ツバメ大隊その後
この小説はフィクションです。実在する国家、団体、企業、個人、法律等とは一切関係ありません。
【沖縄県 石垣市 尖閣諸島上空】
陸上自衛軍※の特殊部隊用C2輸送機から次々と円筒形のポッドを内蔵したツバメマークを施したゴルフカート程の大きさの装甲車両がパラシュートを開かせながら吐き出される。
「ほら、イケイケイケ!時間がないぞ!」澤城大隊長が発破をかける。
C2輸送機から放り出された第一小隊分隊長の林三郎軍曹は巧みにパラシュートを操作して比較的平坦な島の中央部に着地した。部下も次々と林の周囲に着地していた。
「こちら第一分隊林!、降下地点に全員集結完了!送れ。」
「こちら天城、よくやったすぐに拠点構築にかかれ!」凛とした女性の声が林のレシーバーに響く。
今日はついてるぜ、女神の美声は紳士のご褒美なのだ!林は内心、歓声を上げていた。
「こちら第二小隊、風を読み間違えた!一部が海上に落着、うっぷ、ポッドに海水が、」小型装甲車両が波間に水没しかかっていた。
「なにやってんだ!サメのエサになるか?」澤城の怒声が響く。
「第三小隊、水陸装備で第二小隊を救出しろ!5分で全員目標地点に展開せよ!」
小型ドローンを操作して水没しかかっている装甲車両を第三小隊かが引き揚げている。
澤城大隊長がため息をつく。
「やはり、カート型は植人には合わんな。」
「ええ、やはりPSが一番かと。」副官の竹見中尉が感想を述べる。
「まあ、PSでエロ本買わなければこんな訓練しないで済むのにな。光太郎隊長、恨みますよ。はぁ。」澤城大隊長は遥か宇宙で火星に向かっている元上司に恨み言を言う。※2
「よし、今日の空挺降下訓練は これで終わる。明日はオスプレイでホバリング降下だ!」
「うぇー…………」林三郎をはじめとする円筒形のポッド群紳士が呻き声をあげる。
「天城大尉、何か聴こえたか?」
「は、喜びの声しか聴こえませんでした!」第一小隊長の天城大尉がニッコリ笑いながらハキハキと答える。
「お前ら、女神様の小隊長殿が言っていることに間違いは無いな?」
「イエス、マイロード!」ポッド群の紳士達が即答する。
南方方面で離島奪還訓練に勤しむいつもどうりのツバメ紳士大隊であった。
※陸上自衛軍:旧陸上自衛隊。第三次世界大戦後に、北海道侵攻や中国大陸の邦人救出に手間取って多大な犠牲を出した反省から憲法を改正、自衛隊は自衛軍となった。
それぞれ、陸上自衛軍、海上自衛軍、航空宇宙自衛軍と呼ばれる。防衛省の呼称は変わらない。
自衛軍兵士の階級呼称も他国に合わせて軍曹、少尉、大佐、中将等と呼ばれる。
※2 詳しくは本編「植人」第53話『~植人のお買い物~』をご参照くださいm(__)m
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
明日17時に次話投下します。




