夜の街の話
冬の寒風が身に染みる冬の港町。
とはいえこんな寒い日は温かい肉まんなどが美味しくもある。
冬でも露店で肉まんなどが売られているのは商魂というものを感じさせる。
そんな中休みの日のレミリアと出会った。
「えっと、出してくれてありがとう」
「あなたにはいろいろ協力してもらってるから、たまにはね」
「うん、それにしてもレミリアって社長なのに結構自由だよね」
レミリアの会社は製薬会社なので、様々な薬を作っている。
その中にはワクチンや抗生物質まであったりするのだ。
「そういえばこっちの世界にも夜の街みたいなものってあったりするの?」
「夜の街?そうね、酒場なんかは夜は結構繁盛したりするわよ」
「そういうのじゃなくて、水商売的な方の夜の街なんだけど」
「あら、そういうのにも興味がある年頃かしら」
「そういうつもりじゃないけど、少し気になって」
夜の街、理津子の世界で言うところのホストクラブやキャバクラ的なものの事だ。
レミリア曰くそういう店もあるにはあるという。
ただ過去にそうした商売で流行り病が起こっていて、厳しい管理下にあるという。
「そういうお店ってあるの?」
「一応あるわよ、サキュバスとかインキュバスって分かるわよね?」
「うん、分かるけど」
「サキュバスやインキュバスはそうした店を経営している事が多いのよ」
「へぇ、やっぱり精がエネルギーとして大きいとかなのかな」
レミリアが言うには風俗的なものの多くはサキュバスやインキュバスが経営しているという。
それはつまり精、要するに性行為をする事で力を得ているという事なのか。
人間が経営している店もあるが、やはりサキュバスもインキュバスも気持ちよさが違うとか。
「なるほどねぇ、そういう理由があってそういうお店をやってるのか」
「それにその手のお店は基準が厳しいから、変に脱法しようとしたら大変なのよ」
「過去の性病がその理由か」
「ええ、まあ夜の店はあるけど、検診とワクチンが義務されてるからこそなのよ」
「つまり検診とワクチンを受けない人は風俗的なお店で働けないのか」
そうした性行為をする店で働くにはワクチンと定期検診が義務なのだという。
それを怠った場合即解雇という法律もある。
その一方でホストクラブやキャバクラ的なものは高い税率が課せられているのだとも。
「えっと、性行為じゃなくてお酒を飲むタイプの夜のお店はどうなの」
「そういうのはあるにはあるけど、あまり人気って事もないわね」
「そうなの?意外な感じ」
「お酒なら酒場で飲んだ方が安いし、それに税率が高いから寂しい人が行くイメージなの」
「なるほど、ホストクラブやキャバクラ的なものってそういう扱いなのか」
ホストクラブやキャバクラ的なものは税率が高く、また酒が飲みたい人は酒場に行く。
それもあり話がしたい寂しがりやな人の店というイメージが強いのだという。
男も女も酒が飲みたいだけなら多くの人は酒場やバーに行くのだとか。
「いろんな事情が見えてくるなぁ」
「夜の店はあるし、夜の街もあるけど客層は店によって全部異なるのよ」
「でもそういうのにのめり込んで大金をつぎ込む人もいるんだよね?」
「そうした事も過去に社会問題化したのよ、だから高い税率が国から課せられたの」
「なるほど、税率が高ければその分ある程度は躊躇するかもって事なのか」
ちなみにホストクラブやキャバクラ的な店の税率は驚異の80%である。
10000使うと税金で8000追加で持っていかれるという驚異の税率だ。
札束を出そうものなら札束を追加でもう一つ持っていかれるようなものなのだ。
「それでも行く人は行くんだよね?」
「ええ、まあその税率の事もあって行くのは基本的にお金持ちの寂しい人ばかりよ」
「そりゃ税率がそんなに高かったらね」
「国としても過去の社会問題から試行錯誤したっていうのは分かるわよね」
「店そのものは禁止にせずにその商売に高い税率っていうのもなかなかに凄いけど」
国が採ったのは商売を規制する事ではなく高い税率を課す事。
高い金を取られるとあれば貧しい人はいけなくなる。
それでもそれらの店の売上は大きく落ち込んでいないという統計も出たという。
「面白い話聞かせてくれてありがとね」
「あなたがこっちの世界の事情に少しでも詳しくなりたいならいくらでも話すわよ」
「うん、また機会があったら聞くよ」
そんなこっちの世界の夜の街事情。
サキュバスやインキュバスとの性行為の気持ちよさ。
ホストクラブやキャバクラ的な店の過去の社会問題と高い税率。
全ては国も考えているという事なのかもしれない。




