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愛(カナシイ)

前回の前書きでも言いましたが、今回やたらと長いです。

内容が内容なので、大事といえばそうなのですが、冗長すぎて嫌だと思われましたら、真ん中あたりの段落が空いているところから読んでいただいても通じます。

でもやっぱりちゃんと意味がある話なので、軽くでも目を通して頂けると嬉しい11話目、始まります。


あ、ちなみにかぎかっこ前の英文字は発言者のイニシャルになります。

誰が誰だか書いてる時ですらややこしくなってきたので、自分にも読む人にも分かるようにとつけてみました。





S「ぱちぱちぱちぱちー」

M「ぱちぱちぱちぱちー」


 …え、オレも拍手いるの? するべき?


S「しようぜ!」

M「しないでか!」

T「気にするな」


 …えー。


S「まあそんなことはいいんだ」

M「どうだっていいんだ」

S「んじゃま仕切り直しな? ぱちぱちぱちぱちー」

M「ぱちぱちぱちぱちー」


 ぱちぱちぱちぱちー。


S「本日はオレたちのオレたちによるオレたちのアイドル、」


 アイドルじゃないから。


M「オレたちの癒し系リンちゃん、」


 リンちゃん言うな。


S「カリン君のためのVO始めました講座へとご参席たまわりまして、誠にありがとうございます。私が司会を務めますシュウ、そしてこちらが」

M「アシスタントを務めますマサでございます」

S「短い間ではございますが、どうぞご清聴たまわりますようよろしくお願いいたします」

M「いたします」


 お願いします。


S「………」

M「………」

T「オレもかよ、よろしく」

S「それではまず準備から行ってまいりましょう、マサ君」

M「はい。こちらに取り出しましたのがノパソ、正式名称ノート型パーソナル、」


 多分ね、そこ飛ばしていいと思うよ。って言うかそろそろその喋り方やめない?


S「え、ご不満?」


 うん、違和感でしかない。


M「えー、仕方ないなー。んで、どっからいる?」


 ダウンロード、インストール、初期設定まではもらったメモ通りに終わらせてあるから、その先だね。


S「お、いい子いい子」

M「いちおー見せてみ?」


 うん、はい。


M「あー………………」

S「マサ、どんな感じ?」

M「OK、もんだいなっし。スペも古い増設メモリあげたの入れてるから、設定下げて画質求めなきゃふつーに使えるだろ」

S「いいねいいね、ならオレらで先にいじっといて…」

M「やるときはイヤホン?」


 苦情になりそうなことは、全部予防しておかないと。


T「まあ当然だろうな」

M「よし、じゃー…」

S「これはもうちょい高くても…」


 しばらく任せていいのかな?


T「いいだろ、おかわり頼む、カフェオレで」


 うん。




M「おっまたー! これで設定もパーペキってやつですよ旦那さん」


 奥さんじゃないんだ。


M「女じゃないってつっこむだろ?」


 うん。


M「……それでは、VOを立ち上げてください」

S「立ち上がったらログインしてください」

M「ログインしたらサーバーを選ぶんだけど」

T「インディゴ択一な? オレらいるし」

M「そそ、んーでキャラクター新規作成」

S「キャラメイクは、やりたいジョブとか使いたいスキルで決めるんだけど、何か希望とかってある?」


 何かが何かすらわかりません。


T「剣、槍、銃、刀、手裏剣、鞭、魔法にもいろいろあるし、使いたいのあるか?」


 手裏剣…。


T「あ、悪いそれ今勢いで言った。もしかしたら暗器であるかもだけど、多分」


 大丈夫、そんなのもあるのかって感心しただけだから。刀とか銃がいいかな。


M「どっちかってーと?」


 刀で。


S「メイン刀、サブ銃。次種族な。刀と銃なら、推奨はエルフ、人、獣人の猫系、以外でももちろんいいけど」

M「初めてだかんなー、人がいんじゃね? 使いやすいし、成長のバランスもいいから育てやすい。どーする?」


 人でお願いします。


S「じゃあ種族選択を人選んで、そのまま外見設定に進む」


  はーい。


S「てなわけでさて」

M「おーよ」

T「そうだな」


 え? あ、え、ちょっと! 何でPC取るの!?


S「キャラ作成は任せろ!」

M「カリンの分身を作り上げる」

T「それが今のオレたちに課せられた使命」


 何でさ!?




M「できました、かんっぺきにリンちゃんです」


 おいこら。


S「すばらしきこのカリン」


 まてこら。


T「悪い、やりすぎたてへぺろ」


 タイチだけが頼りだったのに…!


M「女の子だってイーじゃん?」

S「所詮ゲームじゃん?」

T「そういうわけで」

M「刀使い時々銃使いなリンちゃんかんせーでっす!」


 信じてたのに、信じてたのにー!


