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時間を巻き戻すはずが転移してしまったので異世界で無双してみます  作者: 山崎 桜
始まりの編

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5/5

4 笑われる女 仕組まれた男 そして任務

勇者 ガルバドスは絶体絶命のピンチに直面している。

勇者の目の前にあるのは 『能力査定用ギルド特別魔道具 アダンド』


「この魔道具はこの国で開発された魔道具ですので、もしかしたら見かけたことがないかと思われます。今から私が使用して、利用方法を実演しますのでよく見ていてください。」


「フローア ウィル」


受付嬢のウェルネスがそう唱えると、水晶玉に文字が浮かんだ。


===========================

        

            査定結果


       名前:ウェルネス・ベリローサ


           性別:女性


          役職:回復術士


     ギフト:インション・アセンブル〈情報総括〉

  

       魔術技能:C 体術技能:E


       役職:A 剣術技能:C

         

           ギフト:B


        《 総合結果:C 》


===========================

「こちらが私の結果です。恥ずかしながら私は戦闘に長けていませんので、あまり結果がいいものとは言えません。ランクとしては上から順にA、B、C、D、E、Fとなっております。」

「ねえウェルネスさん。もう一つ上のランクってなかった?」

「失礼いたしました。Aの上にもう一つランクがございまして、『S』というランクがございますが、相当の方でございませんと、そのランクは表示されないかと。確かレドラさんは...」

「私は魔術『S』なんだよ。」

「ほお。お前、なかなか凄い魔術師だったんだな。」

「やっと私の凄さを分かってくれたのね。本当、腹立つ人なんだから。」

「レドラは、照れているのか怒っているのか分からないような笑みを浮かべた。

「では、鑑定をいたしましょう。呪文は『フローア ウィル』でございます。手を水晶玉にかざして、呪文を唱えていただくだけです。大丈夫です。最初はみなさんランクは低いものです。段々上がっていく方もいらっしゃいます。」

(まずい、忘れていた。まずは”これ”を回避しなくては、ランクが低い云々よりも、俺が勇者であることがバレてしまったことの方が問題だ。)

「『フ、フローア ウィル』」

そういうと水晶玉が光りだした。水晶玉が青白い光に輝く。

「1つ貸しね?」

レドラはガルバドスにぼそっと呟いた。受付嬢 ウェルネスが水晶玉をのぞき込み、結果を確認する。


===========================

        

            査定結果


       名前:ガルバドス・レアノセル


           性別:男性


           役職:戦士


          ギフト:不明

  

       魔術技能:A 体術技能:S


        役職:S 剣術技能:S

  

          ギフト:??


        《 総合結果:S 》


===========================

「では、結果を確認させていただきますね。総合結果は...『S』⁉」

受付嬢が査定結果を口からこぼした瞬間ギルド内がざわめきで包まれた。


「おい、あいつの結果、今聞いたか?『S』だぞ?」

「ん?『S』?凄いな。いったいどの技能が『S』なんだ?あの筋肉に剣持ちってことは剣術か?」

「違う。()()()() ()()S()()だ。」


席に座っていた男子二人組がそのような会話を話す。


「失礼いたしました。ガルバドスさん。少々お待ちください。結果を再確認させてください。もう一度お願いします。」


受付嬢のウェルネスは信じられないという表情で、ガルバドスにもう一度査定をさせた。

しかし何度やっても同じ結果である。


「ガルバドスさん。何度も査定をしてしまい、申し訳ございません。こちらもこのようなことは初めてで、まさか総合『S』が出るだなんて。こちら発行のカードでございます。ギルドカードのランクは総合結果の3ランクダウンからのスタートですので、ランク「C」からのギルドカードを発行させていただきます。」

「ありがとうございます、俺もびっくりですよ。『S』なんて表示が出るなんて。」

ウェルネスは尊敬のまなざしでガルバドスに微笑み、見送った。

「では、気を付けてお帰りください。ギルドは貴方様を心より歓迎しております。」


「すごい。やるじゃん。総合『S』なんて私久しぶりに聞いたかも。」

「ありがとう。だが久しぶりとは?誰かほかに総合『S』を取るものがいたのか?」

「今はいないけど、この国で生まれた『勇者』が総合『S』だったわね。おじいちゃんから聞いたことがあるの。というか、あなたは異世界から来たもんね。少しだけ情報をいじったけど、ランクはいじってないよ。だからこれは貴方の実力。誇っていいと思うな。」

「ああ、ありがとう。」

「でも...あなた、魔術は『A』だったのよね。つまり、私の方が魔術に関しては上ってことだか...うっ...なんかお腹が痛い...。」

急にレドラがお腹を抱えた。なにかあったようだ。

「おい、レドラ。大丈夫か?どうかしたのか。」

「ええ。大丈夫。でもなんだかお腹が。でもこの痛みは、食べ物に当たった痛さじゃないし...もしかして。」

彼女は思い出した。彼女が買い物をしていた時に、こっそりガルバドスに腹痛の呪いを付与していたことに。(※3後書き参照)

「ねえ。聞きたいのだけれど、貴方呪い無効とか、持ってる?」

「うーんそうだな。私が持っているものでは...『呪詛無効』『呪詛認知』『呪詛反撃』があるな。」

「ちょっとここで待ってて。」

彼女はそういうとどこかに行ってしまった。数分後彼女は暗い表情で戻ってきた。

「貴方が言ったものってどういう効果?」

「スキルの一種だが、『呪詛無効』はその名の通り、呪詛を無効するスキルだ。基本的にすべてを無効にさせる。『呪詛反撃』は相手に呪詛を跳ね返すスキルだ。そして...レドラ。『呪詛認知』は自分に掛けられた呪いの種類と相手が分かるというものだ。つまり、君が呪いを掛けていたのは全部お見通しだったんだよ。」

ガルバドスはこらえきれなかった笑いを、ついに爆発させた

「もう!あなたのせいでとんだ酷い目にあったんだからね。もういいもん。」

彼女はそういうとガルバドスを置いて、また別の店へと歩き出した。

「ちょっと待ってくれ。元はというと君が悪いだろう?いたずらは良くないと思うぞ。だが、私にも非がある。何か詫びさせてほしい。まさか、こんなにも強烈な呪いだとは。」

レドラはその言葉を待っていたかのように目を光らせた。

「え?詫び?その言葉聞いたよ。じゃあ私の任務に手伝ってもらおうかなあ。」

彼女はそういうと鞄の中からギルド任務依頼紙を取り出した。


「これ、大物なんだけど。一緒に討伐しよ。さっき手伝ってくれるって言ってたもんね?」


ガルバドスはレドラにいたずら返ししたことを悔やんだ。「仕組まれた...」



=======================

        ギルド任務依頼


   任務:古代遺跡のゴーレムの討伐

   

    <任務可能推定レベル:A以上>


 <任務における討伐推奨人数:Aランク5人>

=======================









  

今回の後書きはありません。申し訳ないです。

これは聞いた話なのですが、レドラのギルドカードランクは現在『A』だそうです。

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― 新着の感想 ―
作風ががらりと変わって驚き。 丁寧に作り込まれた設定に、今後物語がどんな方向に進むのか気になりますっ
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