表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第7章 流言の紫 ~deception~
69/395

piece.7-8



 僕の一日はこんな感じだ。


 朝、日が昇るとまずは畑仕事の手伝いをする。

 それが終わると朝ごはんの準備。食べ終わったら、食器のあとかたづけをして、食後に剣の素振りと稽古。


 村の人たちの仕事で手伝うことがなければ、子どもたちと遊んだり、一緒に読み書きを教わったりする。


 ロキさんが言ってた。

「そうやって子供たちと追いかけっことかしてると、昔のセリリン思い出すな~」


 セリちゃんに似てると言われると、なんか嬉しい。

 僕は村の子供たちと遊ぶのが好きになった。


 あとはブライトさんの手伝い。

 ブライトさんは目が見えないのに、体に触った感覚だけで具合の悪いところが分かるのだそうだ。


 ステラの足も、ブライトさんがケアしてあげているらしい。今は杖を使わなくても歩けているけど、以前はもっと歩くのが大変だったそうだ。


 僕もたまたまブライトさんの技を体験する機会があった。


 この前、久しぶりに僕の足の『成長痛』が出たときも、ブライトさんが、ギュギュっと足を押しただけで治ってしまったのだ。


 ……ただ……えーっと、なんていうか……すっごい変な声が出てしまうというか……。


 くすぐったい感じに近いんだけど、それだけじゃなくて、なんかじっとしてられなくなるというか……、痛いわけじゃないんだけど、なんかゾクっとするっていうか……くすぐったいっていうか、我慢できないっていうか……。


 必死で変な声が出ないように我慢している僕に、ブライトさんは笑いながら言った。


「なんだ? 一丁前に我慢しておるな。ふむ、お前さん、この技を教えてやろうか? お前さんが自分でやるのも良し。お前さんの連れが疲れたときに、お前さんがやってやるのも良し。……さらにな、ここを……こうやると……」


「は……っ! はぅん……! ま、待ってブライトさん……! そ、そこは……! ダメっ! 待ってぇ……!」


 僕は耐えがたい感覚に体をよじらせながらも、思わず想像してしまった。


 僕の手によって、今の僕と同じように『はうんはうん』になっているセリちゃんを――。



 ……。


「あ……! カイン……っ! 待って、そこは……そこはダメぇ……っ!」


 でもセリちゃん、ここを押さないと疲れが取れないよ? どうする? やめる?


「……もぅ……カインのイジワル……。や、優しくしてよね……?」


 もちろんだよセリちゃん!


 ぎゅぎゅぎゅー!


「……あ! カイン! ダメぇ! そんなに、したら……私……っ、は……はうんはうんになっちゃうぅぅぅ……!」


 ……なっちゃうぅぅぅ……!

 ……ちゃうぅぅぅ……!

 ……ぅぅぅ……!


 ……。



 ……なんて……。



 な……なんて素晴らしき景色っ!!


 見たいっ! 見たすぎるっ! はうんはうんのセリちゃん!! 最高だ! 最高すぎる!!


「お……っ、おねがいしまああぁぁぁぁぁぁ……っす!」


 もちろん、僕はすぐにその場でブライトさんに弟子入りした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