S「信頼か…、そんな時期もあった。何もかもみな懐かしい」

M「フラグ建設はその辺にして、続きまして操作についての説明入りまーす」

T「OPとチュート飛ばして、イラネから」

S「とにもかくにもまずスキル! スキルがないとモンスターも倒せない、魔法も使えない、アイテムも作れない、これ大事!」

S「赤マル2重線マーカー付箋大かっこ全部しといて!」


 どこに?


S「キミの心さ…フッ」

M「きめたつもりらしいっすよー」

S「だ、あ、れ、や!!」


 どうすればスキルが手に入るの? 最初から何もないんじゃ、手に入れようもないんじゃない?


T「武器装備して」


 うん。


S「あれ、スルー」

M「みたいっすねー」

T「攻撃」


 え、どこを? というかできるの?


T「攻撃自体はできるんだ、ダメージにならないだけで。攻撃するのは壁とか木とか、どこでもいい。エアーでもいいから」


 エアー(笑)、分かった。


S「え、マジスルー? マジに?」

M「らしいっすねー。動かすだけでいいから、やってみて」

S「お前もかよ! やってやって」


 えーっと、こう、だっけ? うん? 今、「ポーン」って。


S「それそれ! スキルゲトー!」

M「ゲトー!」

T「おめめ」


 ありがとう…ああ違ったっけ、ありり。


S「よし、満足。ステ画面からスキル窓開いてみ?」


 うん。…何かある、「斬撃Lv1」だって。これを獲得するの?


S「してして。今は刀持って攻撃動作したから「斬撃」のLv1だけど、銃持ってやれば「刺突」、棍棒持ってやれば「殴打」って感じに、それぞれの武器に対応した基本スキルが獲得できるんだ。んでそれをスキル欄に装着して、戦闘前の準備はOK。これでモンスターにもプレイヤーにもダメージ行くから」


 ないとダメージにならないってさっきタイチが言ってたけど、どういう意味?


T「何をしても与ダメ1」

M「基本スキルなしで攻撃すると与ダメ1でさー、魔法はそもそも使用不可なんよ」

S「手も足も出ません。前に廃人ガチマゾプレイヤーが高Lv高装備無スキルでボス戦単騎突っこんでる動画見たことあるけど、早送り編集なのに時間パねかった、爆笑、さすが廃人」


 ふ、ふうん。スキル大事ってのは分かったかな。次は?


S「お、ノって来た感じ?」


 ゲームは面白いから好きだよ、あまりやらないだけで。


M「しゃーないよなあ、カリンとこって忙しそうだし」

S「ゲーム誘ったせいで成績落ちたりして、って笑えねえなそれ」


 適度に制限してやるよ、オレも困るし。


T「お前ら、誘いすぎるなよ?」

M「カリンズネクストステージ、技スキル」

T「おいてめえ」


 あーうん、タイチ大丈夫、オレ本当に気をつけるから。ありがとう。次もスキルなの?


S「RMTで全オレが泣いた」

M「リンちゃん、マジ、天使」


 前言撤回やっぱり怒っていい、むしろオレが怒る。


T「ゴメンナサイ」


 何でタイチが謝…ってまさか。


T「リンちゃんがお怒りだ、早く進めろ司会と助手」

S「ラジャー!」

M「ラジャー! ってタイチのがエラそう!?」


 おいそこの3人、忘れないから。






S「それではこれまでのおさらいをもう一度、カリン君」


 はーい。基本スキルを装備して攻撃しないと、与えるダメージが1になってしまう。


S「マゾでないあなたにお勧めはできません」


 攻撃だけでなく、防御にもスキルがいる。


M「ノーガード戦法って聞こえはいーけど、つまるところのリンチです」


 魔法も同じようにスキルが必要で、ないと使うこともできない。


S「攻撃、防御、エンチャント、バフ、デバフ、あらゆる魔法が使えません。魔法ってなんだっけ状態」

M「今ん所はいいね、続けて続けてー?」


 えっと、各基本スキルを成長させて行くと、技スキルが手に入る。


S「最初に選んだ以外の武器も使えるけど、浅く広くになって初心者にはきちいから、使いたい武器のだけ厳選して取れな?」


 うん。技スキルにはオートとアクティブがあるのでよく確かめること。


S「せっかく高威力のスキルゲトしてヤター! ってそのままボスに突っこんでデスペナー、とかあるから。つかオレそれやってへこんだし」

M「ぷぷー、シュウ君激ださー」

T「たるんどる」


 前ちょっと読んだけど、あれスポーツじゃないよね。

 続けるね、基本スキルを育ててマスターするとオートスキルに代わる。


T「アクティブのオート化はスロットが楽になるからいいよな」


 あ、うっかり、スキルスロットの数はキャラクターのLvが上がると増える、もだ。


T「よくできました。キャラLv10まではLv1ごとにスロット1つ増えるけど、以降は10ごとに1だから、装着スキルはよく考えて選べよ。悩んだらマサとか、オレに聞いてもいいし」


