piece.7-8
僕の一日はこんな感じだ。
朝、日が昇るとまずは畑仕事の手伝いをする。
それが終わると朝ごはんの準備。食べ終わったら、食器のあとかたづけをして、食後に剣の素振りと稽古。
村の人たちの仕事で手伝うことがなければ、子どもたちと遊んだり、一緒に読み書きを教わったりする。
ロキさんが言ってた。
「そうやって子供たちと追いかけっことかしてると、昔のセリリン思い出すな~」
セリちゃんに似てると言われると、なんか嬉しい。
僕は村の子供たちと遊ぶのが好きになった。
あとはブライトさんの手伝い。
ブライトさんは目が見えないのに、体に触った感覚だけで具合の悪いところが分かるのだそうだ。
ステラの足も、ブライトさんがケアしてあげているらしい。今は杖を使わなくても歩けているけど、以前はもっと歩くのが大変だったそうだ。
僕もたまたまブライトさんの技を体験する機会があった。
この前、久しぶりに僕の足の『成長痛』が出たときも、ブライトさんが、ギュギュっと足を押しただけで治ってしまったのだ。
……ただ……えーっと、なんていうか……すっごい変な声が出てしまうというか……。
くすぐったい感じに近いんだけど、それだけじゃなくて、なんかじっとしてられなくなるというか……、痛いわけじゃないんだけど、なんかゾクっとするっていうか……くすぐったいっていうか、我慢できないっていうか……。
必死で変な声が出ないように我慢している僕に、ブライトさんは笑いながら言った。
「なんだ? 一丁前に我慢しておるな。ふむ、お前さん、この技を教えてやろうか? お前さんが自分でやるのも良し。お前さんの連れが疲れたときに、お前さんがやってやるのも良し。……さらにな、ここを……こうやると……」
「は……っ! はぅん……! ま、待ってブライトさん……! そ、そこは……! ダメっ! 待ってぇ……!」
僕は耐えがたい感覚に体をよじらせながらも、思わず想像してしまった。
僕の手によって、今の僕と同じように『はうんはうん』になっているセリちゃんを――。
……。
「あ……! カイン……っ! 待って、そこは……そこはダメぇ……っ!」
でもセリちゃん、ここを押さないと疲れが取れないよ? どうする? やめる?
「……もぅ……カインのイジワル……。や、優しくしてよね……?」
もちろんだよセリちゃん!
ぎゅぎゅぎゅー!
「……あ! カイン! ダメぇ! そんなに、したら……私……っ、は……はうんはうんになっちゃうぅぅぅ……!」
……なっちゃうぅぅぅ……!
……ちゃうぅぅぅ……!
……ぅぅぅ……!
……。
……なんて……。
な……なんて素晴らしき景色っ!!
見たいっ! 見たすぎるっ! はうんはうんのセリちゃん!! 最高だ! 最高すぎる!!
「お……っ、おねがいしまああぁぁぁぁぁぁ……っす!」
もちろん、僕はすぐにその場でブライトさんに弟子入りした。




