明の森です7
30層の転移陣で外に出てきた俺たちは、館に帰る前にギルドに向かうことにした。あの大きなフォレストベア
の話を聞きに行くためだ。
門の中に入り、ギルドに向かう途中に串肉とかサンドイッチなんかの軽くつまめるものを買い食いしたりしていたら少し時間がかかってしまった。
ギルドの中はやはり混雑しており、先にちょっとつまむ程度だが食べてきてよかったかもしれない。一応取り巻きとして出ていた2体の分は解体してあるし、トレントも解体ナイフでトレントの木材に変えてある。それらを売るついでに話を聞こうというわけだ。
列に並んで待っている間、特にすることもなく、ゆっくり進む列をただただ待っていた。その間にも次々と人が入って出ていくわけだが、これだけ長い間住んでいると見た顔というのがほとんどになってくる。昨日の会合にいたメンバーも何人かいるのが見えた。
そして並び始めて20分くらいで俺たちの順番になった。
「こちらは買取カウンターですが間違いありませんか?」
「はい。買取をお願いします」
「ではこちらの台に売る物をお願いします」
俺はアイテムボックスから売る素材を出していく。その間にマナが声をかけた。
「ねえ、今日『明の森』で一際大きなフォレストベアを見かけたんだけど、何かそういう話ってない?」
「大きなフォレストベアですか? 個体差があるモンスターですから、大きいのがいてもおかしくないと思いますが」
「そうじゃなくて、一般的な個体の倍くらいのやつ。信憑性の低い噂としか思ってなかったからびっくりしちゃった」
「そういえばそのような噂もありましたね。本当だったのですね。その個体はどうなさいましたか? 討伐したのでしょうか?」
「一応倒して持ってきてますけど、出しますか?」
「そうですね……ここには出せそうにないですし、職員が来ますので、奥でお願いします。たぶん研究に使われるでしょうし、ギルド側で買い取ることになると思います」
「はい。お願いします」
「職員が来る前にこちらを終わらせましょうか。傷も穴もありませんし、木材も問題ありませんので、全部で銀貨67枚となります。細かい明細は必要ですか?」
「いえ、大丈夫です」
「了解しました。こちらです。確認をお願いします」
銀貨の乗ったトレイが出された。キャラビーがさっと枚数を確認して俺に渡す。俺がアイテムボックスにしまうと満足そうな表情をするキャラビーはなんかかわいい。
「そろそろ来る頃……っと、来ましたね」
「どうも。こちらにお越しください」
やってきた職員に連れられて俺たちはギルドの奥に入って行った。
「中の物は触れないようにお願いします。貴重なものもございますので、持ち出そうなんて考えは起こさないでくださいね」
職員さんに案内された先はギルドの倉庫だった。あちこちにいろんなモンスターの素材がそれぞれの保管方法にもとづいて置かれており、本当に入ってよいのかと若干不安になる。入り口付近にわざわざ場所を開けて布が敷かれているし、そこに出せばいいのだろう。
「噂にあった大きなサイズのフォレストベアということですが、こちらの布の上に置けるでしょうか?」
「はい。大きさ的には問題ないです。ただ、倒すときに頭を潰していまして、血が出てしまうんですが大丈夫ですか?」
「ええ。そういう時のための布ですので問題ありません。ではお願いします」
俺は言われたとおりにフォレストベアを出した。思ったより大きかったからか、職員さんも「おぉ」と声が漏れていた。アイテムボックスの中では時間が止まっていたため、布の上に出した瞬間、つぶれた頭から血が流れる。しかし、布に血がしみこんでいく様子はなく、布の上を流れて、そのまま端まで来るとそこで止まってしまった。
「私も噂でしか聞いていませんでしたが、こんなサイズのがいたんですね。しかし、これでは包むのは無理そうですね。しまっちゃいましょうか」
職員さんは魔法袋から大きなスポイトのような道具を取り出して、布の上に広がった血を吸い上げて小瓶に移した後、クーラーボックスにも似た箱状の魔道具を取り出して、蓋を開いた状態でフォレストベアにかぶせた。すると、フォレストベアはその箱の中に吸い込まれ、わずかに残った血を職員さんがまたスポイトで小瓶に移す。
「さきほどのカウンターで確認されていると思いますが、こちらはギルドが買い取りまして、ギルドの研究施設に送ることになります。そうなると素材の受け渡し等はできませんがよろしいですか?」
「出来ればお肉を塊でいただきたいところですが、それはだめですか?」
「一部ではなく全体を使用しての研究になりますので、申し訳ありませんがだめです。別個体の物でよければ買取金額の一部をギルドが保管しているフォレストベアの肉でお渡しすることも可能ですがいかがでしょうか?」
「できるんですか?」
「ざっと見たところ金貨2枚といったところでしょうから、銀貨50枚分くらいならお肉で渡せると思います。研究した結果次第ではまた後日追加で報酬が払われることもありますので、その分はギルドにいらしたときにお渡しします」
「みんなは肉でいいか?」
「ヒメちゃん今日は活躍してたし、いいと思うよ」
「私もいいと思うよ」
「大丈夫です。ご主人様」
「じゃあ銀貨50枚分はフォレストベアのお肉でお願いします」
「かしこまりました。すぐに用意しますので、ギルドの中で5分ほどお待ちください。魔法袋はお持ちじゃありませんか? よろしければ、肉をそちらに入れてお渡ししますが」
「キャラビー、今って何か入れてる?」
「短剣だけです。ご主人様のアイテムボックスに入れてくださいますか?」
「いいよ。じゃあ渡してくれ」
キャラビーが腰につけていた魔法袋から出した短剣を俺に渡して、袋を職員さんに渡した。職員さんはそれを受け取ると、俺たちをギルドの入口の方まで案内して、自分は奥に走っていった。
5分後、再び戻って来た職員さんから袋とお金を受け取り、そのまま館に帰っていった。
ユウカも帰ってきて、みんなで晩飯を食べている時、フォレストベアの話が話題にあがった。
「なんじゃ、あの噂の個体か。それはわしも見たかったのう」
「ユウカも噂知ってたの?」
「わしが後半に挑もうと思っておった時期にちょうどその話を聞いての。探してみたんじゃが、見つからなかったのじゃ」
「私たちはもう入ってすぐに襲われたんだけど、普通は探してもでてこないくらいレアだったってことかー」
「そういうことじゃ。明日まで待ってくれればわしも見れたんじゃがのう」
「そうもいかないと思うけどな」
「ま、次の機会があったらわしにも見せてほしいのじゃ。通常の倍以上もあるフォレストベアなど見る機会はないからの」
「でも、なんであんな大きなのがいたんだろうね。もっと奥とかならわかるけど」
「よくわからない噂はいくらでもあるが、実は別の場所につながっておるのではないかという噂もある。そこに住むフォレストベアではないかとの」
「別の場所って、『明の森』の階層のどこかが入口になってるってこと?」
「人という生き物は大げさに話をしたくなるものじゃ。それに、噂というのはほとんどがデマじゃからな」
「他にも噂ってあるの?」
「そうじゃのう……色違いのトレントという話があったはずじゃ」
「何それ気になる」
「そうじゃのう。若い冒険者が……」
その後、ユウカの噂話を聞きながら俺たちの夜は更けていった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
なんか最近4日以上ごとが基本になってる気がする…
気にしない方向でお願いします。
ではまた次回




