表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でゲームのシステムで最強を目指す  作者: 霧野夜星


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/122

第八十五話 魔竜王ヴリトラ戦

「うむ。余裕が出てきたな」


 黄龍とティターニアの広範囲攻撃のおかげで、リーナ率いるメイル国騎士団は、順調に城門へ向かってくる魔族国軍のモンスターを倒していた。


「それにしても、何でヴリトラは攻撃してこないんだ?」

「わかりません。魔力が尽きたとは思えませんし」


 リーナとシャルロッテは、そう話しながら正面にいる動かないヴリトラを警戒している。


「ヴリトラと戦う時のためにMPを温存しておいたほうがいいか」


 城壁の上から爆発魔力手裏剣でモンスターを倒していた冬雅は、戦いに余裕が出てきたので、攻撃するのを止めて周囲の様子を見る。


「北側のモンスターは聖王国のテンプルナイト、南側はラヴァ帝国の竜騎士団が対応してるのか。リーナ師匠。敵が東側に回り込んできたら、どうするんですか?」

「あー、その時は、空を飛んで移動できる竜騎士団に行ってもらうしかないな。その話をしたわけじゃないが、ラッパー団長は優秀だから、言わなくても動いてくれるだろ」


 本来、東側の城壁の守備はメイル国の担当だったが、魔王対策のため、今、東側には少数のグライン王国の兵士しかいなかった。


「なるほど」

「よし、魔力チャージ完了したよ!」

「わしもそろそろブレスのクールタイムが終わるころじゃ」


 凛子とコロポックルは、攻撃準備が完了したことを皆に告げる。


「じゃあ、おじいちゃん。一緒に攻撃する?」

「うむ。やってみよう」

「あっ、佐々木さん。龍は召喚してると思わせたいから、ティターニアと一緒に攻撃するのはまずいかな」


 凛子の言葉を聞いて冬雅がそう話す。


「じゃあ、私は魔法にする?」

「それがいいかもしれないわね」

「わかった。じゃあ私はあのでかいドラゴンを攻撃していい?」


 サキに同意してもらった凛子が冬雅にそう聞くが、彼はリーナのほうを見る。


「そうだな。ヴリトラを倒さないと、この戦いは終わらない。攻撃を許可しよう」

「わかりました。佐々木さん。お願い」

「わかった! まかせて!」

「わしもあのドラゴンと周囲のモンスターを狙ってみるかの」

「よし! 全員聞け! これからヴリトラに攻撃を開始する! 奴がどんな反撃をしてくるかわからんから注意しろ!」

「はっ!」


 リーナのその言葉に、メイル国の騎士達はヴリトラの動きを警戒する。


「じゃあ、いくぞい! ドラゴンオーラ!」


 コロポックルの小さな体が赤いオーラに包まれ、すべての能力値が強化される。


「カイト君、お願いね」

「はい……ドラゴン! 召喚!」

「龍化じゃ!」


 カイトが再び召喚する真似をして、コロポックルがドラゴンオーラを発動したまま黄龍へと変化する。


「おお! またあの龍だ!」

「あの光るブレスが出るぞ!」

「いけー!」


 黄龍の勇ましい姿を見た騎士や兵士達が、興奮しながら騒いでいる。


「やっと来たか! 待ってたぞ!」


 沈黙していたヴリトラは、にやりと笑い、その後、大きく息を吸い始める。一方、城壁の上では凛子が賢者の杖を掲げ、黄龍は大きく息を吸う。


「ブフアアアアアアアア!」

「サンダーブレイズ!」


 黄龍が聖光のブレスを、凛子が雷系最上級魔法を同時に放つ。それに対してヴリトラも口を大きく開けて、紫色に輝く破壊のブレス黄龍を狙って吐き出す。


「ブフアアアアアアアアア!」


 ヴリトラが吐き出した破壊のブレスは、その名の通り触れた者を破壊してしまう凶悪なブレスだった。そのヴリトラのブレスと黄龍のブレスが空中で激突し、その衝撃で轟音と振動が広範囲に拡散する。


「ガアアアアアアアア!」

(お、押されているだと! ぐあああああ!)


