piece.22-3
顔が上げられない。
セリちゃんの顔が見れない。
ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……!
でもレミケイドさんにいつの間にかばっちり見られていたし、嘘ついてごまかしても、きっとすぐにばれてしまう。
セリちゃんに嘘つきと思われるのは嫌だった。
ドドッ……ドドッ……ドドッ……ドドッ……!
セリちゃんになんて言われるのかが怖くて、胸が痛いくらいに苦しかった。
ごめんなさいもうしませんだからお願い嫌いにならないで!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!
「うーん……人が寝てるときにこっそりするのは、あんまりお行儀がいいことじゃないかなあ」
「……はい、ごめんなさ……」
……ドドドッ?
ん?
その言い方は……まさか……。
「……それって。
も……もしかして……起きてる時であれば……いいってこと?」
やめろ! やめるんだカイン!
せっかくセリちゃんが許してくれそうなのに!
これ以上チューの話題を続けるのはよせ!
今は大人しく次のチャンスを待つんだ!
いや違う! ここは攻め時だぞカイン!
チャンスは自分の力で手に入れるんだ!
セリちゃんがどういうときであればチューしてOKなのかは貴重な情報として確実に入手する必要がある! なにがなんでも手に入れろ!
僕の中で二人の僕が意見を戦わせている。
ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……ドッ……!
おそるおそる顔を上げ、セリちゃんの顔をうかがう。
ドドッ……ドドッ……ドドッ……ドドッ……!
「うーん、そうだなあ。時と場所と状況によるかなあ」
そ、それってもしかして……!
僕の中で期待と緊張が一気に高まる。




