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産地は大切

こっちの世界も春が目の前に来ている様子。

そんな春の食材で何か作れないかと考えるのもまた一興だ。

春の味覚はもう少し待つとして、買い物であさりが安いのを見つけた様子。

なのであさりで何か作ろうと考える。


「ふぅ、あさりが安く手に入ったのはいいけど、何作ろうかな」


「あら、あなたリツコじゃない」


「あれ?レミリアだ、こんなところで何をしてるの」


買い物の帰りにレミリアに出くわした様子。


本人曰く今日は休暇で、会社も休みの日らしい。


「それにしても美味しそうなあさりをたくさん持っているわね」


「安かったからつい買っちゃったんだよね、これで何か作ろうか考えてるの」


「なら私もお邪魔していいかしら、あなたは料理が得意だと聞いているし」


「それは別に構わないけど、吸血鬼も普通の食事は摂るものなの?」


「当たり前でしょ、血液を摂取するのとはまた別の話なんだから」


そういうところは普通の人間と変わらない様子。

血液を摂取は生きるのに必要だが、それとは別に食事もきちんと摂るらしい。


なおトマトが好きだと本人は言う。


「ここは港町だから産地直送の海鮮類が美味しくていいわよね」


「そうだね、産地直送なら産地偽装される心配も少ないだろうし」


「産地偽装って、あなたの世界ではそれがされているのかしら」


「あたしの住んでた国って隣国が違法操業しまくる国で、それに根こそぎ取られちゃうんだよ」


「あなたってどんな国に暮らしていたのよ」


理津子曰く近隣の国がどこも蛮族のような国だとの事を言う。

それが違法操業で海の幸を大量に採っていく事は問題にもなっていた話。


それにより産地偽装が横行するようにもなったという。


「つまり隣国に取り尽くされるから、それを輸入して自分の国が産地だと偽装してるのね」


「うん、それにその国が産地のものってアレルギーみたいに嫌う事も多いからね」


「その隣国ってそれこそ偽装とかが横行していると捉えていいのかしら」


「そんな感じだね、要するに安かろう悪かろうで安物買いの銭失いなんだよ」


「それなのにその国から輸入しているというのは自国で採れないから苦肉の策なのね」


理津子の住んでいた国は外国からの食料の輸入が多い国でもある。

その一方で食にはとても敏感でうるさい国でもある。


なので産地偽装に対して怒るのは当然であり必然でもある。


「でもあなたの暮らしていた国ってそんな国に囲まれてよく生きていたわね」


「島国なのは大きいとは思うけどね、ただ立地は神様を呪うレベルだけど」


「産地偽装が横行するのはその国が産地だけバレると売れないからなのね」


「アレルギー的な面もあるし、実際腐った肉とか毒が混入した加工品とかがあったから」


「それでもその国が産地のものを輸入し続ける辺り、どうなのかとも思うけれどね」


それに対しては反論出来ない話でもある。

産地については結構うるさいのも国民性ではある。


高いものがいいものとは限らないが、いいものは相応に高いという事だ。


「でもあなたも産地って結構気にしてるんじゃない?」


「確かにしてるかも、美味しいものを選ぶ基準でもあるし」


「まあ確かに森の国のお肉は美味しいし、港町の魚は美味しいものね」


「結局はあたしの住んでた国の人は安いものが正義だと信じ込んだのが全てだよね」


「安いものというのは安いなりの理由があのるよ、品質を犠牲にしたから安く出来るものよ」


レミリアの言う事も当然ではある。

レミリア曰く人工血液は本物の血液には味では絶対に勝てないと。


薬もまた同じで安い薬は効果が低い上に副作用も出やすかったりするのだとか。


「安いものはなぜ安いのかを知らなきゃ駄目よね、品質以外にも犠牲にしたものがあるもの」


「長く使うものは高いものを買え、使い捨てのようなものは安いものでいいみたいな話かな」


「食べ物でも道具でも安いものには相応の理由がある、安さは決して正義ではないわよ」


「製薬会社の社長が言うと言葉の重みがあるよねぇ」


「まああなたはそれを分かってるみたいだから心配はしてないけどね」


理津子もレミリアも値段とは品質であるというのは共通認識だ。

料理好きと商売人にとって品質の大切さは何よりの話。


それでも真の料理人は安い食材を美味しく仕上げるとも。


「さて、それじゃご馳走しておくれよ」


「うん、じゃあ屋敷に帰るよ」


「リツコの作る食事は美味しいらしいし楽しみだね」


そうして帰ってからはレミリアも理津子の食事を満足そうに食べていた。

その味は想像より美味しかったとレミリアは言う。


理津子は産地を食材を選ぶ基準の一つにしている。


それは信頼と実績も同時にあるからなのだろう。

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