28話 《活殺自在》
27話を加筆修正しました。
相手を生かすも殺すも思い通り。自分の思い通りに自由に扱うさま。
【活殺自在】を辞書で調べれば、大体こんな風な説明が書かれている。
………酷い内容だ。
そんな酷い四字熟語と同じ字面のスキルを、ミシェルが解放してしまった。…正直、見なかったことにしておきたい。でも、《鑑定》しないまま放っておくのも気に掛かる。
……ハァ、気に掛かってる時点で、選択肢は1つだよな。
俺は《鑑定》を使用した。
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活殺自在
権能スキルの1つ。
このスキルを所持する者は、自身のレベルより低い対象の生死を思い通りに扱える。
使用回数:0/1
日付が変わると同時に使用回数が回復。
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あぁ、うん。やっぱりそのままの意味だったかぁ……。
だってあのワイルドボア、ルシエルの魔法が当たるまで消えなかったもんな。
予想通りの鑑定結果に、少しだけげんなりした。
ゲームバランスが崩れそうなスキルではあるけど、使用回数はたった1回しかないし、スキルの対象になるのは、ミシェルのレベルより低いモンスターだけのようだから、危惧するほどのことでもないのかもしれない。それに運営側だって、その辺のバランスは考えて作ってるだろうし。
「ミシェル」
「なに? ママ」
「さっきの戦闘ので、《活殺自在》っていうスキルが使えるようになっただろ?」
「うん! ママをまもるためのスキル!」
嬉しそうに顔を輝かせながら、ミシェルが力強く頷いた。
「そっか。でも、あのスキルは使わないようにしような」
「どうして?」
「ミシェルにさっきみたいなことをして欲しくないからだ」
あんな…モンスターを甚振るような戦闘、ミシェルに2度として欲しくない。
「あれは…っ、あのイノシシがママをいじめたから…」
「別に怒ってるわけじゃないよ。でも、もうあんな戦い方はして欲しくない」
「うん…。もうしない」
少しシュンとして、ミシェルは頷く。
「でもね、あれはママをまもるスキルなんだよ」
「え?」
「こんどはママをまもるためにつかうの」
んん? どういう意味だ?
『今度は』ってことは、さっきのワイルドボアに使ったのは、俺を守るための使い方じゃなかったってことか?
――――え、まさか……あのスキルの対象って、モンスターだけじゃないのか?!
そういえば、説明には『対象』と書いてあっただけで、それがモンスターだとは一言も書かれていなかった! …いや、でも、俺のレベルがミシェルより低くなることはないから、スキルの対象にはならないはずだ。パートナーだけがレベルアップするようなことは―――……あるな。確かまとめサイトに、パートナーのレベルを上げる食材アイテムが載ってた!
え、俺……ミシェルに生殺与奪権握られるの?
なにそれこわい。…いや、ミシェルがって意味じゃないぞ? ミシェルは気まぐれで俺を殺すような子じゃないからな。
ただ…誰かに生死を自由にされるかもしれないっていう状況が怖いんだよ。
「いいなぁ、ミシェル…」
「いいだろー!」
羨ましそうに呟いたルシエルに、ミシェルは得意げな顔で胸を張る。
「ぼくもミシェルみたいなすきるほしい…」
「ル、ルシエル…。そんなスキルなくても、ルシエルが俺のことを守ろうと思ってくれてるのは分かってるから」
羨ましげな顔をするルシエルを、俺は宥めるように笑い掛けた。口元が引き攣ってる気がするが。
今回、ルシエルの解放スキルは2つだった。ミシェルは3つだったから、多分あと1つあるはずだ。
感情が解放条件なら、ルシエルが強く望んだら解放されるかもしれない。
今はちょっと………キャパオーバーしそうだから、遠慮させてくれ。




