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今年も冷やしました

すっかり夏本番となり暑さも本格化してきた季節。

とはいえ港町という土地の関係で海風があり思っているより暑くはない。

また理津子の世界に比べたら湿度が低いので、不快感も少ない。

それでも海沿いは内陸に比べれば多少は湿度があるようではある。


「室内に引きこもるのサイコーよね」


「夏に外に出るとか何が楽しいか分からないしな」


「ロザリオって超がつくレベルのインドア派だよね」


そんな今年もあれの季節がやってくる。


始めましたののぼりのあれである。


「この季節はそいつの時期ですかね」


「うん、冷やし麺の季節だね」


「冷たい料理ってお前の世界では珍しくないんだったな」


「そういう事、冷やして食べる季節だよ」


「夏らしくなってきたね」


今年も冷やし麺の季節がやってきた。

理津子曰く冷やし中華ではなく冷やし麺らしい。


父親の影響でそう呼んでいるからなのだとか。


「でもりっちんの世界だと冷たい料理も一般的なんよね」


「そうだね、冷製スープとか、冷製パスタとか、他にも冷たくして食べる料理は多いよ」


「こっちでは冷たい料理なんて珍しいからな、デザートなんかは冷たいのも多いけど」


「冷たい料理が珍しいのってやっぱり保存の問題とかなのかな」


「機界の技術が入ってきて保存は出来るようになったけど、文化的な理由の方が大きいかも」


冷たい料理が珍しいのは保存の技術よりも文化的な理由の方が大きいという。

機界の技術により保存は圧倒的に楽になっている。


とはいえ冷たい料理に抵抗があるのは今も変わらないのだとか。


「でも食べないっていうわけではないんよね、珍しいってだけで」


「そんなものなんだね、文化的な理由の方が大きいのか」


「ただ冷たい料理っていうのは食べてみると悪くないとは感じるけどな」


「冷やし麺もこれは中華麺だけど、冷うどんとかも冷やし麺の仲間だろうからね」


「そういえば他の麺類も冷たくして食べる季節だっけ」


こっちの世界には名前が違うだけで似ている麺類は存在する。

尤も理津子は自分の世界の名前で呼んでいるわけだが。


冷たい麺類はこの季節だからこそ美味しいのもある。


「冷たい麺類って喉越しがいいからこその美味しさよね」


「でも冷たい麺類は冬でも別に食べていいと思うけどね」


「夏はきちんと食べろっていうからこそ具は多めにしてるのか」


「冷やし麺はハムじゃなくてチャーシュー派だからね、あたしは」


「そういうこだわりはあるんだね」


そんなチャーシューを具にした冷やし麺。

こっちでも海藻類が手に入るのは意外だったと理津子は言う。


港町だからこそ海藻類も手に入るのかもしれない。


「りっちんの世界だと冷たい料理って割とメジャーな地位なんよね」


「そうだね、夏は結構いろんなお店で出してたりするし」


「そういうのって国の環境とかが関係してたりするのか?」


「あたしの住んでた国は高温多湿の国だから、食中毒との戦いでもあったしね」


「夏は特に食べ物が腐りやすかったって事か」


こっちの世界は湿度が低めなのが理津子には何よりも嬉しいという。

海沿いの街なので多少はあるものの、ジメジメしているとまではいかない。


そうした環境は高温多湿の国で生きてきた理津子には嬉しい限りのようだ。


「高温多湿の環境っていうのはそんだけ過酷なんかしら」


「過酷というより夏はとにかくジメジメしてストレスは凄いかも」


「食べ物が腐りやすいっていうのも分かった気がするな」


「昔は保存の技術の問題もあったから、今はマシになったけどね」


「湿度が高いっていうのはなんか想像しにくいかも」


冷たい料理が発展したのはお国柄という事なのかもしれない。

高温多湿の環境は夏場は特に食べ物の保存に気を使う事もある。


こっちの世界の湿度の低さは何よりも新鮮に感じたのだから。


「夏の環境も多様なんね、湿度が高いっていうのは食べ物もすぐに腐るとか」


「実際食中毒が一番発生するのも夏だからね」


「腐ったものを食べるわけにもいかないもんな」


「冷たい料理は夏場を凌ぐ知恵の一つなのかもね」


「高温多湿だと食べ物が腐るから、昔の人は知恵を巡らせてたって事だもんね」


なんにせよ理津子が感じる湿度の低さはそれだけ料理にも影響している。

料理が好きだと湿度にも敏感になるというもの。


夏の食中毒は先人の知恵も大きかったのかもしれない。


「ふぅ、んまかったぜぇ」


「夏はお昼ぐらいは冷たいものを食べたくなるものだよね」


「冷たい料理も食べてみると美味しいものだしな」


「暑い日は体を冷やすのも大切だもんね」


冷やし中華ではなく冷やし麺と呼ぶのは父親の影響が大きい。

こっちの世界では似たものはあるが同じではないので、自作したりもする。


中華麺に似た麺で作る冷やし麺は、味は大きくは変わらない。


名前などは変わっても似ているという事は味も似ているのだろうから。

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