偵察
この小説はフィクションです。実在する国家、団体、企業、個人、法律等とは一切関係ありません。
2023年1月2日【アフリカ大陸 ギニア中西部上空 30000m】
その偵察機は本来現役を引退してスミソニアン博物館で展示されていたが、急遽、緊急任務として博物館からロールアウトしてネバダ州のエリア51からマッハ3の超音速で飛来したのである。
有人飛行機としてはこの機体を超える速度の軍用機は2023年時点で存在しない。
米国戦略空軍の偵察機SR71ブラックバードはギニア上空をあっという間に通過したが、数多の偵察装置がギニアでの異変を捉えていた。
【英連邦 南アフリカ共和国 ケープタウン軍港】
アフリカ大陸で唯一国家機能が存続している国の軍港に米国、日本、NATO、ロシア連合の艦艇が集結していた。
これらの艦艇は任務機動部隊としてアフリカ大陸西海岸からギニア中西部へ強行偵察を行う任務を帯びていた。
任務機動部隊の旗艦である米国航空母艦『ロナルド・レーガン』で各国艦艇の艦長と偵察部隊の隊長達が集まり、ブリーフィングが行われていた。
「カナダとキルギスで起きた都市消滅事件の後に、ギニア中西部から異常な電磁波、マイクロ波が観測されたので偵察機を飛ばした結果がこれだ。」
作戦参謀のワット大佐が偵察機の映像をスクリーンに写した。
スクリーンには、ギニア中西部のフータ・ジャロン山地のジャングルがどす黒く変色し、奇怪な様相の樹木へと変化していた。
更に、ジャングルの中には眼を疑う"魔物"としか形容出来ない生物が偵察機のカメラを睨んでいた。
その生物は身体はライオンだが尻尾が二股の蛇になっており、蛇はコブラの様な形だった。
その他にも、途中で二股になった二本首の麒麟や、亀の甲羅を持つゾウらしき生物が黒いジャングルの中にひしめいていた。
「大佐殿、これはどこのワンダーランドかね?」英国海軍トラファルガー級原子力攻撃潜水艦の艦長が真剣な口調で質問した。
「分かりません、ミスター。それを我々が調べに行くのです。」
ワット大佐が答えた。
「ギニア中西部のフータ・ジャロン山地からは現在も強力な電磁波、マイクロ波、ガンマ線が上空に放射されている状態で、上空を通過した衛星が機能停止に陥っています。したがって、有人による偵察で何が起きているのか確かめる必要があるのです。」
護衛艦『ひゅうが』の艦長とブリーフィングを聴いていた澤城中佐は任務の前途に嫌な予感を感じない訳にはいかなかった。
澤城の大隊が強行上陸するのだから。
1月5日、ケープタウン軍港から連合任務機動部隊がアフリカ大陸西海岸へ出撃した。
航空母艦1隻、強襲揚陸艦2隻、ミサイル巡洋艦5隻、ミサイル駆逐艦6隻、攻撃型原子力潜水艦1隻の大部隊であった。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
明日は、17時と19時に次話投下します。




