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植人【外伝】月の番人  作者: NAO
新たなる試練
19/25

今再び

この小説はフィクションです。実在する国家、団体、企業、個人、法律等とは一切関係ありません。

【地球と月の中間地点 ラグランジュポイント】


地球を見守る『月の番人』にケルトからの思念が届く。「サドベリー婆のこれ以上の介入は人類の益に成らない。」と。


番人はもう一度考えてみる。

確かに私は多数の人類を植人化※させ、世界を混乱に導いてしまった。数多くの命を奪った自覚もある。

だからこそ、この人類のサポートは番人の責務であり、贖罪に等しい。


番人はケルトの呼び掛けに応じて、5年前に一度眠りについた各地の"訪問者"達※2を覚醒させるのだった。


【カナダ オタワ 首相府内 ダイニング】

早朝に出勤した首相府の料理人は驚いた。

ダイニングテーブルに小さい白人の男の子と、老人がちょこんと座って居たのだから。


「お久しぶりですね、お客人方。」料理人は再会出来た喜びで暖かく二人を迎えた。


「うん、嬉しいね!後、いつものサンドイッチお願い!」

"訪問者"チャップがニコリと笑った。


チャップとマニクアガンがモシャモシャとサンドイッチを満喫しているところに、知らせを聞いたトルドー首相が駆け付けてきた。


「久し振りのサンドイッチはどうかね?」トルドーが訊いた。


「まいうー♪」チャップがピースサインで応える。

「ご馳走になっておりますじゃ。」マニクアガンがトルドーに挨拶する。


「ねえ、トルドー。ちょっと僕たちの仲間がヤバイことしだしたから、止めてくるね。」チャップがいきなり言い出す。


「アフリカの浮遊山地の事かね?」トルドーが確認する。


「そ、今頃世界中でこの前のメンバーが起きていると思うよ。今度はちょっとみんなでやらないと不味いんだよね。あんな高い空から落ちてきたらみんな滅んじゃうから。」


「分かったよ。私達もできる限り頑張るよ。」

「さすがトルドーだね♪」

チャップがニイッと笑った。


【米国 ワシントンDC ホワイトハウス 大統領執務室】


「大統領閣下、アリゾナ州兵司令部からバリーを保護したとのことです。間もなくこちらに来ます。」パーシング大統領補佐官がペンス大統領に報告した。


「カナダもトルドー首相から連絡が今連絡が有ったよ。」ペンスが応じた。

「あの浮遊山地に対抗するらしい。」


【オーストラリア 首都 キャンベラ 首相府】


「お久しぶりです。ミス・クイーン、ミスター・ノース。」

レントン首相は丁重に姉弟の"訪問者"をもてなした。


「まったく、いくら人類の進化のためといえ、こう頻繁に介入するのはさすがの私でも申し訳無く思いますの。」とクイーン。

「ほんと、ごめんなさい。」とひたすら平謝りのノース。


「こちらこそ、人類の為にまたいらして頂き、感謝します。このあとはどちらへ?」レントン首相が訊いた。


「『月の番人』との打ち合わせね。宇宙(そら)に行くわ。」クイーンが宣言した。


【フランス共和国 首都 パリ エリゼ宮 大統領執務室】


「老師、お久しぶりですね。またあえて光栄です。」マリー大統領が"訪問者"ボスムトゥイに笑顔で呼び掛ける。


「うむ、マドモアゼルも息災でなにより。」

ボスムトゥイがむっつりと応えた。


「アフリカでの同朋の無法な振る舞いを謝罪したい。」率直に彼は謝罪した。

「私が再び眠ったガーナも異形に荒らされて皆、逝ってしもた。」


「これは進化ではない。同朋の侵略に等しい。マドモアゼルとゆっくり文化について語り合いたかったのぉ。」残念そうにボスムトゥイが言った。


「老師、あの浮遊山地を片付けたら、是非ともルーブルでお茶をしましょう。」マリー大統領が優しく話しかけた。


【東京都 千代田区 市ヶ谷 陸上自衛軍 植人宿舎】


「紳士諸君。我々は本日、光太郎マスターを超えねばならん!」

「目標は只1つ、べっぴん○ラブだ!」

林は大隊の紳士達に語りかけた。


「作戦をもう一度確認する。私がPSで駐屯地周辺を巡回して人目を引く。その間に別動隊はラジコンポッドカーでコンビニへ買い物だ!」


林は成功を確信していた。今は、紳士の嗜みに厳しい夏乃副官や、久島老師も居ない。今こそ光太郎の無念?を晴らさねばならない!


高揚した気分で完全装備のPSにポッドごと収まると林は駐屯地の外に出た。


そこに別動隊のラジコンポッドから通信が入る。

「メーデー!メーデー!状況ガス!」

林は宿舎に急いで戻るとそこは"本ワサビ雲"に不意を突かれた隊員達が阿鼻叫喚の地獄に陥っていた。


「なん、だ、と。」林は作戦の失敗を悟った。


そう、あの"本ワサビ雲"は「あのお方」しか居ない。英国の某魔法使いみたいに名前を言っても呪われることはないのだが、言ったら負けなような気がしたので林はぐっと堪えて、宿舎から脱出して駐屯地のゲートを目指す。こうなったら強行突破しかない!


「いい度胸だ、林軍曹。」据わった目眼差しの天城大尉がゲートで仁王立ちしていた。


「大尉殿すいません!男には逝かねば成らない時が有るのです!」林はそのまま天城大尉にPSごと突っ込んだ。


天城大尉をひき逃げしてしまったと思った林だが、天城大尉は林のPSの腕を抱え込むと背負い投げで林をゲートの"向こう側に"飛ばしてしまった。


「あっ!」失策に気付く天城だが、林は脱兎のごとくコンビニに駆け込むのであった。


コンビニに突撃した林だが、非番の女性隊員達に取り抑えられて、駐屯地に連れ戻されてしまった。

ゲートで天城大尉に引き渡された林はポッドだけの姿になり、天城に抱えられながら宿舎に戻った。


「お主らはぶれぬのう。その鋼の心意気を任務に充てようとは思い付かんのか?」

呆れた顔で"訪問者"『御池』が言った。御池の背後に居た澤城大隊長と竹見副官が苦り切った顔で御池に頭を下げていた。


「林軍曹、貴様は外出禁止2週間だ!頭を冷やせ!」竹見副官が告げた。


「連帯責任として大隊全員は休暇取り消しだ!」

隊員の恨みがましい眼が林に注がれる。


そんないたたまれない空気は澤城の命令で霧散する。

「植人大隊はラグランジュ・ベースで特殊任務に就く!直ちにPS完全装備で宿舎前に集合しろ!」


陸上自衛軍は初めて宇宙空間での作戦行動を行う事となった。

日向首相から直接、

「植人大隊は御池老師と共に衛星起動上の浮遊山地に潜入、破壊活動を行え。」と命令が出されたのである。




※本編「植人」~プロローグ~ご参照くださいm(__)m


※2 第一部 ~訪問者達~ をご参照くださいm(__)m

ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m

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