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明の森です8

 

 次の日、俺たちは朝から『明の森』に向かっていた。

 今日は31層から35層まで行く予定だが、昨日と違ってポイズントレントが出現し始める。マナの魔法とヒメのおかげで先に感知することはできるけど、ポイズンと名前にある通り毒を持っているからちょっと心配だ。その対処のために用意した解毒剤ではあるが、使わないで済むにこしたことはない。


 31層に入って、32層に向かい始めてすぐにマナの魔法に反応があった。前方約20mのところに3体が固まっているらしい。


「ごめん、ポイズントレントなのか普通のなのかはわからないや。改良しないと……」


「そこまでは求めてないから大丈夫だって。とりあえず倒すけど、どの木だっけ?」


「目印をつけるから、それを狙って。フレアニードル」


 マナが見つけたトレントたちにダーツのように炎の針を飛ばす。トレントたちに突き刺さると、内側を焼かれているのか、苦しそうに動き出した。


「あれね。『黒槍の雨』」


 動き出したトレントたちを上から黒い槍が襲う。苦しむ暇すら与えずに撃ち抜いていったことであっさりと仕留めることができた。


「派手にやるねー」


「この辺りには今のところ罠もモンスターも見当たりませんけど、あまり音を立てると他のモンスターが寄ってきてしまうかもしれませんね」


「うっ、悪かったよ。間に木があったから『剣閃』とかじゃ倒せなさそうだったんだよ」


 ヒツギとキャラビーのお小言に言い訳をしながら解体ナイフでドロップした木材を受け取った。1本だけわずかに色が違うような気がする。


「あ、メイ、その真ん中のやつはポイズントレントの木材じゃない?」


「『鑑定』……そうみたいだな。さっさと倒しちゃったけど見た目違うところあったか?」


「私は感じなかったかな」


「私もわかりませんでした」


「魔力の感じはなんだか違う気もするんだけど、もっと見てみないとわからないかな……」


「そっか……あ、そういえば、前から試してみたいことがあったんだが、それを試してみていいか?」


「ご主人様もまた新しい魔法を作ったのですか?」


「違うよ。トレントたちって、普通の木に紛れて生えてるからややこしいじゃん? だったら、『鑑定』でずっと調べながら進んでいけば」


「だめよ」


「ヒツギ?」


「その方法は絶対にだめ」


 俺がその昔麻痺の木を探すために使っていた方法を提案したらヒツギは食い気味に否定してきた。その顔はいつになく真剣そのものだった。


「解析の魔法って、対象の情報を読み取って、使用者の脳にその情報を直接流してるんだ。鑑定も同様」


「それがどうしたんだ?」


「常時使いっぱなしってことは常に無数の情報が脳に流れ込んでくるってことなの。数秒続くくらいならいいかもしれないけど、そんなものが十秒も二十秒も続いたら、脳がパンクしちゃう。メイは廃人になりたいの?」


「そうなりたくはないけど、今までそんな感じはなかったけど……」


「それはメイが無意識のうちに制限をかけてるだけだと思う。とにかく、だめだからね」


「ヒツギは見たことがあるの?」


「900年前にね。私のミスが招いた惨事なんだ」


「どういうこと?」


「当時にも解析の魔法はあったんだけど、今と違って鑑定の魔法も普通に出回っていたんだ。当然、私も鑑定は使えてた」


「今は使えないのか?」


「棺桶のスキルだったからね。今は素で解析が使えるからポイントを振ってないの。それで、私が旅をしてる時に魔道具の研究に携わる機会があってね。魔法、あるいはスキルを道具に付与して、魔道具を作り出すって研究だったんだけど、その時に私なぜか鑑定を付与できちゃったの」


「鑑定のスキルを付与ってすごいことじゃないか?」


「そう思ってたんだけどね。私が付与に成功したのは指輪で、指輪を向けた先の情報を鑑定するって道具になったの。まあその時は試験もまだだったから5こくらいしかつくらなかったんだけど、いざ試験を始めるってときになって、指輪をはめた人全員が発狂して死んじゃったんだ」


「え? なんで?」


「私がただ付与しただけだったからだね。通常、魔道具って魔力を通したら、とか、詠唱をしたら、とか発動に条件をつけて制限をかけて作るの。館にある魔道具を思い出してもらえばわかると思う」


