決意
この小説はフィクションです。実在する国家、団体、企業、個人、法律等とは一切関係ありません。
壊滅的損害を受けた連合軍宇宙機動部隊が収集した情報により、連合軍は浮遊山地攻略作戦を練り直さねばならなくなった。
サドベリー婆側の"訪問者" が複数存在することが確認されたため、連合軍は各国の"訪問者"と共闘して作戦に臨むこととなった。
具体的には、浮遊山地から放射される指向性ガンマ線、マイクロ波から連合軍を護るシールドを展開してもらう事となる。
また、訪問者が操作する飛行体の動きを封じる事も含まれる。
連合軍自体も、浮遊山地を物理的に破壊する方法を改善する必要に迫られた。
通常のミサイル弾頭を山地深くで炸裂させる構造に改造する事になった。バンカーバスター(地下濠攻撃)爆弾を参考にミサイルの改造が行われた。
また、新兵器としてドリル型掘削弾頭を開発して攻撃機や艦艇に搭載する作業が急ピッチで進むこととなった。これは映画のように石油採掘専門家の意見を仰ぐ事となった。
艦艇や戦闘機の放射線対策としては、鉛を含んだ防護装甲や宇宙服を追加装備する作業も並行して行われた。
浮遊山地上陸部隊の装備も石油採掘用の器具を宇宙使用に改造したものが追加され、ラグランジュ・ベースではなく、月面でテストが行われた。
『月の番人』が、
「儂の身体に孔を空ける等怖いんじゃ!」
と掘削を拒絶したからである。
【ムーン・ベース 屋外訓練地区】
「大尉殿、ちょっとPSの動きが重いっす!」
林軍曹が天城大尉に弱音を吐く。
「え?そうか?」
天城大尉はピョコピョコと小型中性子爆弾バズーカを担ぎながら動き回っていた。
「大尉殿!中性子弾頭を持ってるんだから危ないっすよー!」
林が注意を促す。
「多少の重量増加は、大尉殿に影響ないんだな。」
感心するべきか、呆れるべきか、悩みどころだ、と林は思った。
「でも、あんな凄い敵に小手先の改造で敵うのかな?」
林はふと、そう思うのだった。
【ラグランジュ・ベース 】
ラグランジュ・ベースに駐留していた戦力の大半が喪われた事により、G8各コロニーに避難命令が発令されて住民は全員地球かムーン・ベースに避難しており、ラグランジュ・ベース近辺には僅かな偵察部隊しか居なかった。
『月の番人』の上に、地球から集まったG8各国の"訪問者"達がサドベリー婆との対決を控えて話し合いをしていた。
「人類側は戦術や装備を改造して対抗しようとしているが、恐らくサドベリー婆には敵わないと思う。」
英国のケルトが断言した。
「小手先の改造で何とかなるなら、儂らはここに居る必要もないからのう。」
日本の御池が発言した。
「じゃあ、やっぱり俺っちらで、片をつけるしかないつましょ。」
米国のバリーが言った。
「これ以上人類に損害が出る戦いは、我らの望む所ではない。」
カナダのマニクアガンが発言した。
「人類の準備が終わるのを待っていてはサドベリー婆に先手を取られてしまうだけだ。」
フランスのボスムトゥイが言う。
「あんな物体が地上に落ちたら三度目の人類滅亡ね。」
オーストラリアのクィーンがさらりと爆弾発言した。
「姉さん、それはちょっと盛りすぎ。前の2回は恐竜や他の生物だから。」
弟のノースが突っ込んだ。
「番人よ、我らだけでシールド張ってサドベリー婆もろとも地球から遠ざけよう。」
ドイツのメルトリンガーが提案した。
「5年前の二郎と三郎のやったやり方じゃな。」
御池が言う。
「それしかあるまいよ。」
ドイツのシュタインハイムが賛同する。
「では、早速取り掛かろう。」
『番人』が言った。
「これで終わりにしよう。」
米国のNORADは、ラグランジュ・ポイントから1つの小惑星が軌道を外れて急速に「浮遊山地」へ接近したのを探知した。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
次話投下まで数日お待ちくださいm(__)m




