piece.30-13
ポーターが意地悪な笑みを浮かべて、僕を見ている。
「大変だな、お前。セリさんといいナナクサといい、お前と仲のいい女の人ら、ディマーズなんかに追っかけられてさ」
ポーターに言われて気がついた。出会った頃のセリちゃんもお尋ね者だった。
【皆殺しのセリ】なんて怖い二つ名までつけられてたけど、実際もともとの名前の由来は全然怖くない由来だったし、ディマーズのみんなはセリちゃんを助けようとして手配を全域にかけていただけだった。
セリちゃんが捕まったらもうおしまいなんだって思いこんでたけれど、実際はそんなことにはならなかった。
つまり、もしナナクサが見つかって、その正体がやっぱりシロさんだったとしても、メトトレイさんとレキサさんにひどいことをしたことを謝っちゃえば、なんか結果オーライになったりしちゃったりしないかな?
少しだけ希望が見えてきた。
「ねえ、ナナクサはどういう名目で手配をかけられてるの?」
「『見かけたらディマーズに情報提供求む』だったな。賞金首ではなかったな、セリさんと違って」
希望の色がまた少し濃くなる。
「そっか、ポーターは何か情報持ってる?」
「オレに聞くなよ。オレが情報収集したくてお前に声かけたってのにさ」
「それもそうか。ごめん、役に立てなくて」
ポーターが何かを考え付いたように僕を見つめた。
「もし何かつかんだら、お前に売ってやろうか? ディマーズよりも先に」
「……え?」
「情報だよ情報。ディマーズに渡すよりも先にお前に流してやるって言ってんの。ディマーズに渡さずもみ消してもいいし、ディマーズが動くよりも先にお前が動くことができる。どうだ? いい話だろ?」
「そりゃあ、嬉しいけど……どうしてそんなことを?」
「そっちの方が面白そうだから」
僕は悩んだ。情報は欲しいけれどポーターを危険な目に遭わせたくはない。
エイジェンがどう関わっているかはまだ分からない。
エイジェンがポーターのことを認識してしまうような事態は避けたかった。
もしまたこのリリーパスの地で、アスパードが起こしたような事件が起きてしまったら――そんなことは絶対に二度と起こしてはいけない。