「たしかに、風呂は魔力を通さないとお湯が出ないし、部屋の明かりも魔力を貯めてあって、スイッチでONとOFFを切り替えているよな」


「あれって魔力を貯めてたの? てっきり魔石を使ってると思ってた」


「マナは知らなかったっけ? 初めのうちは俺が貯めてたけど、最近はアンナがやってくれてる。館の裏側に蓄魔機ってなまえであってるかわかんないけど、魔力を貯めておく魔道具があるから帰ったら見ておいたらどうだ?」


「そうするね。あ、ごめん、ヒツギ続けて」


「うん。私は付与だけして制限をかけてなかったの。だからその指輪は周囲にある魔力を使って常に鑑定を使い続けて情報を蓄えてたの。それで、指輪をはめた瞬間にその蓄積された情報が一気にその人に流れ込んだわけ」


「それで脳がパンクしたということですか?」


「そういうこと。その後は何度やってもうまくいかなかったからその研究はなくなっちゃったけど、鑑定の恐ろしさを痛感した事件だったんだ。だから、メイは同じことをやっちゃダメ」


「わかったよ。理由がはっきりわかってるなら俺もやろうとは思わないって」


「よろしい。後でナデナデしてあげます」


「いらん」


「ハグハグしてあげる」


「いらん」


「ハムハムしてもいいですか?」


「するな!」


 その後、俺たちは再び32層に向かって歩き出した。





 夕方になり、俺たちは35層の転移陣に到着した。

 ポイズントレントに襲われたことは何度かあったが、攻撃を受ける前に倒したり、攻撃を受けた時も俺かヒツギが防げたということもあり、解毒剤を使うことはなかった。昨日ほどではないが、それなりにトレントとポイズントレントの木材も集まり、売ればそこそこの金額になりそうだ。

 転移陣でダンジョンから外に出てくると、今日はギルドによらずに館に帰ってきた。



 次の日、外は珍しく雨が降っており、みんなで相談した結果、今日はダンジョンに行くのはやめることにした。雨が降りしきる中ダンジョンに向かうのが嫌だったとかそういうのじゃないから! 

 ユウカはいつも通りダンジョンに向かったが、俺とマナは2人でアンナのもとに向かった。目的はフラム草だ。


『お待ちしておりました』


「悪いな。忙しいだろ?」


『大丈夫です、この雨ですので森を住みかとするモンスターもあまり活発には動きません』


「そうか? それで、相談ってのはこれなんだが」


『コルクを通じて話は聞いております。マナ様も協力してくださるとか』


「うん。私が使える土魔法に利用できそうなものがあるから」


「でも、これを育てるってなるとアンナだけじゃ人手が足りなくないか? 今でさえ蓄魔機のことと警備のことも任せてるのに」


『警備はカルアも協力してくれていますし、蓄魔機は2日に一度でいいですからそれほどでは……。それに、フラム草に関する知識はございますので、育てるのにも問題はないと思います』


「そうか……じゃあこの苗のこともお願いしていいか? 子蟻たちに任せてもいいから」


『……気づいていたのですか?』


「ばれてないと思ってたのか?」


『……』


「じゃあいろいろと任せちゃって悪いけど、頼むな。今度差し入れを用意するから」


『かしこまりました。後日正式に紹介させていただきます』


「頼むよ」


 その後、アンナの指示に従ってマナが魔法で土地を整えて、フラム草を渡して館に戻った。



どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  LvMAX(50)

 魔術師 LvMAX(60)

 聖???の勇者Lv15/??

 薬剤師 Lv57/60

 ローグ Lv42/70

 重戦士 Lv44/70

 剣闘士 Lv41/60

 神官  Lv28/50

 龍人  Lv4/20

 精霊使いLv7/40

 舞闘家 Lv12/70

 大鬼人 Lv4/40

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv3/30

 魔導士 Lv1/90 』

遅れてすいません。最近こればっかり書いてる気がする…

季節の変わり目で頭痛が起こるのはもう体質なんだろうなぁ


アンナと子蟻の話は間章5、キャラビーの物語です の中でちょろんと。

ではまた次回

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