ヒースフォート城のモルガナイト(12)
「ご趣味は?」
「……ガラクタ集め」
「ご年齢は?」
「……この間、25歳になりました」
「で、でしたら! 好みの女性のタイプは?」
「……賢い人。あと……煩くない人がいいですね。そうなると……あなた達はどちらの意味でも、論外ですか?」
結局、落ち着いてコーヒーを啜る猶予もないままに、仕方なしに3名様の質問に答えるが。相変わらず、言葉にトゲを仕込みながら予防線を張ってみるものの、その程度で引くようであればここまで執拗に追いかけ回したりしないだろう。彼女達の必死さが本物であれば、まだいいのだが。皆々様のそれは、どこまでも打算的なものでしかない。だから、ラウールは不機嫌なのだ。……いつだって本物を求める彼には、上辺だけの媚び諂いは、反吐が出る程に不興な出来事以外の何物でもなかった。
「まぁ、いいでしょう。どうせ、あなた達のそれは余興でしかないのでしょうから。ですので……俺の方も余興の宿題を出すことにしました。今から出題する謎掛けをクリアできるようでしたら、少しは真剣に検討しましょう」
「ほ、本当ですの⁉︎」
「その謎掛けって……どのような物ですの⁉︎」
余興と言われた事を否定もせず、珍しく前向きなラウールの提案に前のめりになる、お嬢様方3名。その食いつき方に更に興醒めだと思いながら、ありったけの無理難題を吹っかけてみる。
「そんなに前のめりにならなくてもいいと思いますが……まぁ、いいでしょう。その答えを見事に提示できた方は、そこそこに賢いと判断いたしますので……結婚を前提にお付き合いしてもいいですよ? ……さて。そのある物ですが。形や種類は非常に豊富。人によって価値も違うみたいですね。ただ……どんなにちっぽけなモノでも、大抵は価値は高いものですから、贋作もたくさん出回っています。本物も偽物もある中で、俺が欲しいのは当然ながら、本物の方です。ですので、非常に困難を極めるとは思いますが……そんなに珍しいものでもありませんので、是非に頑張って探してきてください」
「も、もちろんですわ!」
「早速、探して……必ず持ち帰って見せますわ!」
端正な顔に含み笑いを乗せながら、そんな事を言ってやると。先程までの結託もアッサリ解消とばかりに、三者三様に席を立ってそそくさと立ち去る、お嬢様方。そんな彼女達の背中を見つめながら……カフェ代を置いて行かない時点でガッツリ減点だと、意地悪くクスクスと堪え笑いを漏らす。多分、彼女達がラウールの問いに本当の意味で応える事はないだろう。なぜなら……。
(それには、形がありません。だから、持ち帰る事はそもそもできないのです。……正解の基準すら曖昧なのに、どう持ち帰ると言うのでしょうね?)
余興ついでに、彼女達の必死さを横目に拝むのも悪くない。それに、彼女達が初めから正解のない謎掛けを追いかけているうちは……少しは静かに過ごせるだろう。




