明の森、休みです3
デルクイオとタウレルが出て行ったあと、俺とユウカは空いていた席に着いた。近くにいた人からは引き続き質問攻めにあったが、先ほどまでと比べて多少遠慮がちになっていた。
それから10分くらいが経ち、会場には9人が増えていた。受付で俺のことを聞いてきたのか、皆それほど驚いた様子はなく、喧嘩を売ってくるようなこともなかった。
「メイ、久しい」
「久しぶり。試験以来かしら?」
もうすぐ始まるかという時になって入ってきたのはミレアムさんとマキシムさんだった。ちょうど今話していた『黒の翼』の2人はその姿を見て、あわてて立ち上がったが、その表情にはなぜ? といった感情がうかんでいた。
「今日は私らが来る予定だったと思うんですが」
「ええ。間違ってないわ。ただ、おもしろそうな情報が入ってきて、どうしても姉様が行きたいって」
「ミレアム様が?」
「私、違う。姉様」
「そういうこと。ね、ユウカ?」
「わしにはなんのことかさっぱりわからんのう、ドレアム」
ミレアムさんとマキシムさんの後ろから現れたのは、以前ユウカから少しだけ聞いたことがあったSランク冒険者、『黒の翼』のギルドマスターであるドレアム・デス・ドリーだった。『黒の翼』の二人がさらに緊張したのが伝わってくる。
「とぼけちゃって。あなたがそうよね?」
「はじめまして。『マツノキ』のリーダーをしているメイといいます。何がそう、なのかはさっぱりです」
「あなたもとぼけるのね。いいわ。それに」
ドレアムさんが近づいてきて、顔を胸のあたりに近づけたかと思うと、ブルリと震えて恍惚の表情を浮かべた。
「近づかなくても伝わってくる濃厚な死と闇の香り。こんなに近くでかいだらもう。濡れちゃうじゃない」
最後の方はぼそっとつぶやいていたが、顔が近かったこともあり俺の耳には辛うじて聞こえてしまった。あー、この人やばい人だ。
「ねえ、あなたウチにこない? 今なら毎日私の隣で佇むだけでいいわよ」
「姉様、勧誘禁止」
「姉様、ここでは自分たちからの勧誘はご法度ですよ。控えてください」
「妹様方の言う通りでございます。ドレアム様、この場での勧誘行為はおやめください」
突然の勧誘に二人の妹とアールムからストップがかかった。そんなルールもあったのか。まあ第二段階に挑んでいるような有望株たちなんだからどこのギルドも勧誘したいだろうし、抜け駆け防止ってことなんだろう。
「ちぇっ。もう頭が固いんだから。固いのは胸だけにしてよね」
「姉様、死ぬ? 死ね」
「ミレアム、ここではやめなさい。ギルドに帰ってからゆっくりやりましょう」
「あら怖い。そんなこと言っていいのかしら? マキシム。ミレアムに言ってないだけで実はおっきくなってるってこと言っちゃおうかなー」
「マキシム、敵?」
「いやだなー、姉様。そんなことないじゃない。私はいつだって二人の味方。ほ、ほら、そろそろ始まるんじゃない?」
「後で」
「かわいい妹。アールム、そろそろ始まりかしら?」
「そうですね。時間になりましたし、そろそろ始めましょう。皆さま、席におつきください」
アールムの指示に従って全員が席に着いた。ある程度ギルドごとにまとまって座っており、俺はユウカの隣の席に座った。
「今回は初参加の方が3名いらっしゃいますので、一応自己紹介をお願いします」
「では自分から。『テルマ火山隊』のリーダーのサークスです。先日第二段階に挑めるようになり、ギルドでお話を聞いて参加させていただきました。よろしくお願いします」
「同じく『テルマ火山隊』のテラスです。よろしくお願いします」
「二度目の人もいるが、『マツノキ』のリーダーのメイです。よろしく」
「『テルマ火山隊』は今どこまで行ってるんだ? 先日ってことだけど」
「『死の山』の1層に入ったばかりです。様子見で少ししかすすんでいません」
「ギルドでってことは情報収集?」
「はい。なかなか思うように進めなかったという事情もありまして」
「なるほど。そういえば『マツノキ』はどこまで行ってるんです? さっきの魔法を見た限りだとそれなりに進んでそうですけど」
『テルマ火山隊』の二人への質問が続く中、思い出したように『フリージア』のアーラさんが聞いてきた。
「うちはまだ第二段階には挑んでないですね」
