中編1『球技大会-男子ドッジボール-』
朝礼が終わった後、校庭で球技大会の開会式が実施される。
体育祭の開会式と同じように、全校生徒で校歌を斉唱したり、校長先生の話を聞いたり、
「宣誓! 我々、生徒一同は! スポーツマンシップに則り! 正々堂々と戦うことを誓います!」
球技大会の実行委員長の女子生徒が元気良く選手宣誓したりした。
開会式が終わり、球技大会が始まった。自分が参加する試合以外は基本的には自由に過ごしていいことになっている。
ドッジボール、バスケットボール、卓球はそれぞれ会場が違うので、開会式が終わると校庭を後にする生徒が多い。
うちのクラスは男子ドッジボールが第2試合にあるので、会場である校庭に残るクラスメイトが多い。男子ドッジボールに出場する俺、道本、鈴木はもちろん、応援してくれる愛実、あおい、海老名さんも校庭に残っている。担任の佐藤先生も。
生徒の多くが校庭を後にして、球技大会の実行委員達が白線を引いて2つの試合会場を作る。それが終わると、男女それぞれさっそくドッジボールの第1試合が始まった。
「ドッジボール始まりましたね!」
「そうだな、あおい。第2試合だから次がうちのクラスだな」
「もうすぐですね。ちなみに、ドッジボールの試合時間は何分ですか?」
「7分だな」
「7分ですか」
「ああ。ただ、ドッジボールだから、7分経つよりも前に、どっちかのチームの内野が全滅したらその時点で試合終了だ」
「なるほどです。……確か、バスケも試合時間が7分だった気がします。7分でしたよね、愛実ちゃん、理沙ちゃん」
「うん、7分だよ」
「合ってるわ」
バスケも7分か。バスケもドッジボールもクラス対抗のトーナメント戦だし、一律で7分にしているのかもしれない。
男女ともに、試合をしているクラスは気合いが入っているように見えるし、応援もあってなかなか盛り上がっている。ボールを当たってアウトになったときは特に。
男女ともに熱戦が繰り広げられ、第1試合が終了した。
「よし! いよいよ初戦だな! 勝利に向かって頑張ろう!」
鈴木は明るい笑顔で元気良く言う。そんな鈴木に、俺や道本をはじめとした男子ドッジボールに出場するクラスメイトは「おう!」とか「やるぞ!」と返事した。
鈴木はチームを盛り上げるのが上手だ。去年、1年生ながらベスト8まで勝ち進めた理由の一つは鈴木の明るさだったのかもしれない。
「リョウ君、道本君、鈴木君、みんな頑張ってね!」
「頑張ってくださいね!」
「みんな頑張って。応援してるわ」
「先生も応援しているよ」
愛実、あおい、海老名さん、佐藤先生は笑顔でエールを送ってくれる。そのおかげで頑張れそうだ。
「ね、ねえ、リョウ君」
「うん?」
愛実……頬をほんのりと赤くして俺を見つめている。どうしたんだろう?
