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34 元カノが新学期になってなぜか更にモテている

 新学期、いつもと変わらない日常。満員電車に揺られて学校の最寄り駅まで向かう。本当に一学期から何も変わらない普通の日。唯一変わったところがあるとするなら、俺の心境だろう。


(今日は……まぁ学校で普通に話せればいいか)


 華奈への潜んでいた好意を完全に自覚してからはや二週間。思考も完全に付き合っていた時の華奈のことばかり考えていた頃に戻ってしまい、どうにもソワソワして仕方が無い。

 ただ、あの頃よりも落ち着きというか距離感がいい意味でまだあるので、そこまで暴走気味な思考には至らないのが幸いか。

 電車を降りて改札を通り学校までのいつもの道を歩く。普段ならここら辺で肩をドスッと華奈か蓮あたりがぶつけてくるのだが、今日は誰も来ない。違和感を覚えつつ校門をくぐったところで、綺麗な短い黒髪の女の人に喋りかけられた。


「あの……天崎くんですか?」

「まぁそうだけど……あんたは噂の黒田結衣……でいいか」

「はい。初めまして」


 噂や話はよく聞いていたが、実物は初めて見た。艶がある黒い髪、綺麗系とも可愛い系とも取れるモデルなのも納得の顔に完璧なプロポーション。身長も女子にしては高い方で、まさしくな雰囲気。

 そりゃあモテるだろうし、高嶺の花にもなるだろうという要素を盛り込んだような存在だと思った。華奈も高嶺の花ではあるが、こっちはもはや住む世界が違いすぎる。


「で、何の用?」

「えと、蓮といつも一緒って聞いて」


 蓮が目的と分かり、俺はすぐに合点がいった。夏休み中俺が知らないうちに蓮は黒田と何回もイベントを起こしていたらしいし、あの蓮が本気で女子を落としに来たらそりゃあ陥落するのは時間の問題だよなと心の中で苦笑する。


「今日は残念ながら一緒じゃ無いぞ」

「そっか……何時くらいに来るかな?」

「分からん。もう来てるかもしれねえし、一緒にクラスまで行くか?」

「いいの?」


 不安そうに首を傾げてそう聞いてくる黒田。身長は170近くありそうなのに、仕草はやけに小動物系だなと感じる。


「逆にダメな理由がわからんが……」

「ありがとう天崎くん!」

「いやいいよ。んじゃ行くか」


 黒田を連れてクラスへ向かう。向かう道中は黒田への視線が物凄く、もはやすれ違った奴全員が振り向いて見惚れていたくらいだった。

 華奈の時は俺にも視線が貫通していたが、黒田の時はそこまで俺にまで貫通してこないのでありがたい。

 クラスの前まで来たのでドアを開けてみるといつも以上に男子に囲まれている華奈の姿と、それを捌く蓮の姿があった。


「……」

「蓮〜」

「あ、結衣だ。横に悠真もいる」

「悠真ぁ……! 助けてぇ……!」


 いつも平和だったはずのクラスが混沌としている。というか、一学期どころか一年生の頃すらあんなに囲まれている華奈は見たことがない。クラスの男子どころか、他のクラスの男子までいる。


「蓮、どういう状況だよこれ」

「悠真と華奈が花火を二人きりで見てたのがバレちゃった。それでみんなが本気出し始めちゃった」

「ふざけんなクソが」


 俺が自覚してから本気を出し始めるあたりがあまりにもタチが悪いと思ってしまうが、みんなそんな事情知る由もないので仕方が無い。

 しかしそれだけで説明がつく人数じゃ無い。おおよそ10人以上は囲んでいる。そんな疑問を抱いていると、蓮が補足してきた。


「それと、僕が結衣と割と仲良いのも知られちゃったから、結衣好きだった人が流れてきてるかもね」

「……ほう」

「どう? そんな人たちに負けられないってなった?」

「まぁ……」


 俺は少し濁す。しかし蓮に対して俺の華奈への感情なんて、どうせバレているに決まっているとヤケクソ気味になってしまってついこう口走ってしまった。


「負けるわけねぇよ」

「……言うねぇ悠真」


 まぁ仕方ない。好きなものは好きなのだから。

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