 神々しく光り輝く聖光のブレスが、紫色に輝く破壊のブレスを飲み込み、さらにヴリトラとその周囲にいた多くのモンスターも飲み込んでいく。さらに凛子の放った魂をも感電させる特殊な雷もヴリトラに命中し、その全身を感電させて大ダメージを与ることに成功した。


「やった!」

「ヴリトラのブレスを押し切った!」

「周囲のモンスターも倒したぞ!」


 黄龍と凛子の攻撃を受けたヴリトラは、うなだれるようにその場で動かくなり、ヴリトラの周囲にいた多数のモンスターも地面に倒れていた。そして攻撃が終わった黄龍は、龍化を解いて元のコロポックルの姿に戻る。


「お……おのれ……最初の時は、手を抜いていたのか……」


 ヴリトラは黄龍の最初の聖光のブレスを見て、自分の破壊のブレスのほうが強いと確信していたが、今の聖光のブレスは最初のものより強くなっていて、さらに凛子の雷魔法も同時に受けたので、ヴリトラは予想外のダメージを受けていた。


「ヴリトラにあれほどのダメージを!」

「魔王も恐れることはない! これなら勝てる!」


 今の攻防を見ていた周囲の騎士や兵士達が沸き立ち、士気が上がる。


「ガアアアアアアア!」


 その時、うなだれいてたヴリトラの全身からまがまがしい紫色のオーラが放出され、ヴリトラが勢いよく立ち上がって咆哮を上げる。


「あれは……ドラゴンオーラか!」

「ドラゴンオーラ? それじゃあ……」

「奴は今までより強くなるのか!」


 冬雅やコロポックルのドラゴンオーラは赤色のオーラだが、ヴリトラは元はブラックドラゴンなので同じスキルでもその色は紫色だった。


「グオオアアアアアア!」


 ヴリトラは怒り狂った様子で、全身に紫色のオーラをまといながら背中の翼を羽ばたかせて、猛スピードで城門へ向かって突撃していく。


「来るぞ! 迎撃しろ!」

「撃て! 撃て!」


 迫ってくるヴリトラを狙って、城門付近の上にいたメイル国の騎士達やシャルロッテ達が弓や魔法で攻撃する。だがヴリトラは突撃を止めず、そのままの勢いで城門まで接近してくる。


「うわわわわわわわ!」

「逃げろ!」

「ガアアアアアア!」


 ヴリトラが頭突きで城門と城壁を破壊し、城壁が崩れてその上にいたメイル国の騎士達が、がれきと共に落下していく。


「うわわわわわ!」

「キャーーーー!」

「まずい!」


 危険を察知した冬雅は、とっさに近くにいたエミリとカイトを両脇に抱え、砦内に向かって崩れゆく城壁の上からジャンプする。そして二人を抱えたまま、西門前広場の地面に着地した。


「た、助かった」

「み、みんなは!?」


 冬雅は抱えていた二人を地面に降ろし、三人は破壊された城壁と城門のがれきの方を見る。するとオートバリアが発動し、落下ダメージから身を守っていた凛子がまず目に入る。


 オートバリア

 スキル所持者に物理的危険が迫った時

 自動的に物理攻撃を防ぐバリアを展開する

 消費MP 20


「はー、びっくりした」

「今のは、たまげたの」

「佐々木さん! よかった!」


 冬雅はまず凛子とコロポックルの無事を確認する。


「この!」


 その近くのがれきの下からサキが立ち上がって現れた。彼女はシールドバリアのスキルを使用し、落下ダメージや、がれきのダメージを無効化していたので無事だった。


 シールドバリア

 500ダメージ以下の攻撃を無効化するバリア

 500を超えるダメージを受けた時は

 バリアは破壊され、ダメージをそのまま受ける

 消費MP 25


「シャルロッテ!」

「ランスロットさん! よかった!」


 エミリとカイトは、がれきの中から二人が現れたのを見て安心する。そしてそのそばにいたリーナも立ち上がる。


「ヴ、ヴリトラは?」


 リーナは体のほこりを払いながら、城門と城壁を破壊したヴリトラの姿を探す。



 次回 人馬一体 に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