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流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第15章 回帰の紫 ~infection~
154/395

piece.15-1



 マイカの街――。


 ディマーズを警戒しながら人混みに紛れ、僕たちは街の中心を目指して歩いていた。


「カイン、提案がある」


 シロさんが真面目な顔で僕を見た。

 思わず僕の背筋が伸びる。

 僕は黙って、シロさんの言葉を待った。


「今日は街の中心に建ってる、高級な宿に泊まろうぜ。

 んでさ、ついでに女とかも呼んじゃうわけ。

 ……ダメ?」


 ……いったい何の話なんだ?

 提案というか、最後のはお願い?


 ……え? なに? なんなの? 意味わかんない。


 『ダメ?』って首をかしげてこっちを見つめるシロさんが、変すぎて怖……。


 シロさんが首をかしげて上目遣いってなんなの? 目がウルウルしてて気持ち悪いし怖い。


 なんの罠なんだ? 怖いんだけど……。


 すでにかなり動揺してきたけれど、僕は努めて平静を装いながら、シロさんへまっとうな返事をしてあげた。


「ディマーズにオレのことバレちゃったから、早くこの街出た方が良いと思うけど」


 レキサさんがうまくごまかしてくれると思うけど、いつまでもここにいたら、またアダリーさんに見つかってしまうかもしれない。


 しかしシロさんはニヤリと余裕の笑みを浮かべた。


「甘いな。お前が捕まりそうになった場所は、裏通りの方だ。

 あそこはカネがないゴロツキたちの(たむろ)するゾーンだろ? もしお前を探すんならそういうところを探すさ。

 その裏をかいて、その辺の旅人じゃあなかなか手が出ないような高い宿に泊まる。名案だろ?

 ほらお前、ぱっと見、いかにもカネ持ってなさそうな感じだし」


 余計なお世話だよ……という心の声は口に出さないでおく。


「……で? 女の人を呼ぶっていうのは?」


「んー? 俺がしたいから」


 当然だと言わんばかりの返答だ。


 ……結局自分の都合じゃんか。


 と、いう心の声も口にしないでおく代わりに、僕は軽蔑の眼差しでシロさんを睨んだ。


 本当にシロさんはどんなときでもマイペースすぎる。

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