■75.トリビアの種子No.315 戦艦が沈むには、ミサイル■発が必要。(後)
(CM明け)
「検証開始 (ナレーション)」
「と、その前に」
「まずハープーンの威力をご覧ください」
◇◆◇
「こちらは戦艦とともに現れた、護衛の駆逐艦」
「戦艦に比べると結構小さいですね(高下)」
「これにハープーンを当ててみる」
「えーカメラスタンバイOKです(スタッフ)」
「はいOK、OK。お願いします(スタッフ)」
「発射!(スタッフ)」
「おおっ(3人)」
「うわっ思ったよりも速い!(高下)」
「そしてぇー目標へぇー……どーん!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「あら……ど真ん中からぱっくりいったね(イモリ)」
「真っ二つ!(高下)」
◇◆◇
「沈んだ(ナレーション)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「あらためて」
「検証開始」
◇◆◇
「さて誰しもが注目する世紀の一戦。ミサイルvs戦艦。実況は私、栗木愉志が、解説は元・自衛隊統合幕僚長の火野さんでお送りいたします(実況)」
「よろしくお願いいたします(火野)」
「いやーしかし先程、護衛の軍艦に発射しましたが一撃でしたね(実況)」
「命中した中央部に深刻なダメージが入り、前部と後部で切断されてしまった形でしたね(火野)」
「やはり戦艦もああなってしまうのでしょうか(実況)」
「戦艦の規模と装甲は、先程の艦とは比べ物になりませんから、あああっさりとはならないと思います(火野)」
「スタンバイOKです(スタッフ)」
「ではまずは1発目。目標は先頭、戦艦『勝利』。日本原子力防護システム警備の攻撃機が実施します(実況)」
「がんばれ! 1発で頼むぞ!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「発射!(パイロット)」【1カメ】
「発射!(パイロット)」【2カメ】
「発射!(パイロット)」【3カメ】
◇◆◇
「さあ、発射されたハープーン! 海面スレスレを翔け、真っ直ぐ戦艦『勝利』へ! そしてポップアップ――目標を確認して突っ込んでいく!(実況)」
「直撃ですね(火野)」
「戦艦の右側面、舷側に直撃! 直撃です!(実況)」
「え? 全然ビクともしてないじゃないですかこれ!?(高下)」
「さて、効果のほどは……(実況)」
「装甲が分厚い舷側水平線付近に命中したため、ほとんどダメージは入っていませんね(火野)」
「ハイスピードカメラで確認すると……なんということでしょう! ハープーンの側が砕けていくのがわかります!(実況)」
「全然効いてない!(高下)」
「これ絶対企画GO出したの後悔したでしょ!?(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「さて。続いてはロジスティクス郵船による2発目です(実況)」
「先程は舷側装甲帯に弾痕が残った程度。ここからの連続攻撃に期待ですね(火野)」
「スタンバイOKです(スタッフ)」
「発射!(パイロット)」
「さあ撃ち出されました第2射! 先程と同様のコースを辿り――いったァ! 直撃です!(実況)」
「今度は主砲塔側面ですね(火野)」
「ハイスピードカメラでご覧いただきましょう(実況)」
「うぉぉおおおおおん……ぬわぁぁあああああああ……ひでぶぅぅううううううう(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「砲塔側面に直撃したハープーンは同じく砕け散るも、爆風と火焔、そして破片が艦上を舐めていきます!(実況)」
「砲塔側面でも装甲はおそらく200mm以上あるでしょう。一撃で抜くのは困難です。しかし何名か水兵が吹き飛ばされていきましたね(火野)」
「この調子でどんどんいきましょう(実況)」
「いやどんどんいったらまずいんだって!(高下)」
「見てくださいよ、この中前さんの顔!(八島)」
◇◆◇
「……(スタジオでしかめ面のアシスタントプロデューサー中前)」
「予算的にヤバかった(小声のアシスタントプロデューサー中前)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「3発目のハープーンを吊り下げて現れたのは、三菱重工警備のF-4EJ改2010スーパーファントム!(実況)」
「メイドインジャパンが、異世界に挑む!(実況)」
「スタンバイOKです(スタッフ)」
「発射!(パイロット)」
「3発目も同様、ポップアップして突っ込んで――おおっ!?(実況)」
「甲板上に黒煙と炎が上がりましたね(火野)」
「ハイスピードカメラを見てみましょう!(実況)」
「たぁあああああああああ……まぁあああああああ……やぁああああああああ(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「ポップアップしたハープーンが浅い角度でぶつかっていったにもかかわらず、上甲板を貫いたようです(火野)」
