかりに取り巻きたちが動き出す。俺たちも逆にとり囲もうと動き出した。
取り巻きのモンスターたちは当然ながらそのスピードはバラバラで、ほぼ同時に動き出していたが4体のウルフがやはり突出していた。俺はその4体を避けるようにして奥のレッドベアに『アイスニードル』を放つ。迫りくる4体は自分に当たりそうにないそれに目を向けずにそのまま突っ込んでくるが、レッドベアたちは迎え撃つべく足を止めていた。
「ガウァ!」
攻撃を外した隙をつくとばかりにまっすぐに突っ込んでくるトライホーンウルフと跳びかかってくるレオウルフたちを左右の剣の『一閃』で切り伏せた。『コンボ』で続け様に4体切り付けたが、最後のトライホーンウルフは真っ二つに切り裂くことができた。まだまだ力任せな感じは否めないが、今の感触を忘れないようにしよう。
「メイ、そっち行った!」
『アイスニードル』を耐えきったレッドベアたちの対処に向かおうとしたとき、マナの注意の声が聞こえた。すぐに『小規模ワープ』で上に跳んだが、さっきまで俺がいたところを影分身の口が通り抜けた。本体じゃないから『気配察知(魔物)』は反応しなかったのか。
「『一刀両断』」
俺は『空蹴り』で勢いをつけて影の頭を切り落とした。影だから血が出たりすることはなく、そのまま地面に溶けていく。そしてすぐに炎を纏ってこちらに向かってきていたレッドベアたちの頭が落ちた。ユウカが斬撃を飛ばしたのだろう。こいつがこっちに来てしまった詫びというところだろう。
頭が落ちても慣性でこちらに突っ込んでくるレッドベアを『クエイク』で作った壁で受け止め、その上に跳び乗ってボスエリアを見渡した。
やはりというべきか、キャラビーはエルダードンキーに苦戦しているようだった。
普段の戦闘の様子や訓練でのキャラビーを見ている限り、みぃちゃんとペアを組んでいればエルダードンキーが単体であれば普通に倒せるだけの実力はついている。しかし、今回はそうもいかない。すでにヒツギの鎖が真レオウルフキングの体を縛りあげ、マナの魔法とユウカの斬撃によって倒されているからそちらは気にしなくてもいいが、取り巻きたちは俺が倒したのと同じ量がキャラビーの方へ向かっていた。その相手をしながらとなるとエルダードンキーは厳しい相手だろう。既に自分の相手は倒したから加勢してもいいのだが、誰もそうする気配はない。危なくなったら即殲滅できるようにはしてるけど。
キャラビーの戦いを見守ること5分、先日のユウカを参考にしたのか、キャラビーは常に背後をとられないようにうまくみぃちゃんと協力していた。
基本的に足を止めずに動き続け、背後に回り込まれないようにし、どうしようもない敵にはみぃちゃんが攻撃を加えたり威嚇して動きを止める。そうしながら連携が乱れて突出した敵を少しずつ削っていた。すでにトライホーンウルフとレオウルフはおらず、レッドベアもあと1体。しかもその個体ももう炎を纏うこともできないようで、傷ついた腕から血を流しながら息が荒くなっていた。
しかし、肝心のエルダードンキーにはダメージがまるでないようだった。とはいえ、キャラビーも攻撃をしていないわけではない。純粋に火力がたりていないのだ。キャラビーが使っている龍骨の短剣は切れ味は十分鋭いが、やはりリーチが短い。エルダードンキーの体を切り裂くには足りていないのだろう。
流血が多くなりすぎたのか、キャラビーを切り裂こうとしたレッドベアの足から力が抜けた。がくんと体勢の崩れた状態での攻撃は完全に空振り、その心臓にキャラビーが短剣を突き立てた。レッドベアも最後の抵抗にとキャラビーを捕まえようとしていたが、心臓に刺してすぐに後ろに下がったキャラビーには届かなかった。
これで残ったのはエルダードンキー1体となった。しかし、すでにキャラビーはかなり疲れているようだった。みぃちゃんは補助に徹していたこともありあまり疲れていなさそうだが、今のキャラビーを背に乗せて走りまわるとなると厳しそうだ。
「キャラビー、どうする?」
「やります! やらせてください!」