「あれ? ここへの参加資格って第二段階に挑んでいることじゃありませんでしたっけ?」
「うちもそう聞いてますけど……」
「そもそもギルドでこの話し合いのことを教えてもらえなかったはずじゃ?」
俺はユウカに誘われてきたけど、本来は4大ギルドのいずれかに入るか、冒険者ギルドから教えてもらって初めて知るのだろう。会場が若干ざわざわしだす。
「ルール違反じゃねえの?」
誰かが言ったその言葉が引き金になり、会場の空気がわずかに重くなる。中には出て行かせたほうがいいという声まで聞こえてきた。その大半はどうも『夕騎士』が帰った後に来た人のようだ。
「少しよいかの?」
「どうしましたユウカ様?」
「参加資格という話があったが、アールムよ、わしが聞いておるのは第二段階に挑むに値する実力を持つもの。ということじゃったが、いつから変わってしまったのかの?」
「いえ、変わっておりません。あるいはギルドの方に任せたときにずれてしまったようですね。後から確認しておきます」
「アールムさん、第二段階に挑めないのにここに来てもいいってことですか? それってなんかずるいんじゃ」
「それを言えばわしはここに来てはいけないということになるの。わしはまだ挑んでおらんぞ」
「ユウカ様はいつでも挑めるじゃないですか4つとも攻略してるのなんてユウカ様だけですよ」
「別にそういうわけでもない。複数のダンジョンを攻略している者は少なくないしな。現に俺とアールムは3つずつ攻略している」
「そういうことじゃ。『マツノキ』もわしと同じような状態なのじゃ」
「つまり4つとも攻略していて、これから第二段階に挑むことになると?」
「いや、『明の森』は今挑んでいるところだから攻略したのは3つだ。『明の森』を攻略し終えたらすぐにでも第二段階に挑む予定だ」
「3つ攻略しておるというのは挑むに値する実力とは言わんか?」
「十分でしょう。むしろそれで不十分となればこの場にいるほぼ全員が帰らなきゃいけなくなるんじゃない? 私もそうだけど」
「そうですね。この場で3つ以上攻略している人は6人しかいませんから、情報交換も何もなくなるでしょう」
「そういうことじゃ。それで、まだ認められないかの?」
「とんでもない! 認めますよ」
「だそうじゃ、メイ」
「ありがとうございます」
「い、いや、いいんだ。自己紹介も終わったことですし、そろそろ本題に移ってはいかがでしょうか?」
「まだ質問があるのでしたら続けてもよろしいですよ?」
「い、いえ」
「むしろ新規参加者から質問はないのかしら? 質問されるだけじゃいやでしょう?」
「それなら1つだけ聞いていいか?」
「なんでしょうか? メイ様」
「基本的なことなんだが、今第二段階はそれぞれどこまでいってるんだ?」
「それも知らなかったのか?」
「聞く機会もなかったから」
「そうか。まあいいか。最近先に進んだやつはいるか?」
ティグレさんが問いかけて周りを見渡す。だれも手をあげたりうなずいたりすることはなく、視線を外すか首を横に振るだけだった。
「ならこないだの時のままか。こないだ来てなかったやつもいるし、はっきりさせとくが、第二段階の攻略はとてもじゃないが進んでいるとは言えねえ」
「具体的には?」
「『暗の森』と『賤の山』が7層、『死の草原』が4層、『悪の洞穴』は5層だ。どれも次の階へ続く場所は見つかってない。そして、この状況は俺が知る限りじゃ1月はこのままだ」
ティグレさんは表情をわずかにゆがめながら、想像以上に進んでいない攻略状況を話した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv57/60
ローグ Lv42/70
重戦士 Lv44/70
剣闘士 Lv41/60
神官 Lv28/50
龍人 Lv4/20
精霊使いLv7/40
舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv4/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv1/90 』
区切れるところがここだけでしたので半端ですがいったん区切りです。
小説よりも履歴書書かないといけないので遅れてます。すいません。
ではまた次回




