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16話 ミカエル

 女の子は、ルルと同じように二本の角を生やしていた。

 それと、やはり腰の辺りに羽が。


 髪の色は、ルルと対称的に銀色だ。

 絹を束ねたかのようで、太陽の光を受けてキラキラと輝いている。


 肌は少し焼けている。

 ただ、それは健康的なイメージを与えるだけで、とても好印象だ。


 スタイルは……うん。

 ルルと比べると、けっこう残念かもしれない。

 でも、ついつい視線がいってしまうような、妖艶さを持っているところはルルと同じだ。


 間違いない。

 彼女が遺跡に現れたという悪魔だ。


「ほう……ミカエル、お主か」


 ふと、ルルがそんなことをつぶやいた。


「知っているんですか?」

「うむ。魔界の火を司る、四大悪魔と呼ばれている者達の一角だ。我の次の次くらいに強いぞ」

「そうそう、私ってけっこう強いんだよー?」


 僕達の話を聞いていた悪魔……ミカエルが、気さくに話しかけてきた。


 その対象はルルだけじゃなくて、僕も含まれている。

 人間だから、という理由で僕を無視することなくて……

 きちんとこちらを見て話をしていた。


 悪魔は人間を見下したり、虫のように思っていたり……

 そんなイメージがあったんだけど、ルルやこの子との出会いで、どんどん印象が変わっていくなあ。


「ところで、なんでルシファルさまがこんなところにいるの? 封印されてなかったっけ?」

「まあ、色々とあってな。今は、カイルと……旦那さまと一緒に旅をしているのだ」

「どうも」


 ぺこりと挨拶をして……

 ふと気づくと、ミカエルがキラキラと目を輝かせていた。


「え? うそ! 今、旦那さまって言ったよね? ルシファルさま、結婚したの? したの?」

「うむ!」

「えー、マジでー!? うっそー、すごーい! まさか、ルシファルさまが結婚するなんて。絶対、婚期逃すってみんなで話していたのに」

「……そのメンバーについて、詳しく話を聞こうか?」

「そ、それよりもー」


 やば、という顔をしつつ、ミカエルが話を逸らす。


「こんなところまで来たっていうことは、私に会いに来てくれたの?」

「うむ。悪魔が復活したと聞いて、様子を見に来たのだ。お主とは知らなかったがな」

「そうなんだよねー。なんか知らないけど、復活できちゃった感じ? マジうける」


 復活した理由は本人も謎らしく、ケラケラと笑っていた。


 なんていうか……

 すごくノリが軽い悪魔だ。


「ところで、お主はこれからどうするのだ?」

「んー」


 ミカエルは少し考えて、とんでもないことを言い放つ。


「近くに街があるみたいだから、とりま、滅ぼしてみようかなー、って」

「なっ!?」


 あまりにもあっさりと言うものだから、聞き間違いかと思ってしまう。

 でも、そんなことはなくて、ミカエルは残忍な笑みを浮かべていた。


「なーんか、人間ってけっこう増えてるっぽいじゃん? うざいじゃん? ちょっとは間引いておかないとねー、あはっ」


 そう語るミカエルは、悪魔そのものだった。


 彼女はルルと違う。

 物語で聞くような、本物の悪魔だ。

 良い悪魔、なんて思っていたけど、それは勘違いらしい。


 答えを聞いて、ルルはため息をこぼす。


「やれやれ……やはり、こうなるか」

「ルルは、こうなることを予期していたんですか?」

「ミカエルは、四大悪魔の中で一番好戦的だからのう。誰かが手綱を握っておらぬと、ちょっと目を離した隙に暴れまわるのだ。厄介なヤツなのだ」

「ルル、僕は……」

「うむ、わかっている。我は意味のない破壊は嫌いだ。旦那さまを手伝おう」


 ルルは不敵に笑い、僕に賛同してくれた。


 うん、とても心強い。

 彼女が一緒なら、なんでもできるような気がした。


 そんなルルと一緒に、ミカエルの行く手を塞ぐように立つ。

 否。

 行く手を塞ぐ。


「んー……どしたの、二人共? なーんか、やな感じなんだけど」

「旦那さまの希望でな。お主が暴れるというのなら、止めさせてもらうぞ」

「……なにそれ」


 スゥっと、ミカエルの目が細くなる。


 一瞬で不機嫌になり……

 そして、怒気を通り越して、殺気すら放つように。


「え、なに? 私の邪魔すんの? それ、うざいんですけど」

「我の命令だとしても、従わぬか?」

「ここは魔界じゃないし。そもそも、元から好き勝手してたし」

「やれやれ……」


 ルルがため息をこぼす。

 ミカエルが猪突猛進すぎて、頭が痛い、というような顔だ。


「旦那さまよ。とりあえず、宣戦布告するといいぞ」

「どうしてですか?」

「ミカエルは単純だからな。売られたケンカは絶対に買うのだ。逆にケンカを売っておかないと、スルーされてしまう可能性がある」

「なんていうか……」


 とてもめんどくさい人っぽい。


「でも、ルルって、彼女のことをよく知っているんですね」

「同じ悪魔だからな」

「それだけじゃないと思いますよ。ルルが優しいから、色々と気にかけることができるんだと思います」

「えへへ、そう言われると照れるのだ。でも、嬉しいぞ」


 ルルがにへら、と笑う。


 そんなルルを見て、ミカエルが怪訝そうな顔に。


「ちょっと、そんなルシファルさま、初めて見るんですけど。なんで、そんな嬉しそうなわけ?」

「決まっているだろう。あ、愛する旦那さまに褒めてもらえたからだ!」


 自分で言っておいて、ちょっとだけ照れていた。

 でも、そんなルルはかわいいと思う。


「ふーん……ホントに変わったんだ」

「うむ」

「そこの人間が、ねえ……」


 ミカエルがこちらを見た。

 ちょうどいいタイミングなので、そっと声をかける。


「ねえ」

「なによ、人間」

「理由があるのならともかく、ないのなら無意味に暴れることはやめてくれませんか?」

「は? なんで人間なんかに命令されないといけないわけ?」

「命令じゃないです、お願いです」

「変わらないっつーの」


 ミカエルの殺気がどんどん膨らんでいく。

 それは質量さえあるかのようで……

 周囲の動物達が慌てて逃げ出すのが見えた。


 正直言うと、怖い。

 足が震えてしまいそうだ。


 でも……


 街の光景を思い出した。

 活気があふれていて、たくさんの人がいて、笑顔があって……

 あれを壊すようなことをしてはいけない。

 守らないといけない。


「お願いしてもダメなら、強引にでも止まってもらいます」

「……調子のんな」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


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◆ お知らせ ◆
新作を書いてみました。
【天災賢者と無能王女と魔法の作り方】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] ミカエルが心読めない子で良かったね もしカイルの「あの発言」を聴いていたらブチギレてたかも(´・ω・`;)
[気になる点] あの作品の彼女が聞いていて乱入したら・(NG) スタイルは……うん。 ルルと比べると、けっこう残念かもしれない >> ルナ「”” ちょっと待つのだ(怒)誰が結構残念かもしれないと言…
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