多様なコーヒー
暑さも少し落ち着いてきた夏の終わりも近い季節。
とはいえ残暑はあるだろうから完全に暑さが落ち着くにはもう少しかかる。
それもありまだ暑さ対策はしておく事にする。
そんな中買い物帰りにサインと出会い少しコーヒーでも飲む事になった。
「ふぅ、美味しいね」
「ええやっぱりコーヒーはいいものね」
「サインってコーヒー好きだよね、やっぱり徹夜するのに飲むからなの」
サインはコーヒーにはちょっとうるさかったりする。
コーヒーが好きな理由はやはり夜遅くまで起きているからなのか。
「サインってコーヒーにこだわりとかあるの」
「そうね、カフェインを摂るのが目的なところもあるけど」
「カフェインって摂りすぎると体に悪いんだから、しっかり寝ないと駄目だよ」
「流石によほどの追い込みの時以外はしっかり寝ているから安心なさい」
「ならいいんだけど、それ以外でも飲むのかな」
サインも徹夜するのはよほどの追い込みの時だけという。
それ以外では甘いものとコーヒーでコーヒーブレイクをするのが趣味らしい。
とはいえサインが砂糖とミルクたっぷりのカフェラテが好きらしいが。
「でもこっちの世界って缶コーヒーとかコンビニコーヒーみたいなのはないんだよね」
「缶コーヒーとかコンビニコーヒー?」
「コンビニっていう施設はあるけど、缶コーヒーとかコンビニコーヒーは見ないし」
「つまり缶で売られているコーヒーとかそういう事ですか?」
「そうそう、あれはあれで美味しいから好きなんだけど」
こっちにもコンビニに近い総合店のようなものは存在する。
コンビニという名前ではないが、それとほぼ同じ感じの店だ。
ただそこで買えるコーヒーと言うと瓶入りのカフェオレのようなものになるわけだが。
「缶コーヒーが恋しいなぁ、カフェで飲むこういうのも美味しいんだけどね」
「その缶コーヒーというのは美味しいんですか」
「美味しいよ、手軽で飲みやすいのがいいんだよね」
「しかしリツコの世界には多様なコーヒーがあるんですね」
「うん、インスタントコーヒーでもそれなりに美味しいしね」
理津子の世界にも多様なコーヒーがある。
インスタントでもそれなりに美味しいのはそれだけ恵まれているという事なのか。
とりあえずこっちの世界のコーヒーもそれなりに美味しいものではある。
「サインの好きなコーヒーって甘いやつでしょ」
「コーヒーは砂糖とミルクをたっぷり入れるものではないのですか?」
「まあ好みの飲み方があるから否定はしないけどね」
「そういえばリツコはコーヒーを飲んで徹夜とかしないのですか」
「ああ、あたしカフェイン耐性があるんだよ、というか日本人はカフェイン耐性があるから」
理津子というか日本人はカフェイン耐性がある人が多い。
それに加え乳糖不耐症を持っている人が多い国民でもある。
なのでコーヒーを飲んでも目は冴えないのである。
「だからコーヒーを飲んでも眠気覚ましにはならないんだよね」
「そうだったんですか、珍しい体質なんですね」
「まあコーヒー自体は好きだよ、苦いのも甘いのもね」
「とはいえカフェイン耐性ですか、そういう体質もあるものなんですね」
「あと乳糖不耐症も多い国民性だから、牛乳を飲んでもあまり効果がないとかもあるよ」
日本人はカフェイン耐性と乳糖不耐症の両方持ちが多い国民性でもある。
なのでコーヒーも乳製品も効き目は薄いという事になる。
なおコーヒーも乳製品も食べたり飲んだりするのは好きな国民でもある。
「ただそれでもコーヒーも乳製品も好きだけどね、美味しいし」
「カフェイン耐性と乳糖不耐症を持ちながらも好きというのは味が好きという事ですか」
「それはあるかもね、学校給食は牛乳が出るし、乳製品のお菓子も多いしね」
「日本人というのは不思議な国民性というかなんというか」
「食については貪欲な国民性っていうのはあるからこそなのかもね」
美味しいものはなんでも食べたくなる。
だからなのかそうした事は特に気にせずに味わっている。
こっちの世界のコーヒーや乳製品もなかなかに美味しいと理津子は言う。
「それじゃそろそろ帰らなきゃ」
「そうですね、支払いは私がしますから」
「ありがとね、サイン」
こっちの世界のコーヒーも悪くない美味しさである。
コーヒーは主に獣界産のものが多く、品質もお墨付きだ。
獣界のコーヒーは農家がそれだけ丹精込めて作っているという。
異世界と繋がるという事は、それだけ異世界のグルメも入ってくるという事になる。