「リョウ君にその……特別な応援をしたいなって。勝利のおまじないをかけたいというか」
「おぉ、勝利のおまじないか。嬉しいな。どんなことだ?」
「……これです」
そう言うと、愛実は俺の頬に両手を添えてキスしてきた。
勝利のおまじないってキスのことだったのか。だから、愛実の頬が赤くなっていたんだな。あと、キスされるとは思わなかったので、唇が触れた瞬間に体がピクッと震えた。
俺達がキスしているのを見ているのか、「きゃあっ」とか「おおっ」といった声が聞こえてくる。
数秒ほどして、愛実から唇を離した。すると、目の前には顔を真っ赤にしながらも、可愛らしい笑みを浮かべる愛実がいて。物凄く可愛い。
「こ、これが……リョウ君への勝利のおまじないです。ど、どうかな?」
「……より頑張れそうだよ。ありがとう。キスされるとは思わなかったから、ちょっとビックリしたけど」
「体がピクッとしていたもんね。可愛かったよ。頑張ってね、リョウ君」
「ああ。ありがとう」
お礼を言って愛実の頭を撫でる。それが気持ちいいようで、愛実の笑顔が柔らかいものに変わった。
「恋人だからこそできるおまじないですね。ドキッとしちゃいました!」
「そうね、あおい」
「意外と大胆だねぇ、愛実ちゃん」
あおい、海老名さん、佐藤先生にそう言われて、愛実は照れくさそうに笑う。
「恋人の香川のためにも頑張らないとな、麻丘」
「そうだな。あと、凄く頑張れそうだって言った麻丘の気持ち分かるぜ。オレも昨日、美里に『球技大会頑張ってね』ってキスされたからな!」
鈴木は嬉しそうに言った。鈴木には中学時代から付き合っていて、今は女子校に通っている須藤美里さんという恋人がいる。別々の高校に通っているから、須藤さんは昨日、鈴木に応援のキスをしたんだろうな。
「愛実のためにも頑張るよ」
俺がそう言うと、愛実はニコッと可愛い笑みを浮かべた。
俺は愛実に水筒やタオルが入った袋を渡した。道本はあおいに、鈴木は海老名さんにそれぞれ荷物を渡した。
俺、道本、鈴木は愛実、あおい、海老名さん、佐藤先生など応援してくれる人達にグータッチして、ドッジボールに出場するクラスメイト達と一緒にコートに入る。
俺達は球技大会の実行委員の男子生徒から緑色のゼッケンを受け取る。小声で作戦会議をしながらゼッケンを身に付ける。ちなみに、俺は3番、道本は2番、鈴木は1番だ。また、相手の2年6組は青いゼッケンを付けている。
――ピーッ!
「2年2組、2年6組の生徒達はセンターラインの前で並んでください」
審判を務める男性教師がホイッスルを鳴らして、そんな指示をした。
双方のクラスの出場生徒達は、センターラインを挟んで向かい合って並ぶ形に。
「これより、男子ドッジボール1回戦の第2試合・2年2組対2年6組の試合を始めます」
男性教師がそう言い、双方のクラスの生徒達はそれぞれの内野や散らばったり、試合開始時から外野にいる元外野となる生徒2人が外野に行く。俺と道本は自分のチームの内野に散らばる。
また、試合開始はジャンプボールの形で行なわれるため、各クラスからジャンプボールを担当する生徒のみがセンターライン付近に残る。
ちなみに、うちのクラスは鈴木がジャンプボールを務める。先ほどの作戦会議で決まった。鈴木が一番背が高いし、運動神経もいいので満場一致で即決だった。
鈴木はうちのクラスの内野の方に向けて立つ。また、相手のクラス……ゼッケン4番の生徒もなかなか背が高い。ただ、鈴木の方が背が高いので、ジャンプボールが成功する可能性は高いだろう。
「それでは、試合開始!」
――ピーッ!
男性教師はホイッスルを鳴らすと、ボールを高く上げた。
鈴木と相手チームのゼッケン4番の生徒は勢い良くジャンプする。ジャンプボールを制するのは、
――バシンッ!
「道本!」
鈴木だった。鈴木はボールに触り、道本に向かって弾き飛ばした。
「オッケー! 鈴木!」
道本は大きな声で返事をすると、ボールに向かって走って行き、ボールをしっかりとキャッチ。
「いけっ!」
正面にいるゼッケン3番の生徒に向けて、道本は勢い良く投げた。
道本が投げたボールは、ゼッケン3番の生徒へかなりの速度で向かっていき、
――バシンッ!
「うおっ」
ゼッケン3番の生徒の右の太ももに当たった!
当たったボールはその場で落ちる。
――ピーッ!
