竜界旅行~出発~
準備などもきちんと整え竜界旅行に出発する日。
アノットは留守番なのでロザリオとセルベーラと共に行く事に。
まずは屋敷のある港町を出発しゲートのある都市を目指す。
そこからゲートを通って別の世界へと移動するのだ。
「まずはゲートのある都市に移動するんだね」
「ああ、そこからいろんな世界へ移動するんだ」
「向こうで食べるから今はお腹は空かせておかないとね」
そんな鉄道での移動を一時間程度。
そのままゲートのある都市に到着しゲートへ向かう。
「これがそのゲートなんだ、なんか凄いね」
「これは東の国の言葉で箕輪って言うらしいぞ」
「箕輪、こっちにもそういう言葉があるのか」
「それよりゲートに並ぼうよ」
「だね、行こう」
そのままゲートの列に並び順番が来たら係員に渡航券を見せる。
その確認が終わったらそのままゲートの周波数が竜界に合わせられる。
そして案内の下ゲートを潜りその先には竜界の景色が広がっている。
「ここが竜界なんだ、本当に砂漠みたいな景色なんだね」
「昼間は暑いけど夜は寒いからな、そこは気をつけろよ」
「分かってる、とりあえず観光とかする前に最初に宿に行って体を軽くしようか」
「分かった、それじゃ宿への乗り物のターミナルに行こうか」
「空を見るとドラゴンが飛んでる、流石は竜界だね」
まずは宿へ向かい荷物を置いて体を軽くする事に。
宿への乗り物はドラゴンを利用した竜車を使うとのこと。
竜車とは竜の背中に馬車のようなものを取り付けた空飛ぶ馬車といった感じだ。
「おぉー、本当に飛んでる、凄いね」
「竜の背中に乗って飛べるなんて簡単に経験出来る事でもないもんな」
「竜が普通に飛んでる世界だからこそなんだね」
「景色もいいし、速度も速すぎないもんね」
「それにしても見渡す限り砂漠なんだなぁ、ゲートのあった都市も見えなくなったし」
そのまましばらく飛んでいると宿のある街へと到着する。
竜界は舗装された道などはまずないので、陸路では迷いやすい。
そこで砂漠やその空を移動する竜車で移動する事が多いのだ。
「都市は割と豪華なのに外に出れば一面の砂漠なんだね」
「そういう世界だからな、竜界人も自身が空を飛べるからそんな困らないんだよ」
「なるほど、だから観光客向けの竜車があるわけか」
「実際砂漠を歩いて横断するのは大変だもんね」
「アラブな感じの国と似てるけど、どこか違う世界って感じだなぁ」
街を見渡しつつまずは宿に向かう。
宿でチェックインを済ませ部屋に移動して荷物を置いて体を軽くする。
観光に行く前にまずは適当に食べる事に。
「レストランは割と多いね」
「観光客向けの店だけどな」
「地元の人達はレストランより大衆食堂って感じなのかな」
「家庭の味が浸透してるから、料理屋でも個人経営に地元の人は流れるんだろうね」
「まあいいや、とりあえずどこか入ろうか」
街を一通り見て躊躇いもなく地元の人向けの個人経営の店に入る理津子。
ロザリオはその精神には流石に驚いている様子。
店に入るともちろんすでに来ている客に一斉に見られたわけだが。
「いろいろあるね、とりあえず肉だね、肉メインで」
「お前、本当に空気を読まない奴だな…」
「あたしは元々空気なんて読まないし」
「視線がみんなこっち見てるよ」
「すみませーん!注文お願いしまーす!」
そのままなんの躊躇いもなく料理をたくさん注文する。
その注文量に店の人も客も驚きを隠せない様子。
とりあえず運ばれてきた料理を美味しそうに食べ始める。
「んー、これおいひぃ、竜界の料理ってスパイスが効いてて凄く美味しい」
「確かに美味いけど、視線が刺さる…」
「煮込み系の料理にもスパイスたっぷりなんだね、これは体に効きそう」
「リツコって強心臓すぎない?」
「すみませーん!追加注文お願いしまーす!」
さらに料理を追加で注文する理津子。
そのまま完食した時には店の人も客も拍手を贈り認めたかのような目で見ていた。
地元の人達が集まる店で素直に美味しいと言いたくさん食べて去っていった事への称賛だ。
「はぁ、満足満足」
「お前、空気読まない上に平然としすぎだろ、視線が凄かったぞ」
「そう?美味しければそんなの気にならないよ」
「リツコって鋼鉄の心臓でも持ってるのかな」
「今日は遠くにはいけないけど、この街の中ぐらいは観光しておこうか」
そのまま街の中の観光に出かける。
竜界の都市は普通に発展しているようだが、これも比較的近年の話らしい。
竜界に限らず他の世界も発展は交流が盛んになってからとのこと。
「でも竜界ってドラゴンが普通に飛んでるのは凄いなぁ」
「ドラゴンは基本的に温厚な生き物だよ、ただ子作りの時期には近づくなよ」
「産卵期のドラゴンは敏感になるからね」
ドラゴンが普通に空を飛んでいる世界が竜界だ。
ちなみに竜の肉は竜界では普通に食べられている肉なのだという。
食堂で食べた肉料理もほとんどは竜の肉だったという。
理津子の心臓の強さをいきなり見たロザリオだった。




