19話 開示された情報は
天上族は、天空神の寵愛を受けし種族である。
見目麗しく純真無垢な彼らを愛した天空神は、地上の厄災から守るために、彼の種族の生息地を周辺の大地ごと、遥か上空に召し上げた。
天空神の庇護の下、天空で暮らす天上族だったが、極稀に地上に降り立ち、人々を厄災から救い、禍つを払い、豊穣を齎す者が現れた。故に彼らは【神の御使い】とされ、人々から崇められる存在となった。
天上族の中には、他の者たちとは違う色の翼を持つ者がいる。それは神からの寵愛を意味していた。中でも【神の寵児】とされている者の翼の色は、【純黒】と【純白】である。
【純黒】と【純白】は必ず双子で生まれるとされ、神の力を受け継いでいるといわれている。そのため、天上族の中でも特別視される存在である。
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――――神の力って……マジで?
この情報通りなら、俺のパートナー…何か凄い特別っぽいな。今のところ、神の力っぽいスキルはないけど、クラス進化すれば習得したりするのか?
うーん…、分からん。
開示されたパートナー情報を読んで、AWOに存在する系統に興味を覚えた俺は、子供たちを連れて図書館に向かうことにした。
時刻は21時を回っている。西区は商店街だからか、プレイヤーの姿はなく、十数人のNPCが行き来しているだけだった。
ルシエルとミシェルの手を繋いで、図書館に向かう。その道すがら、2人は物珍しげに商店を見渡していた。
明日は東区に連れて行ってやろう。隠れ家系のレストランも見付けてあるし。
そこなら他のプレイヤーの目を気にせずに、食事ができるだろう。
図書館に着き、受付で【入館証】を見せる。
初めて図書館を訪れた時は、ドアを開ければすぐにアカシャ図書館だったけど、【入館証】を手に入れた後は、広々としたエントランスホールと受付嬢が現れ、そこで【アカシャ図書館に行く】か、【一般図書館に行く】かを選択できるようになった。試しに一般図書館に行ってみたら、【落とし物探し】の依頼者だった女の子と出会って、喜色満面の顔でお礼を言われた。それだけじゃなく、道具屋の店主の時と同じように、SPを貰えたんだ。しかも3SP。これも道具屋の店主と同じだ。多分、受けたクエストの結果が想定以上の出来だと、クエストの依頼者や紹介した人からSPが貰えるんだろう。
受付嬢にアカシャ図書館に行きたいことを告げれば、ただの壁だった場所に蒼いドアが現れた。
そのドアノブを掴んだところで、ふと受付嬢に視線を向けると、彼女が子供たちを拝んでいた。
あ、そっか。天上族は【神の御使い】だから、信仰対象なんだっけ。
……うん。見なかったことにしよう。
俺はそっと視線を外すと、素知らぬ顔でドアを開け、アカシャ図書館に入った。
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アカシャ図書館には、今日も利用者がいないようだ。…いや、たまたま誰もいないタイミングで、俺が利用しているだけかもしれない。
いくら有料だからって、既に32時間以上経ってるんだ。利用したプレイヤーが、俺だけってことはないだろう。
子供たちが見たいと言う本を渡して、俺は司書に話し掛けた。
「あの、パートナーの系統について知りたいんですが、関連する本はありますか?」
「申し訳ありませが、系統に関する本は、アカシャ図書館では所蔵しておりません」
「…そうですか」
まぁ、始まりの都市にある図書館だし、系統に関する本が貴重なものなら、なくて当然か……。
「――――ですが、私が知っている範囲でよろしければ、お答えすることは可能ですよ」
「え、本当ですか?!」
司書からの思わぬ申し出に、俺は面食らってしまった。
「ありがとうございます。えーっと……」
「ああ、申し遅れました。私はアカシャ図書館で司書を務めております、エルダと申します。よろしくお願いします」
「カーラエルです。こちらこそ、よろしくお願いします」
にこ、と優しく微笑むエルダさんに、俺は頭を下げた。