「青ゼッケン3番、アウト!」
男性教師がそう言うと、うちのクラスの出場メンバーはもちろん、応援している人達も盛り上がる。
「やったな、道本!」
「作戦通りだぜ!」
「ああ、上手くいったな!」
俺と鈴木と道本でそう声を交わして右手でハイタッチする。
ゼッケンを身に付けたときに行なった作戦会議で、ジャンプボールを鈴木が担当することだけでなく、ジャンプボールが成功したら道本に向かって弾き飛ばすことも決めていたのだ。道本は鈴木と一緒にいることが多いし、陸上部の短距離エースだし、去年も鈴木と一緒にドッジボールに出ていたのもあって、これも満場一致での即決だった。
鈴木から道本という攻撃の流れを事前に決めていたからこそ、道本は素早く攻撃ができた。それもあって、いきなり相手をアウトにできたのだと思う。
作戦が成功したのもあり、道本は俺や鈴木以外の近くにいる生徒ともハイタッチを交わしていた。
「道本君さすがよ!」
「凄いね、道本君!」
「道本君も鈴木君も凄いです!」
「道本君ナイス! 幸先いいね! この調子で!」
海老名さん、愛実、あおい、佐藤先生も道本や鈴木にそんな称賛の言葉を掛けていた。
道本は彼女達の方を見て、爽やかな笑顔で「ああ!」と言って、右手を軽く挙げて答えた。いやぁ、かっこいいぜ。さすがは道本。
「この勢いに乗ろうぜ!」
鈴木がそう言い、2組の生徒達は「おう!」と返事した。
相手チームの内野に落ちたボールは、ジャンプボールを務めたゼッケン4番の生徒に拾われる。
ゼッケン4番の生徒はこちらを見てくる。さて、あの生徒は誰を狙ってくるか。いきなり仲間をアウトにした道本か。ジャンプボールで競り負けた鈴木か。それとも――。
「キスしてくれる可愛い恋人がいて、美人の幼馴染がいて、応援してくれる美人の女友達や先生がいて羨ましすぎるし憎たらしい! 俺は恋人どころか女友達さえいねえんだあっ!」
ゼッケン4番の生徒は俺をにらみつけ、そんなことを大声で言いながら俺に向かってボールを投げてきた! 私怨での俺狙いかよ!
全力でボールを投げたのか、俺に向かってくるボールはかなり速い。ただ、大声で叫んでくれたのもあって、俺は身構えることができ、
――ボンッ!
ボールをしっかりと受け止めることができた。
狙われたからには、こっちも狙ってやる。そう心に決めて、センターラインに向けて勢い良く走り、
「それっ!」
俺を狙ってきたゼッケン4番の生徒に向かって投げた。
俺が投げたボールはゼッケン4番の生徒に向かって勢い良く飛んでいき、
――バシンッ!
「うぁっ」
ゼッケン4番の生徒の左の膝元に当たった!
当たったボールは誰も取ることができずに、その場に落ちる。
――ピーッ!
「青ゼッケン4番、アウト!」
男性教師がそう言った瞬間、
「リョウ君やったねっ! 凄くかっこいいよっ!」
愛実の黄色い声が響き渡った。そちらの方を見ると、愛実はとても喜んだ様子で俺のことを見ている。嬉しいなぁ。あと、恋人の愛実にかっこいい姿を見せられて何よりだ。
「凉我君かっこいいですっ! キュンとなりました!」
「かっこいいわ! 麻丘君もやったわね!」
「いいね、凉我君!」
あおい、海老名さん、佐藤先生も称賛の言葉を掛けてくれる。そのことにも嬉しい気持ちになる。
「ありがとう!」
と言って、俺は愛実達に向けて右手でサムズアップした。
「やったな、麻丘!」
「麻丘も凄いぜ!」
道本や鈴木はそう言ってくれ、2人と右手でハイタッチした。また、俺の近くにいるクラスメイト達とも。
「連続で決まったな! この調子でいこう!」
鈴木がそう言うと、俺達2組のメンバーは「おう!」などと元気良く返事した。
相手の内野を見ると、ゼッケン8番の生徒がボールを拾い上げて、
「くそっ、こうなったら俺が倒してやる!」
そう叫んで、俺に向かってボールを投げてきた。
さっきのゼッケン4番の生徒が投げたボールとは違って、結構高めの位置でボールが向かってきている。しかも、速い。これはボールを取るよりも躱した方が良さそうか。そう考えて、ボールを躱そうとするが、
――バシンッ!