「舷側と甲板では、甲板の方が薄いのでしょうか(実況)」
「詳細はわかりませんが、近距離の攻防戦を念頭においた設計の超弩級戦艦ですと、上方から砲弾が降ってくることが少ないため、舷側の装甲が厚くなる代わりに甲板の装甲は著しく薄くなります。おそらく上甲板に関しては、20mmか30mm程度しかないのではないでしょうか。また材質も劣ることがあります(火野)」
「成程、上面からの攻撃の方が有効になりそうですね(実況)」
「ただ今回はラッキーヒットでしょうね(火野)」
「へぇー(イモリ)」
「へぇーって、これもちょっとしたトリビアですよ!(高下)」
「ハハハハハハハ(SE)」
◇◆◇
「その後も検証チームによる攻撃は続いた(ナレーション)」
「ここからは早回しでご覧いただく」
「4発目」
「5発目」
「6発目」
「7発目」
「8発目」
「9発目」
「10発目」
「……(退屈で欠伸する火野のアップ)」
「ちょっと飽きてきてませんか!?(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「11発目」
「12発目」
「13発目」
「……(ウォーシップガンナー2を遊び始める火野のアップ)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「14発目」
「15発目」
「16発目」
(暗転)
◇◆◇
「いよいよ次で17発目になります(実況)」
「もうそろそろ飽きてきましたね(火野)」
「すでに戦艦『勝利』は満身創痍。前部艦橋の一部設備は吹き飛び、舷側装甲は大きくひしゃげております。上甲板から突入した4発のハープーンによる火災は、未だ続いております(実況)」
「はぁ~……(パイロット)」
「パイロットにも疲労がたまってきたか!?(実況)」
「いやーどちらかというと、まだやるのって感じでしょう!(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「すでに継戦能力は失われています。水兵達の死体が、あちこちにひっかかっていますね。私が指揮官ならもう攻撃の要なし、とみなすでしょう(火野)」
「しかし今回は沈めるまでやるのが……ぁああああああ!?(実況)」
「爆発です! ついに戦艦『勝利』、爆発いたしました!(実況)」
「火災が火薬庫にまで回ったのでしょうか(火野)」
「濛々と黒煙を噴き上げ……破片が海面へ降り注ぎます! 艦体前部が切断されて……(実況)」
「浸水が始まりましたね。もう17発目は必要ないでしょう(火野)」
「徐々に戦艦『勝利』、前のめりに沈んでいきます!(実況)」
「では次、戦艦『革命』ですが……はぁ……(火野)」
「まだやりますか(イモリ)」
「戦艦『革命』、実験区域から離脱していきます(スタッフ)」
「ええ!?(高下)」
「敵前逃亡じゃないですか!?(八島)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「実験を終了してください(スタッフ)」
◇◆◇
「こうしてこの世界にまた一つ新たなトリビアが生まれた(ナレーション)」
「んじゃっ♪んじゃっ♪んじゃっ♪んじゃっ♪(BGM)」
「戦艦が沈むには、ミサイル……」
「16発が必要」
「じゃからかぁ♪(BGM)」
◇◆◇
「無駄遣いだったねえ(イモリ)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「というか途中で解説の人、飽きてましたからね!(高下)」
「しかし戦艦の装甲ってのは、貫けないもんなんだねえ(イモリ)」
「今回の実験は日本政府関係各所の指導の下、安全対策を講じて行っています。みなさんは、絶対に! 真似しないでください!(八島)」
「いやあ……真似できないですけどね(イモリ)」
「ハハハハハハハ(SE)」
「それではこれよりイモリさんに、このトリビアの種子から生まれた新しいトリビアが、どれくらい素晴らしいものだったかを評価していただきます(八島)」
「それではイモリさんにお聞きします。このトリビアの種子、何分咲きでしょう(高下)」
「(レバーに手をかけ、引くイモリ)」
「(かつて朝鮮半島北部でマスゲームに参加されていた経験者の方々によるパネルめくり)」
「おおっ(八島)」
「ご覧ください! 満開です!(高下)」
「ありがとうございまぁーす!(八島)」
「(やったね!)(かつて朝鮮半島北部でマスゲームに参加されていた経験者の方々によるパネルめくり)」
「まあ、今回は。これだけやれば納得でしょう(イモリ)」
「異世界まで行きましたからね(八島)」
「ね(イモリ)」
◇◆◇
※今回の実験は、ミサイル16発で必ず主力戦艦が撃沈できることを保証するものではありません。ご了承ください。
感想への返信は、本日の夕方にいたします(いつもありがとうございます)。
次回、■76.まびこう、じんみんのもり! は2月10日(水)投稿予定です。