 ありがとうタイチ。魔法スキルは複雑なので、とにかく育てろ。


M「まとめちゃった! ちょー簡潔にしちゃった! 笑えるしっ」

S「大丈夫だとは思うけどさ。一応細かく言ってみ?」


 うん。魔法は属性ごとに基本スキルがある。

 属性は下級4つ、上級4つ、最上級4つ、特殊2つの14種類。


S「それぞれ炎・水・土・風、熱・氷・毒・雷、隕石・時間・重力・磁力、んで光・闇! 下・上・最上は関連性があって、いわゆる上位属性な。オレの屍を越えて行け!」

M「エフェクトカラーも違うから、属性がコラボしてるスキルはめちゃきれーなんだぜ! おれ風と光のコラボすっげー好き!」


 イメージ的に、緑と白、かな? 確かにマサっぽくて似合いそう。

 魔法の基本スキルは攻撃と同じで、成長させると技スキルが手に入って、マスターするとオートになる。

 更に、対象範囲別に2種類に分かれていて、単式は1対1、広域は1体多に向いている。


S「単式より広域の方が消費が激しくなってて、モブ1匹に広域連発とか無駄撃ちありえぬぇだから。逆もしかり、相手によっちゃ死ぬる」


 単式も広域も第1階位から第4階位までの4段階あって、基本スキルLvを上げることで階位が上がる。


T「単式はボール(玉)、アロー(矢)、ソード(剣)、ショット(弾丸)と上がって、広域はレイン(雨)、ブラスト(爆発)、ストーム(竜巻)、タイフーン(台風)って感じだ。何となく理解できるだろ?」


 ああ、分かるかも。後ろほど激しそうというか、そんな感じがするね。

 他には、えっと…確か回復や補助系の魔法スキルは杖装備の人がメインで獲得するスキルだから、オレは考えなくていい、だっけ?


M「そそ。できなくはないらしーけどさ、スキル獲得の条件とかいろいろあってなー。シュウがサブキャラで癒しの天使を育ててるから、必要な時はそれ呼べばいいってさ」

S「カリンはただうるさく楽しくオレらと遊んでりゃいいの! ってかそうしてくださいお願いします」

T「ネトゲだけあって、マナー悪いやつらが多いんだよ。仮想空間かも知れないけど、癒しを求めたって許されるだろ?」


 癒しどうこうは聞かなかったことにして、一緒に遊ぶのに文句なんてないよ。

 むしろありがとうでお願いします、だね。


S「っつ、よかった…」

M「カリンが高校うちに来てくれて、よかった」

T「この流れで言うのに納得いかないけど、お前と会えてよかったよ」


 え、や、ちょ、て、照れる、やめてよ。そんな特別じゃないよオレ、普通だよ。

 それに、オレだって3人と会えたことを、本当に幸運だったって思ってるから。


T「カリン…」

S「リンちゃん…」

M「リンちゃん…」


 リンちゃん言うなそこ2人。


S「てへぺろ」

M「てへぺろ」

T「KYになったな、オレも呼べばよかった」


 タイチ……。




S「スキルはばっちり! 装備も完璧!」

M「オレたちの愛の結晶リンちゃん、ここに完全覚醒!」


 リンちゃん、


T「呼べるからな? だってこれ女で作ってあるし」


 ………。


M「リンちゃん愛してるー! ステキー! 抱いてー!」

S「我が生涯に一片の悔いなし」


 ………………どうしてこうなった。


T「どうしてもこうなった」


 えー…。


S「称号とか職業なんてのは後からいくらでもつけられるもの! 今はとにかく一緒に狩りに行けるようになることが最優先!」

M「そしてこの瞬間ここにおいて、VO始めました講座は修了を迎えた! もう教えることは何もない!」

S「さあ! これをもって君はもうリッパな冒険者だ! ここで学んだすべての知識と経験を生かし、この広大にして鮮やかな虹の大地ヴェリアスを縦横無尽に駆けめぐってくれ給え!」


 給えって何さ、給えって。シュウ偉そうだよ。


M「あ、最後にオレから一つ警告を追加しとくなー?」


 警告って、注意じゃなくて? もっと大事な内容ってこと?


M「いいか、絶対の絶対の絶対の絶対の絶対、ぜってーに! 死ぬんじゃねーぞ?」


 うん? 何それ、死ぬと重いペナルティでもあるの? 無料ゲームなのに厳しいんだね。


M「ちっげーよ、だってお前さ」

T「マサ、やめろ」


 タイチ?











「お前死んだら現実こっち戻って来れねえじゃん」











「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」




 オレの愛する、オレの世界に、帰らせて。






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