29話 薬草集めと小休憩
「まま、あったー」
「オレもみつけたー!」
頬を紅潮させながら、2人が駆け寄ってくる。その小さな手が掴んでいるものは薬草だ。
俺たちは今、薬草集めのためと、ホーンラビットの捕獲のために、西の森に来ていた。
…え、ワイルドボアの討伐?
ルシエルとミシェルが瞬殺したよ。俺が手を出す間もなく、あっという間に倒してしまった。
「お、よく見付けたな。偉いぞ、2人とも」
2人から薬草を受け取り、頭を撫でる。
「ん〜」
「えへへ」
頭を撫でられるのが好きなのか、ルシエルもミシェルも気持ちよさそうに目を細めて笑う。
2人とも、読書で《採取》のスキルを習得してくれていたおかげで、クエストに必要な薬草は既に集まっている。なのに未だ薬草を採り続けてているのは、丸薬を作るためだ。
《調合》のスキルレベルが上がったことで、色々な薬を作れるようになった。開示された調合リストの中に、継続回復型の丸薬があるのを見付けた時から、ずっと作ってみたいと思ってたんだ。勿論、状態異常を引き起こす薬も作りたいと思っていたけど。
インベントリーを呼び出して、成果を確認する。
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【素材】
魔力草の種×30
天卵の殻・純黒
天卵の殻・純白
薬草(★1)×24
薬草(★2)×10
薬草(★3)×8
薬草(★4)×2
氷花草(★1)×4
仄火草(★1)×3
猛毒草(★1)×7
猛毒草(★2)×1
惑乱草(★2)×6
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うん。なかなかの成果だ。
中でも嬉しいのは、中級ポーションの材料になる★4の薬草を採取できたことだ。
これはルシエルが採ってきてくれたもので、最初見た時は本当に驚いた。第一エリアに★4の薬草が生えてるとは思わなかったからだ。
どこで採取したのか、その場所に案内してもらって、更に驚いた。★4の薬草は、岩や木などの陰に隠れた場所に生えてたんだ。似たような場所で薬草を探してみれば、確かに★4の薬草が見付かった。かなりの低確率だけど、しらみ潰しに探し回れば、中級ポーションの材料になる★6までなら、第一エリアでも採れるのかもしれない。
薬草の他にも、凍傷薬の材料の氷花草や、火傷薬の材料の仄火草、猛毒薬の材料の猛毒草、混乱薬の材料の惑乱草が見付かった。
氷花草は、見た目は淡い水色の野花なんだが、大気中のマナを吸収して成長する魔花で、花弁や葉、茎が氷のように冷たい。このまま放置しておくと、植物型のモンスターになるらしいが、成長しきる前は、ただの冷たい花なので危険性はない。
…え? 氷花草について詳しすぎる?
《鑑定》したらそう書いてあったんだよ。多分、《薬草知識》と《モンスター知識》が影響したんじゃないか?
仄火草は、炎が揺らめいてるような形をした赤い薬草で、液体に触れると熱を発する性質があるらしい。
猛毒草は、一目で毒だと分かるような毒々しい色をした、シダ植物のような見た目の薬草だ。
惑乱草は、山菜のゼンマイのように先端が渦を巻いている薬草で、色がオレンジじゃなければ、小さなゼンマイにしか見えなかった。
「ルシエル、ミシェル。少し休憩しようか」
少し空腹度が溜まってるのを確認し、俺は子供たちを呼んだ。2人はすぐさま俺の下に駆け寄ってきて、その勢いのまま抱き付いてくる。
2人の頭を一撫でして、俺は屋台で買ったフルーツ飴をインベントリーから取り出した。
大粒の苺を使った苺飴と、串に巨峰とマスカットを交互に刺した葡萄飴。
「どっちがいい?」
「いちごー」
「オレもー!」
ルシエルもミシェルも、目をキラキラと輝かせて苺飴を指差した。
選ばれなかった葡萄飴をしまって、苺飴をもう1つ取り出す。
「はい」
「ありがとう、まま」
「ママ、ありがとー!」
2人は満面の笑顔で苺飴を受け取った。
俺の分の苺飴を取り出して、腰掛けるのにちょうどいい大きさの岩に3人で座って、苺飴に齧り付く。
「あまーい」
「おいしー!」
「うん。美味い」
飴のパリパリとした食感に、じゅわっと口の中に広がる果汁。初めて食べたけど、なかなか美味いもんなんだな。苺が大粒だから、食べ応えもあるし。…まぁ、空腹度は5しか下がらないんだけど。




