20話 系統とクラス進化
作中に、オキクムシ(お菊虫)という言葉が出てきますが、検索する場合は要注意です。
別にグロ画像というわけではないのですが、なかなか気持ち悪いので。
検索後の苦情はお受けできませんので、自己責任でお願いします。
一応説明すると、ジャコウアゲハの蛹のことです。
「まず、この世界には、我々人種を含め、10系統が存在しております。その中でパートナーになり得る系統は、9系統。獣、鳥類、爬虫類、昆虫、妖精、幻獣、精霊、悪魔、そして天使です」
9系統!? そんなにあったのか……。しかも【悪魔】なんていう系統まであるし。…いや、【天使】っていう系統があるんだから、【悪魔】があってもおかしくないか。
【昆虫】が基本の系統から外されたのは、きっと虫を苦手とするプレイヤーへの配慮だろう。モンスター図鑑を見る限り、昆虫型モンスターもリアル重視だったからな。その代わりに、【爬虫類】が入ったのかもしれない。…まぁ、爬虫類は爬虫類で、苦手とするプレイヤーはいただろうけど。
「…そんなにたくさんの系統があったんですね。あの…【天使】に属する種族は、天上族以外にはいないんですか?」
「いいえ。天使系統に属する種族でしたら、片翼しか持たない比翼族や、耳介が翼になっている殻翼族などがおります」
「比翼族…?」
「はい。男は右、女は左の翼だけを持って生まれてくる種族で、自分の片翼を見付けると、生涯その人だけを愛し続けるんです。巷では愛の種族と呼ばれていて、比翼族の姿絵を家に飾ると、ずっと夫婦円満でいられると信じられてるんです」
「へぇ…」
やっぱり天使系統は信仰対象なのかぁ…。
まぁ、確かに生涯ただ1人だけを愛し続けて、決して浮気をしないんだから、夫婦円満の信仰を集めるのも当然だよな。
でもそうなると、【悪魔】はどうなるんだ?
【天使】と違って恐れの対象?
それとも忌避対象?
「あの、…【悪魔】はどうなんでしょうか?」
「どう、とは…?」
俺の尋ね方では要領を得なかったのか、エルダさんが首を傾げる。
「えーっと、【天使】が信仰対象だったので、【悪魔】はどうなのかな、…と思って」
「ああ、そういう意味ですか。悪魔系統は幽冥神様の寵愛を受けていますので、冒険者の皆さんから信仰されてますよ」
「え?」
冒険者からの信仰?
「悪魔系統の中には、筋力増強や悪運を授けると言われる種族が多くいるんです。冒険者の皆さんは、クエストなどで危険な目に遭うことが多いので、クエストに出る時に祈るそうですよ」
「なるほど」
【悪魔】は戦闘方面で信仰されてるのか。…成功や勝利を授ける種族が存在しないところが、【悪魔】らしいな。
「そういえば、カーラエル様はパートナーのクラス進化をご存知ですか?」
「え? あ、はい。勿論知ってます」
突然、系統からクラス進化の話に変わったことに驚きつつ、俺は頷いた。
パートナーのクラスは、特定の条件を満たすことで進化させることができる。プレイヤーでいうところのクラスチェンジだ。
クラス進化するとこで、パートナーの能力値が上昇し、より強力なスキルを覚えるらしい。
「では、その進化先が固定されているパートナーがいることはご存知ですか?」
「い、いいえ…」
進化先が固定?
そんな情報、まとめサイトには書いてなかったけど……。
「パートナーの進化先が固定されている場合、そのパートナーは特殊なクラスに進化します。そしてそのクラスに進化できるのは、1体だけです」
「1体だけ…?」
え、それってこの世界にたった1体しか存在しないってことじゃないか!
「はい。系統によって、進化先の数は違いますが、昆虫では、アラクネやオキクムシなどですね」
え、待って。今、オキクムシって言った? 言ったよな?
オキクムシってあれだろ?
播州皿屋敷のあのお菊と、ジャコウアゲハの蛹の姿を結び付けて出来上がったっていう、…妖怪。
確かにオキクムシは、上半身が女性で下半身が芋虫だから、見た目は昆虫に分類されるのかもしれないけど……虫っていうより、アンデットなんじゃ…?
「妖精では、オベロン、ティターニア、クイーンメイブの3体。精霊は各種族に1体ずつで、精霊王になります」
俺の動揺は無視―――…しているのか、気が付いてないのか、エルダさんは説明を続ける。
「そして悪魔ですが」
「…サタン、ですか?」
話の流れ的に考えて、悪魔系統で特殊なクラスといえば、魔王サタンだろ。
「はい。ですがそれ以外にも、レヴィアタン、ベルフェゴール、マモン、ベルゼブブ、アスモデウス、アスタロスの計7体になります」
7つの大罪か?
傲慢のルシファーが抜けてるのは、きっと意図的なものなんだろう。
「じゃあ天使は……?」
「それは―――…カーラエル様の目で、お確かめください」
――――いや、それ言っちゃダメなヤツ!!
パートナーの開示情報を読んで、特殊なクラスに進化するパートナーがいるって聞いた時から、何となく、ルシエルとミシェルは特殊なクラスに進化するんだろうなぁ、って思ってたけどさ!
言わぬが花ってあるじゃん?!
エルダさんはにっこりと綺麗に笑って、俺のジト目をスルーした。
因みに、AWOのオキクムシは、下半身が芋虫のままですが、上半身は美しい女性で、後ろ手に縛られているようなこともありません。
ラミアの下半身が芋虫版だとでも思ってください。