ステュラに手をかけてキャラビーに問いかけると、即座にやる気に満ちた声が返ってきた。エルダードンキーは生意気とでも言いたいのかキャラビーにダークボールを放った。キャラビーもそれを横に跳んでかわし、前転してそのまま立ち上がると、次の攻撃が起こる前に少しでも近づこうと走りだした。
エルダードンキーは、硬直が解けると同時に近づいてくるキャラビーにもう1発ダークボールを放った。キャラビーもしっかり予測を立てていたのか、発射されるのと同時に斜めに跳んでかわす。さっきは撃たれてからだったからできなかったが、今度は余裕をもってかわせていた。斜めに跳ぶことで攻撃をかわしながらも近づくことができ、硬直が解けきる前に両手でしっかり握った短剣で右前足を切りつけた。
「バォオオオ」
痛みに悲鳴をあげるエルダードンキー。キャラビーは暴れるエルダードンキーの下に入り込むと、切りつけた足の膝裏に短剣を突き立てた。そしてすぐに下から抜け出すと、エルダードンキーは自重を支えられずに体勢を崩した。
「みぃちゃん!」
「ガァ!」
キャラビーの指示で体の傾いたエルダードンキーにみぃちゃんが体当たりした。みぃちゃんとエルダードンキーでは体格差は一目瞭然だが、それでも傾いた体を倒すには勢いが十分だった。倒れたエルダードンキ―の体をキャラビーが駆け上がり、ジャンプしてその落下する勢いを使って短剣をエルダードンキーの頭に突き刺した。
エルダードンキーはわずかに動いたが、すぐに力なく地に伏した。そしてその体とともにボスや他の取り巻きたちもその死体が消えて中央に宝箱が現れた。
「お疲れ様。よくやったな、キャラビー」
「はい!」
みぃちゃんに支えられながら宝箱の近くにやってきたキャラビーの頭をわしゃわしゃと撫でてやると、耳がピクピクと揺れて喜んでいた。それでもやはり疲れは大きいのか、手をどけると俺の方に倒れこんできた。すいませんすいませんと謝るキャラビーだが、今の戦闘で一番頑張ったのはキャラビーだしこれくらいは何ともない。
みぃちゃんを帰還させてキャラビーを背負い、俺たちは宝箱を空けた。
『日輪の首飾り:太陽の下限定ですべてのステータスをわずかに上昇させる。ダンジョン内でも光の下であれば効果を発揮する』
中身はこれまで手に入れたものと比べてもかなりいいものだった。具体的にどれくらい上がるのかはわからないが、すべてが上がるというのは魅力的だ。それに、洞窟や遺跡のようなダンジョンでは効果はないが、今いる『生の草原』や『明の森』のようなダンジョンなら効果を発揮してくれる。
「みんな、いいよな?」
「もちろんじゃ」
「そうだね」
「うんうん。ほらメイ、かけてあげて」
俺の言いたいことも分かってくれたようで、俺は『クエイク』でちょっとした台を作りキャラビーを一旦おろす。そしてその首に日輪の首飾りをかけた。
「これからも頑張ろうな」
「はい! 一生懸命がんばります!」
そうして、再びキャラビーを背負い、俺たちは館に帰っていった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv15/?? ローグ Lv42/70
重戦士 Lv45/70 剣闘士 Lv41/60
神官 Lv35/50 龍人 Lv5/20
精霊使いLv12/40 舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv5/40 上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv5/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
久しぶりの職業表記です!
2月1日に発売した『俺が勇者じゃ救えない!?』ですが、
買いました! とか、読みました! と報告をいろんな方からいただいております。
本当にありがとうございます!
まだまだ書店には並んでいるそうなので買うなら今がチャンスですよ?
卒論関係でまだやらないといけないことがあるので遅れるかもしれませんがまったりお待ちください。
ではまた次回




