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その料理は男飯

掃除や買い物ですっかり時間は夜になった。

家電なども明日見に行く事にしているので、そっちもいいものを選ぶ事に。

幸いロザリオはお金は好きに使っていいと言っているのが嬉しいところだ。

そして一通りの事は片付き、少し遅い夜ご飯である。


「さて、腕を振るうとしますか」


「何を作ってくれるんだ」


「それはお楽しみ」


そうして調理に取り掛かる。


古い炊飯器で炊いているご飯はもう少しで炊きあがりそうだ。


「ふんふふーん」


「手際がいいな」


「仮にも大衆食堂の娘をなめんなよ、僕」


「それにしても量が多くないか?リツコの分も含めるとしても」


「男の子はこれぐらい食べるでしょ?」


その料理の量は確実に多い様子。

ロザリオは少食でこそないものの大食いというわけでもない。


その量に少し戸惑いを隠せない様子。


そうしているうちにご飯が炊きあがり、理津子の料理もどんどん完成していく。


そんなわけで少し遅い夜ご飯である。


「はい、出来たよ、たんと召し上がれ」


「…これは流石に多くないか?」


「ロザリオは細いんだからキチンと食べなさい」


「うぐっ、分かったよ、食べるよ」


メニューは豚肉の生姜焼きに卵あんかけ、肉野菜炒めにチーズマカロニ。

そこに白米を三合ほど。


しかも盛り付けは豪快であり、女性の作る食事とは思えない豪快さがある。


大衆食堂の娘という事からなのか、こういう盛り付けの方が得意なのだ。


よくあるおしゃれなカフェのランチではなく学生やサラリーマンの昼食というべきか。

家を手伝っていた経験がすっかり豪快な男飯を作る腕を養ってしまったのだろう。


「美味しい、凄く美味しいんだけど、リツコの盛り付けは完全に女のそれじゃない」


「うっさい、そもそも大学の時も中華料理屋とかばかり行ってたしね」


「食事に関しては男に引かれるだろ」


「何を抜かすか、最近はよく食べる女の子がモテるんだよ」


「はいはい」


そんなどうでもいい話をしつつもロザリオは美味しそうに食べてくれる。

事情を聞くのは今度にするとしても、こういう食事は久しぶりなのだと感じ取る。


「にしても、リツコ、お前よく食べるな」


「言ったでしょ、よく食べるって」


「それなのにそのスタイルはおかしい、どこに消えてるんだ」


「女には秘密があるの、ミステリアスな女って素敵でしょ」


そんな話をしつつもその大量にあった食事はすっかり消えていた。

ご飯が少し残っていたので、塩むすびにしておく事にした。


少し休んでから食器を洗って片付ける。

そのあとはお茶を淹れて、少し休憩。


あとは風呂掃除をして風呂に入って寝る事に。


「そういえばあたしはどこで寝ればいいの」


「昔いた使用人が使ってた使用人用の部屋があるから、そこを好きにしていいよ」


「分かった、お風呂から上がったら見せてね」


「そっちは最低限は僕が掃除しておく、一応埃だらけの部屋で寝かせられないし」


「おや、ならお風呂掃除してくるからそっちは任せるよ」


そうしてロザリオは使用人用の部屋の掃除に、理津子は風呂掃除に向かう。

どっちもかなり汚れてはいるものの、使うだけなら問題ない程度には掃除が出来た。


本格的な掃除は明日改めてする事に。


とりあえず風呂にする事にしたのだが。


「ねえ、一緒に入る?」


「ぶほっ!?なななな、何言ってんだ!馬鹿か!それともアホか!」


「別にいいじゃん、減るもんでもないしさ」


「お前、そういうのに少しは抵抗を持て!あと僕はあとでいいから!」


「意外と可愛いねぇ、まあ今日は別でいいかな、今度一緒に入ろうね」


「あいつ…なんなんだ、もう…」


そんな理津子の態度から本当に抵抗がないものだとロザリオは察した。

引きこもりの自分には刺激が強すぎる、凄い人を呼んでしまったのかと思っていた。


それから少しの間は心拍数が凄い事になっていたらしい。


そして理津子がお風呂を済ませ上がってくる。


「お先にいただいたよ」


「お前、服を着ろ!タオル一枚で出てくるんじゃない!」


「仕方ないでしょ、着替えがないんだから、明日買いに行くから」


「あー、なら少し古いけど寝間着があるからそれを着ろ!持ってくるから!」


理津子のこういうのに無頓着なところは年頃の男の子には刺激が強すぎる。

それから寝間着を借りてそれを着る事に。


そんな騒がしい夜は騒がしいまま過ぎていき、夜は更けていく。


明日からはいろいろとさらなる買い物に奔走する事となる。

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