22話 クエスト受注
隠れ家レストランで朝食を終えた俺たちは、朝からやってる屋台で食料を買い込み、ギルドへと向かった。途中、すれ違ったNPCたちに拝まれてたっぽいけど、俺は何も見ていない。お年寄りに「ありがたやありがたや」とか言われてたような気もするけど、それもきっと気のせいだ。
訪れたギルドは、朝ということもあり、一昨日の賑わいに比べると閑散としていた。プレイヤーの姿はなく、NPC冒険者も若干名いるだけだ。
俺は子供たちを連れて、受付カウンターに向かう。特殊クエストが発生しているから、あの受付嬢に会いたいんだけど、今いるかな?
「すみませーん」
「はーい! ちょっとお待ちくださーい!」
運悪く、受付カウンターには誰もいなかった。誰かいないか声を掛けると、部屋の奥から返答があった。
「お待たせして申し訳ありません」
暫くして奥から出てきたのは、特殊クエストが発生してある、あの受付嬢だった。
「…あ、貴方は!」
向こうも俺のことを覚えていたのか、パッと表情が明るくなる。
「卵が孵ったので、見せに来ました」
「え、本当ですか! どんな子が生まれてきたのか早速見せてください!」
受付嬢は嬉しそうに受付カウンターから出てきて―――…固まった。ビシッという音が聞こたような気がするほど、見事な固まりっぷりだ。
「せ、せんし…さま、このおふたりは……」
ギギギ、と錆び付いた機械のようにぎこちない動きで、受付嬢が俺を見る。その目は期待と不安に染まっていた。
「えーっと、…はい。俺のパートナーで、【天上族】の双子です」
「…ッ!!!」
驚きすぎて声も出ないのか、彼女は目を大きく見開いて、両手で自分の口を塞ぐ。
まさかここまで驚かれるとは思わなかった。
「だ、大丈夫ですか…?」
俺は心配になって受付嬢に声を掛けた。子供たちは不思議そうに彼女を見ては首を傾げている。
「………は、はい。だぃじょうぶ、です。まさか、これほどの幸運に恵まれるなんて…思ってもいなかったので……」
「そ、そうですか…」
受付嬢の目が潤んでいる。そんなに【天上族】の双子に会えたことが嬉しいのか……。
――――アルビスタの人たちって、信心深いっていうか、深すぎじゃないか…?
え、これが普通なの? 俺の反応がおかしいの??
「選士様。とても素晴らしい出逢いをありがとうございます…っ」
「は、はぃ……」
受付嬢からの大袈裟なお礼に、俺は若干口元を引き攣らせながら笑みを浮かべた。
パッと目の前にメッセージウィンドウが表示される。
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【お知らせ】
特殊クエストをクリアしました。
《報酬》
25スキルポイント×2
魔道具引換券×2
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ええぇッ!!? 50SPに、魔道具の引換券まで!? しかも2枚?!
――――報酬が豪華すぎだろ!!
……いや、確か…パートナーの種族とレアリティによって、報酬内容が変化する、みたいなことが書いてあったような…?
報酬が【×2】になってるのは、ルシエルとミシェルの2人分ってことなんだろうけど………。それでもこれは、大盤振る舞いしすぎなんじゃないのか…?
―――と思ったけど。
俺がうだうだ悩んだところでどうにもならない。報酬を決めたのは運営側なんだし、ありがたく貰っておこう。
「えぇーっと、それで……パートナーも生まれたことだし、フィールドに出るクエストでも受けようかと…」
「あ、はい! どういったクエストになさいますか?」
潤んだ目を拭い、受付カウンターに戻った受付嬢は、常駐クエストが書かれたファイルを見せてくれた。
「選士様は初心者となりますので、この辺りが妥当だと思います」
受付嬢が紹介してくれたのは、【薬草集め】と【ワイルドボアの討伐】、【ホーンラビットの生け取り】だった。
【薬草集め】は、★3以下の薬草を10本採取して、ギルドに納品するクエストだ。報酬は200G。
【ワイルドボアの討伐】は、ワイルドボアを5体討伐するクエストだ。倒せば自動的にカウントされるから、倒した証をギルドに提出するする必要はない。ただし、報酬の支払いはギルドで行われるから、ギルドに行かないと貰えない。報酬は700Gだ。
【ホーンラビットの生け取り】は、ホーンラビットを3体生け捕りにして、ギルドに納品するクエストだ。報酬は500Gと高い。多分、生け取りにするのが難しいんだろう。
テイマーなら、ホーンラビットをテイムすればいいし、罠師なら、自作の捕獲器を仕掛ければいいから、簡単かもしれないな。…ま、うちには捕縛術のスキルを持ってるミシェルがいるから、大丈夫だろ。
「じゃあ、その3件を受けます」
「分かりました。…あ、【ホーンラビットの生け取り】ですが、道具屋でロープを購入してから向かってくださいね」
あ、そっか。ミシェルの捕縛術には、ロープが必要になるのか。
「道具屋ですね。分かりました。ありがとうございます」
「――――では、行ってらっしゃませ」
にっこりと笑って、受付嬢が頭を下げた。




