サバイバルしりとり→律儀に野生のクマさんにお辞儀したら追いかけられた
学校の休み時間。とある男子高校生が隣の席の女子高校生に声をかける。
「サバイバルしりとりやろうぜ」
「サバイバルしりとり? ………なにそれ」
「サバイバルに関係するしりとりだよ。文でも単語でも答え方は自由。『ん』を最後に付けたら負けなのはもちろん、内容が面白かったり納得のいくものであればその人の勝ち」
「面白そうだね。じゃあ、さっそくやろうか」
「オーケー。じゃあまず最初は『サバイバルしりとり』」
「おい、それはさすがに卑怯じゃないか? まあいいけど。じゃあ私は『律儀に野生のくまさんにお辞儀したら追いかけられた』」
「おい! 何律儀に野生の熊にお辞儀してるんだよ。危ねーだろ!」
「面白い回答をした人が勝ちなんだろう?」
「むぅ、そうだけど。じゃあ俺は『太郎君が滑落して骨折』」
「太郎君って誰だよ。酷い目に遭ってるじゃないか。じゃあ次は『疲れた身体に効くサバイバル飯』」
「急にサバイバル行きたくなるような答えだな。ちょっと俺今から行ってくるわ」
「行ってらっしゃい。私は行かないから」
「………冗談はさておき、次は俺か。どうしようかな」
「あれ、もう降参? 私の勝ち?」
「いや、まだだ。……………よし、思いついた。『静かな森に潜む黒い影』」
「ちょっ………! 怖いわ! 絶対サバイバルなんて行かない! あと、黒い影って野生動物なんだよね? まさか幽霊とか………」
「さあ、どうだろうね。さてこれ以上の答えを返せるかな?」
「うーん。これとかどうだろう。『玄関開けたら猛獣が』」
「怖いわ! こっちの方が怖いわ。サバイバル生活終了のお知らせじゃねーか! さて、お次はこれだ。『頑張って釣ろうとしたものが地球だったかも』」
「釣りで海底の岩とかに釣り針が引っかかる根掛かりだね。その瞬間の絶望感が伝わったよ。じゃあこれならどうだ。『持ってきたもの携帯だけ』」
「いろいろ詰んでる! サバイバルに電波が通じるならともかく、電波が通じないならほぼ荷物確定じゃん」
「記念写真取れるよ?」
「写真撮ってる場合じゃねーよ。まずいそろそろ休み時間が終わる………」
「私の勝ちかな?」
「いや、最後にこれを決める! 『結局サバイバルなんて行きたくない』」
「それは間違いない」
チャイムが鳴る。サバイバルしりとりは打ち切られ授業が始まる。勝者とかは、この際二人にはどうでもよいのだ。
「『今村君とならサバイバル行ってもいいかな』」
「なんか言ったか?」
「ううん、何でもない」
お読みいただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ギリギリ千文字以内で書けました!




