掃除をするぞ
異世界の方もすっかり年末の空気に突入した。
それもあり屋敷でも大掃除を決行する事に。
とはいえそこまで酷くは汚れてはいないようである。
ロザリオの一人暮らしの時に比べれば全然綺麗になっていたようで。
「お、少年、そいつは魔道書かね」
「ああ、研究に使ってるものなんだけど、気がついたら溜まっててな」
「ロザリオは魔法の研究をしてるんだもんね」
ロザリオが研究に使っている魔道書。
本屋に行くとよく買ってくるので自然と溜まってしまう様子。
「それにしても私物が結構出てくるわねぇ」
「みんな大掃除は進んでる?少し休憩して甘いものでもどう?」
「そうだな、だいぶ片付きはしたから、少しぐらいならいいか」
「汚れにくいお菓子作ったから、それでも食べようか」
「こういう時は考えて作るね」
大掃除もだいぶは片付いた様子ではある。
とりあえず休憩して何かをいただくことに。
理津子が作っていたのはゼリーのようだ。
「お、こいつは美味しそうなメロンゼリーね」
「うん、せっかくだからこういうのを作ろうかなって」
「それにしてもメロンゼリーといいメロンソーダといい、緑が濃すぎるな」
「メロンの味っていうか、メロン果汁の味なんだよね」
「この緑色が美味しいとは思うんだけど」
緑色が美味しいと言うセルベーラ。
確かにメロンゼリーやメロンソーダは見事に緑色をしている。
食べられると分かっていても、毒々しい緑色だとは思う。
「うん、美味い、ゼリーはやっぱりゼラチンに限るわね」
「ゼリーもゼラチン派と寒天派がいるよね、あたしはゼラチン派なんだけど」
「僕は寒天派だな、寒天の方が食べやすいだろ」
「それは分かる、ゼラチンのゼリーって綺麗に食べにくいしね」
「でもリツコはゼラチン派なんだね」
ゼリーにもゼラチン派と寒天派という派閥があったりする。
きのこたけのこやつぶあんこしあんみたいな話ではある。
理津子はゼリーはゼラチン派らしい、なお綺麗に食べるのは難しいという。
「でもりっちんがゼラチン派っていうのは意外だった気がするわね」
「お父さんが家でゼリーを作る時はゼラチンゼリーだったのは大きいかな」
「お前の料理は父親の影響が大きいんだな」
「それはあるよね、でもゼリーっていうと寒天派の方が多そうではあるかも」
「ゼリーのゼラチン派と寒天派って派閥みたいな感じなのかな」
ゼリーのゼラチン派と寒天派はあまり語られないだけで実は争っていたのか。
きのこたけのこやつぶあんこしあんに比べれば影は薄いかもしれない。
とはいえ世の中にはきのこたけのこやつぶあんこしあんみたいな争いの話は多いのかもしれない。
「んでゼラチン派と寒天派の争いって実際にあるもんなんかね」
「あたしの世界だときのこたけのことつぶあんこしあんが割と有名な論争かな」
「お前の国だときのこたけのこやつぶあんこしあんで争ってるのか」
「ちなみにきのこたけのこってお菓子だよ、きのこの山とたけのこの里っていうやつ」
「おかしなの?そういうお菓子があるんだね」
きのこたけのこに関しては知らないとちょっと不思議に聞こえるかもしれない。
きのこたけのこ戦争はお菓子の話だという事である。
ゼリーのゼラチン派と寒天派も実は戦争しているのかもしれない。
「ゼリーのゼラチン派と寒天派、世の中には知らないだけでそういう争いは多いんかね」
「どうなんだろうね、実はそういう争いはたくさんあるのかも」
「そういう割とどうでもいい事で争えるのは平和な証拠だろ」
「それはあるかもね、目玉焼きに何かけるみたいな争いもあるし」
「きのことたけのこどっちも好きじゃだめなのかな」
どっちも好き、それでいい。
とはいえその争いは実は売っている会社が煽っているのかもしれない。
きのこたけのこ戦争は売っている会社が煽って始めた戦争なのだろうか。
「まあそのきのことたけのこもそうだけど、ゼラチン派と寒天派は好みの話よね」
「実際そういう話は争ってなくても派閥があったりするものなのかもね」
「俺はゼリーはゼラチン派だ、だが寒天派のお前を否定はしないみたいな話でいいだろ」
「それはそうなんだけどね、そういう争いって実はいろいろあるのかなって気になるし」
「そういう話は意外と知らないだけであったりするのかも、実は好みの話でしかないけど」
ちなみにゼリーは夏場は簡単に型崩れするので、冬場におすすめの食べ方ではある。
寒天は簡単には型崩れしないので、夏場は寒天の方がよかったりする。
とはいえゼラチン派と寒天派は争いがあるかはともかく、好みは少なからずあるのだろう。
「美味しかったぜぇ、満足満足」
「それじゃ片付けたら大掃除再開するからね、本当に必要ないものはまとめておいてね」
「分かった、夕方までには終わらせるぞ」
「それじゃ大掃除再開だね」
そんな大掃除で本当にいらないものは古本屋に買い取ってもらったりなんだりである。
処分するものもあれば、古物商に買い取ってもらったりなどで処理していく。
魔道書などもそうだが世の中には絶版になっている本は多数ある。
ロザリオの持っていた魔道書にも絶版本が混ざっていたようだ。




