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流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第34章 葬斂の黒 〜disaffection〜
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 ディマーズのみんなからしごかれてからというもの、リリーパスの街を散策しながら、僕はちょくちょく悪いことをしている人を捕まえるようになった。


 暗い裏路地に女の人を無理やり連れ込もうとしている人だったり、金品を脅して奪おうとしている人だったり、寄ってたかって集団で無抵抗な人に暴力ふるっている人たちだったり。


 捕まえたのはただの偶然だ。

 別に悪いやつを捕まえようとして、目を光らせていたわけじゃない。


 ただシロさんを見つけたくて、人気(ひとけ)のない路地を片っ端から探しまわっていると、そういう状況が発生しているところに出くわしてしまう。


 ただそれだけだった。


 ちょっとでも騒ぎがあればシロさんがいるかもしれないと思って駆けつけてみるけれど、結局全部ハズレだった。


 とりあえずは仲裁に入って、あんまり手がつけられないようなら押さえつけて人を呼んで、最終的にはだいたいディマーズに連れて行かれる。


 そういう流れだった。


 最初こそセリちゃんから「危ないから一人のときは細路地入るのやめようね」と言われていたけれど、もう最近だと何も言われなくなった。


 たまに思い出したように「もうディマーズからお給料もらった方がいいんじゃない?」と言われるくらいで、心配されなくなったのが、ちょっとさみしいような、そうでもないような……。


 シロさんは全然見つからない。


 お風呂好きのシロさんのことだから絶対にいるはずだと確信していた公衆浴場も、リリーパス内にある全部の施設を当たってみたけれど全てハズレだった。


 手掛かりすら、全く見つからない。


 街の人たちと口裏を合わせているんじゃないかと疑ってしまうほどに、シロさんの痕跡は一切見つからなかった。


 それくらい不自然なほどに、シロさんの消息をつかめなかった。


 もしかしたらもう、リリーパスの街からいなくなってしまったのかもしれない。


 少しずつ僕の中で、諦めの気持ちが強くなっていくのを感じた。


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