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直伝のカレー

夏の暑さも少し落ち着いてきた最近。

この前の約束として父親直伝のホテルカレーを作る事にした理津子。

材料を揃えて朝からカレーをじっくりと煮込むためキッチンに張り付く。

そんな父親直伝のカレーの味はどうなのか。


「りっちん、この前言ってた例のホテルカレーってやつを作っとるん」


「みたいだな、材料も揃えてたみたいだし」


「ずいぶん煮込んでるみたいだけど、そんなに煮込むんだね」


そんな長時間煮込んだホテルカレーが完成したようである。


ホテルカレーの場合はライスで食べるのがお約束だ。


「これが例のホテルカレーってやつなんかい」


「そう、長く煮込まないといけないから頻繁に作れるものでもないんだよね」


「使うスパイスは大体は揃ったんだな」


「まあね、普段作ってるカレーとは別の配合だよ」


「なんというか凄くドロドロしてるね」


とりあえずそのご自慢のホテルカレーをいただく事に。

理津子の父親曰くホテルカレーは贅沢に作るのがコツなのだとか。


ホテルで食べる時の値段はともかく、ホテルだからこそのクオリティに仕上げるのだと。


「んまっ!なにこれ、めっちゃ美味いじゃん!」


「そりゃ普通のカレーよりも贅沢に使って作ったものだからね」


「父親直伝の味なんだよな?」


「そうだよ、お父さんが働いてたホテルの味」


「ホテルのカレーって美味しいんだねぇ」


ちなみにレシピは知っているが身内以外には教えていないというのがこのカレーだ。

ホテルの味という事もあり、あまり多くの人に知られるのはよくないとのこと。


なので家で作る事はあるが、それ以外の機会に作る事が少ない味なのだとか。


「でもなんでホテルのカレーってこんな美味いん?」


「お父さんが言うにはホテルっていうのは外国の人も来るから料理は美味しくって事みたい」


「でもそれだけじゃないだろ」


「料理が美味しいっていうのはホテルに限らず大切な要素の一つだとは言ってたよ」


「リツコの家って食堂だもんね」


ホテルによって味が違うのはもちろんではある。

ただホテルカレーというのはそのホテル独自の味がある事が多いのだとか。


宿泊客以外も食事に利用出来ることから料理の美味しさは当然大切だと。


「めっちゃ長い時間煮込んでたけど、あれが標準なの?」


「うん、ホテルカレーは大体どこも長い時間煮込むらしいって言ってた」


「つまり味を限界まで引き出すって感じなのかもな」


「それだけじゃなく野菜も肉もほぼ溶けきるまで煮込むのもあるからね」


「そういえば野菜とかたくさん買ってきてたもんね」


理津子が買ってきた材料に多くの野菜もあった。

その野菜の旨みが溶け込んだ味という事なのだろう。


シンプルなビーフカレーなどに比べて味が濃いというのも特徴である。


「そういや普段のカレーには芋やら肉やらが入ってたけど、これはそういうのないんね」


「そうだよ、具を入れないのもホテルカレーの特徴の一つだからね」


「つまり完全に食材の味で勝負してるって事になるのか」


「実際ホテルで出してるカツカレーとかはこれとは別に作るらしいからね」


「なんか凄いんだね、こだわりみたいなやつが」


これだけ手間隙かけても食堂で出す時の値段はそこまで高くない事もあるとか。

ホテルの食堂は一般の人でも利用可能だからこその値段だったりもある。


もちろん高いメニューもあるが誰でも利用出来る施設の値段設定だと。


「でもホテルの食堂って普通の食堂に比べたら高いんでないの?」


「確かに普通の食堂に比べたら高いけど、質の割には安い感じの値段設定だよ」


「誰でも利用出来るからって事なんだな」


「ホテルの食堂は高級ホテルならそれこそ高いのは普通だけどね」


「そのホテルってランクはどれぐらいなんだろう」


ホテルの食堂で食べられる料理は質の割には安いが基準で見れば高めの値段らしい。

食事目的だけで利用する事も出来るからこその値段設定なのだろう。


質の割には安く外食としては少し高めの事が多いのだと。


「まあ手間を考えたら安いんかね、このカレー」


「お父さんが言うには質の割には安いけど外食としては少し高いらしいね」


「それはお前の国の物価が安すぎるからじゃないのか」


「それはあるかも、お父さんももっと高くても普通だって言ってたから」


「物価の話は難しいね」


とはいえ満足はしてくれた様子。

ホテルの味というだけありその味は美味しいのだ。


それだけ手間隙かけて作られているという事でもある。


「なんにしても美味かったぜぇ、機会があったらまた作ってよ」


「手間がかかるから余裕のある時にでもね」


「ホテルに食事目的で行くのも不思議な感じだな」


「そういう利用も出来るのは面白いかもね」


とりあえずは概ね満足してくれたようだ。

手間がかかるので頻繁には作れない味。


とはいえ手間に見合った味もする。


キッチンに張り付く必要があるので作るのは大変なのだ。

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