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流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第27章 密雲の黒 ~premonition~
307/395

piece.27-10



「え……? う、うん……わかったよ」


「よく考えて決めるのよ。ひとつを選んだら、選ばなかった方のもうひとつは、もう手には入らないの。永遠に失われてしまうんだから。

 だから……後悔しないように、納得できるまで頭をちゃんと使うのよ、いいわね?」


「え? それ、どういう意味?」


「言葉通りの意味よ。二つの星のうち、手に入るのは一つだけ。肝に銘じておきなさいね。

 私から言えることはもうないわ。そろそろ仕事に戻らなきゃ。……さっさと出てって」


 そう言うとステラは硬い表情のまま、僕をテントの外に押し出した。


 僕が言い返せるような隙すら与えずに、すぐに次の占いのお客さんを呼んでしまう。

 こうなるともう、僕はステラとは何も話せない。


「もっと丁寧に説明してくれないと、また勘違いしちゃいそうだなあ……」


 僕が思わずぼやくと、横にいたブライトさんが隣でうんうんとうなづいていた。


「星読にもできることとできないことがある。近い星の縁は読みやすいが、遠い星の縁は動きが読みづらい。遠い未来のことほど予測が難しい。

 要は一日一日、その日のことを考えて備えるべしという教訓じゃな」


 ブライトさんの言葉を、僕はもう一度自分の中で繰り返してみた。



 その日のことを考える、か――。


 その日って、一体どんな日なんだろう。



 その日になったら僕は何かを決めなくちゃいけなくて、ひとつを選んだらもう一つは失われてしまう。


 しっかり頭を使って考えなきゃいけなくて、急がなくても間に合うから、行動する前にちゃんと考えなきゃいけない。


 そんな『その日』……。


 その日は一体いつ来るんだろう。


 僕は『その日』に、何を決めなきゃいけなくなるんだろう。


 第27章 密雲の黒

 MITUUN no KURO

~premonition~ END

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