「あっ!」
ボールがかなり速いのもあり、躱そうと動き始めた瞬間に俺の左肩に当たってしまった。
俺の方に当たったボールは、当たった衝撃でふわりと浮かぶ。ただ、俺から離れた方向に飛んでいくので俺が取るのは難しそうだ。
「オレに任せろ、麻丘!」
ボールが飛んでいく方向に鈴木がいたので、鈴木はそう言って浮かんでいたボールをキャッチした。そのおかげで、ボールに当たった俺はアウトにならずに済んだ。
鈴木はセンターラインに向かって走って行き、
「おりゃあっ!」
俺を狙ったゼッケン8番の生徒に向かって投げる。
鈴木が投げたボールはこれまで両クラスの生徒達が投げたボールのどれよりも速く、
――バシンッ!!
「あぁっ……」
ゼッケン8番の生徒の腹部に命中した! その際、重い音がして。相当な衝撃だったのが窺える。さすがはやり投げの選手だ。
ゼッケン8番の生徒に当たったボールはその場に落ちた。
――ピーッ!
「青ゼッケン8番、アウト!」
男性教師がそう言うと、うちのクラスはかなり盛り上がる。3人連続でアウトにできたり、俺が当たったボールが鈴木がキャッチしたりしたからだろう。
「さすがだ、鈴木。あと、俺の当たったボールをキャッチしてくれてありがとう。おかげでアウトにならずに済んだ」
「オレの方に飛んできたからな! キャッチできて、相手をアウトにできて良かったぜ!」
「鈴木もアウトにできたな! さすがだ!」
「おう! オレも相手をアウトにできて嬉しいぜ!」
俺達3人はそう言葉を交わし、右手でハイタッチする。また、鈴木は近くにいるクラスメイト達にもハイタッチ。
「鈴木君もさすがよ!」
「やり投げ選手ですから、投げたボールの勢いが物凄かったですね! 凄いです!」
「鈴木君も凄いよ!」
「鈴木君もやるね!」
道本や俺がアウトにしたときと同じく、海老名さん、あおい、愛実、佐藤先生は鈴木に向けてそんな称賛の言葉を送った。
「おう! ありがとな!」
鈴木は愛実達に向けて満面の笑顔でお礼を言っていた。
「3人アウトにできたし、うちのクラスに流れが来てると思うぜ! みんな、頑張ろう!」
鈴木は持ち前のデカい声で、2組の生徒達を明るく鼓舞する。
俺や道本達は鈴木に対して「おう!」と返事した。相手の生徒をアウトにする度に鈴木が鼓舞してくれるから、うちのクラスの雰囲気が良くなっていくなぁ。
その後も、ドッジボールの試合が進んでいく。
序盤の勢いをそのままに道本、鈴木、俺を中心に相手チームの生徒をアウトにしていく。相手からの攻撃もあるけど、うちのクラスの生徒達は上手く躱せていることが多い。また、アウトになっても、鈴木中心に「ドンマイ!」「気にするな!」などと明るく声を掛けるので悪い雰囲気には一切ならない。
内野にいる生徒の人数の差が広がっていき、
――ピーッ!
「青ゼッケン1番、アウト! これにより、青ゼッケン……2年6組の内野は0人になったので、ここで試合終了!」
試合時間の7分が経つ前に相手チームの内野が全滅したので、うちのクラスの勝利となった!
去年は初戦敗退だったので、高校の球技大会での初勝利だ! 凄く嬉しいぞ!
