正義の仮面
その後、天界政府にはガブリエルも最高幹部として参加した。
そして天界政府はある作戦を立てていた。
それは、【サタン討伐作戦】
魔界の王、サタンの討伐であった。
力を受け継いだウリエルとガブリエル。
討伐作戦決行の日は近かった。
ウリエルは自室で仮眠をとっていた。
ぼやける視界の中に、顔が浮び上がる。
両親の顔だった。
「殺せ……殺せ……ルイスの血族を、根絶やしにするんだ……」
そううなされ続けた。
ウリエルは必死に無視していた。
しかし、父親が鎖で繋がれたメアリーを引っ張ってくる。
「こんな特攻にしか使えないような奴隷達を生かしてていいわけが無いだろう」
やめろ、やめろ、やめろ、やめろ!
父親はメアリーの胸に刃物を突き立てた。
「ほらここに刺すんだ、そうすればすぐに!」
父親がメアリーの胸を刃物で貫いた。
返り血がウリエルの視界を覆う。
「ああああああああああああ!!」
ウリエルは飛び跳ねるように起き上がった。
身体中から汗が垂れ流れている。
「クソ……」
ウリエルは額に手を当てる。
こんな悪夢が、なんでいきなり……
「ウリエル……」
エースはベッドの横の椅子に座ってウリエルを見つめていた。
「ウリエル、開けてもいいですか?」
扉からメアリーの声がした。
ウリエルは「あぁ」と返す。
「ウリエル、ご飯を持ってきました」
メアリーはそう言い、バスケットを片手にウリエルの横に座る。
バスケットの中にはいつものサンドイッチが入っていた。
「ありがとう……」
ウリエルはサンドイッチを手にする。
ウリエルはどこかを見つめながらボーッと食べ続けるだけだった。
「それにしても、大きくなりましたねウリエル」
メアリーがウリエルを見てそう言う。
「そういうメアリーは出会った時から変わらないな……」
ウリエルの言う通り、メアリーは何年経っても少しも見た目が変わらなかった。
「うん……よく分からないんだけど私の持つ力のせいらしいの」
「そうなのか……?」
「うん、あまり分かってないんだけどね」
この当時、メアリーの持つ力は多くの謎に包まれた力だった。
能力としては、破壊された部位を再生させる。それだけだった。
ほかの力に見られる覚醒というものがなく、力の名称すら分かっていなかった。
しかし、その力の能力は絶大で、九魂神の力で最強だと言われていた。
「名前は……道の声が言っていたルクスの柱だったんだな……」
ルクスの柱……ルクスとは、古代の何処かの国の言語で【光】という意味だったらしい……
光の柱……この力の覚醒による能力を知っているものが名付けたのだろうか……
それは一体……誰なんだ。
エースが考え事をしている間に、2人はサンドイッチを食べ終わったようだ。
「これから作戦会議だから、会議室に行こう」
メアリーの言葉に、ウリエルは立ち上がる。
2人の後をエースも着いていく。
「これより、会議を始める」
ゼウスがそう言った。
「我々は、ルシ……サタン討伐のために、魔界への攻撃を開始する」
「開始は明日の正午の鐘がなった瞬間だ」
「各員、部隊に伝えるように」
その言葉に皆が敬礼する。
明日……、ここで、初めて見たウリエルの記憶に繋がるのだろう……
血にまみれた世界で、サタンとの無謀な戦いを……
「待ってください!」
皆が離席の準備をしていた時に、ウリエルの声が会議室に響く。
「明日に決行だなんて急すぎます……」
「相手が未知数な以上、もっと慎重に行くべきです」
そのウリエルの訴えをサタンは却下する。
「今やらなければいけない、もう何人もあいつに民が殺されている。それでは我々の面子が立たないだろう」
そう言い、ゼウスは議会室を後にした。
(そんな……)
エースは会議室を出ていくゼウスの頭を思い切り殴った。
拳はゼウスの頭をすり抜け、当たることは無いがそれでも抑えられなかった。
「それで大勢……死ぬんだよ! クソ……!」
エースとウリエルの感情の呼応がより高まっていた。