「やったな、道本、麻丘!」
「ああ! 今年もまずは初戦突破だ!」
「やったな! 俺にとっては球技大会初勝利だ!」
鈴木や道本とはもちろん、他のクラスメイト達ともハイタッチを交わした。
男性教師の指示により、再びセンターラインに向かい合って並ぶ。
「1回戦の第2試合は2年2組の勝利!」
男性教師がうちのクラスの勝利を宣言し、うちのクラスを応援してくれる人達は「おめでとう!」「やった!」と盛り上がる。
コートを離れて、俺は道本や鈴木と一緒に愛実達のところへ向かった。そして、その流れで愛実達とハイタッチを交わした。
「初戦突破おめでとう! リョウ君かっこよかったよ! 道本君や鈴木君も活躍してたね!」
「おめでとうございます! 凉我君は本当にかっこよかったですね! 道本君と鈴木君も素晴らしい攻撃でしたね! この勢いでバスケも勝ちたいです!」
「初戦突破おめでとう! 3人とも大活躍だったわね!」
「見事な試合だったよ! 勝てたし、担任教師として嬉しいよ!」
愛実、あおい、海老名さん、佐藤先生は嬉しそうな笑顔で勝利を祝福してくれた。そのおかげで、勝利できた嬉しさが膨らむよ。
「ありがとうございます! 勝てて嬉しいです。俺にとっては球技大会初勝利でしたし。みなさんの応援のおかげでもあります」
「ありがとうございます! まずは1勝できて嬉しいです。あと、鈴木がジャンプボールを制したら俺に渡すっていう作戦が上手くいって良かったです」
「上手くいって良かったよな、道本! みんなあざっす! 今年も勝てて嬉しいっす!」
俺、道本、鈴木は愛実達に向けてお礼を言った。
また、俺は愛実の目の前に立つ。
「あと、勝利できたのは愛実の勝利のおまじないのおかげでもあるよ。俺も何人か相手をアウトにできたし。本当にありがとう」
「いえいえ。ボールを投げて、相手を何人もアウトにするリョウ君かっこよかったよ!」
愛実はニッコリとした笑顔でそう言ってくれる。その笑顔がとても可愛いからキュンとなって。愛実にかっこいいところを見せられて良かったよ。
「ありがとな、愛実」
俺は愛実にお礼のキスをした。
7分よりも短い時間だったけど、何度も全力で投げたし、相手からの攻撃を交わすことも何度もあって疲れがちょっとある。ただ、愛実とキスしたおかげで、その疲れが取れていく。
少しして、俺から唇を離した。目の前には頬を中心に赤くなった愛実の笑顔があった。
「おまじないのお礼のキスだよ」
「なるほどね。確かに受け取りました」
愛実は可愛い笑顔でそう言った。
「香川にかっこいいところを見せられて良かったな、麻丘」
「良かったな!」
道本は爽やかな笑顔で、鈴木は明るい笑顔でそう言ってくれる。そんな2人に俺は
「ああ。良かったよ」
と返事した。
「おまじないのキスも、今のお礼のキスも良かったねぇ。あと、今後の試合も、試合前には愛実ちゃんにおまじないのキスをしてもらうといいんじゃないかい?」
「それいいですね、樹理先生!」
「麻丘君、とても活躍してましたもんね」
佐藤先生の提案にあおいと海老名さんは賛同する。その直後に道本と鈴木も「それいいですね」と賛同。
「確かに、毎試合の前に愛実がおまじないのキスしてくれたら嬉しいな」
「分かった。いいよ。あと、私の方も毎回試合の前にはキスしてくれると嬉しいな」
「もちろんいいぞ」
「ありがとう」
愛実はニコッと笑ってお礼を言った。
その後、愛実から荷物を受け取って、水筒に入っている麦茶を飲んだ。一試合した後だから、いつも以上に麦茶が美味しく感じられる。
愛実という恋人の存在、道本や鈴木と一緒にプレーしたこと、あおいや海老名さんや佐藤先生などみんなが応援してくれたのもあり、球技大会での初勝利はとても嬉しい勝利になった。




