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異世界でゲームのシステムで最強を目指す  作者: 霧野夜星


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第六十七話 急報

「これは?」


 冬雅が、リーナから受け取った銀色で四角い三つのバッジを見ながらそう質問する。


「騎士見習いが付けるバッジだ。本来はこの訓練場は関係者以外立ち入り禁止だからな。私の権限で、お前達を騎士見習いにすれば問題ない」

「なるほど。ありがとうございます」

「ああ、別にそれを持ってるからって、将来、騎士団に入る必要はないぞ。あくまでここで修行するための物だ。まあ、お前達が騎士団に入りたいなら歓迎するが」

「ええと、俺達には目的があって、いつかはここを離れなければならないので」

「そうなのか。それは残念だ」

「では俺達は帰ります。また明日の朝、来ます」

「おう。ああ、その重鉄の装備はお前にやろう。明日もそれで修行だ」

「えっ、いいんですか?」

「武器屋で安く売ってる訓練用の装備だ。大したものじゃない」

「それでもありがとうございます。じゃあ外していいですよね」

「ああ、好きにしろ」


 冬雅は重鉄の装備を外して軽くなった体に慣れた後、サキと凛子が修行してる場所に行って騎士見習いのバッジを渡して帰っていった。そしてサキと馬上模擬戦をしていたレイラが、リーナの所へやってくる。


「リーナ団長。あんな凄い子達、どこで見つけたんですか?」

「ん? まあ、色々と事情があってな」

「事情ですか。それにしても、あのサキって子は凄いですよ。模擬戦の最初は私の方が優勢だったのに、終わる頃には私ではとても勝てないくらい、馬上戦が上達してました。あれで魔力とスキルを使ったら、どれだけ強いのか」

「そうか。なら明日の模擬戦は、二対一でやってみるか」


 リーナは、冬雅達のために何ができるか色々考えている。一方、騎士団の詰所を出た冬雅達は、お昼ご飯を食べるため、辺境の町ベールの大通りを飲食店を探しながら歩いている。


「私、下級魔法連射の特訓をしてたんだけど、今日一日で魔法の威力がだいぶ強くなったよ」

「いやいや。そんな短期間の練習じゃ、強くならないでしょ」

「いやいや。絶対、強くなってるし」

「もしかして魔法が強くなるスキルを習得したのかもしれない」

「あー、ちょっと待って」


 冬雅に指摘され、凛子は立ち止まってステータスボードを確認する。


「あっ、加護! 破壊神シヴァの加護ってのが増えてる!」

「えっ?」

「ダメージ50%上昇だって!」

「破壊神! それは凄い!」

「神様の加護を一日で? ああ、私も一日だったか。それも女神像の掃除でだったわ」

「俺も今日の修行で何かスキルを……」

「あっ、私も確認しよ」


 冬雅とサキもステータスボードを確認するが、彼等は何も習得してなかった。


「何も増えてなかった。まあ、このまま修行を続ければ、何か覚えるかも」

「じゃあ、明日もがんばりましょ」


 冬雅達は次の日からギルドマスター達が帰ってくるまで、ベール騎士団の訓練場で修行を続ける。



 そして時は過ぎて四日後、銀の地下迷宮の入口からジーク達アイアン・スピリッツが捜索期間を終えて戻ってきた。それをギルドマスターと二人の職員が迎える。


「おつかれさん!」

「ギルマス! ギルマス達がいるってことは……」

「ああ。月下の華は無事、救出できた。彼女達は最下層にいたんだ」

「そうですか。それはよかった」

「アイアン・スピリッツも無事、戻ってきましたし、これでベールに帰れますね」


 冒険者ギルドとしての仕事が終わり、職員の男性が安心した様子でそう話す。


「はぁ、これから王都か」

「ギルマスは、これから王都に行くんですか?」

「そうだ。ヒュドラ変異種の件でな」

「ヒュドラ変異種!」


 事情を知らないアイアン・スピリッツのメンバー全員が、その言葉を聞いて驚く。


「では王都の軍に出動要請を?」

「いや、ヒュドラ変異種はひかりのつばさが倒した。その証拠の魔石を王都に提出しにいくんだ?」

「えっ?」


 ギルドマスターはジーク達に今回の件の詳細を話す。


「あの三人がヒュドラ変異種を……」

「ヒュドラの変異種なら、もうSランクに近いんじゃ……」

「俺達……何でベールの冒険者で一番Sランクに近いって言われてたんだろう」

「確かにね。今、考えると恥ずかしいわ」


 アイアン・スピリッツのメンバーの落ち込んだ表情を見て、ギルドマスターが励ます。


「あいつらはリーナ騎士団長の弟子だし特別だ。あんまり比較しないほうがいい」

「そうですね。俺達は俺達でできることをコツコツとやっていきます」

「さあ、ベールへ帰るぞ。お前達も疲れてるだろ」

「はい。では帰りましょう」


 ギルドマスター達とアイアン・スピリッツは、来た時と同じように馬に乗って、銀の地下迷宮から辺境の町ベールに帰っていった。



 場面は辺境の町ベールの騎士団の詰所の裏の訓練場に変わる。


「はっ!」

「ちっ!」


 冬雅とリーナは、今日も木剣を使って実戦形式の剣の修行をしている。


「ここだ!」


 冬雅は木剣を振るいリーナに斬りかかる。それを彼女は木剣で受け止めようとするが、冬雅の鋭い斬撃を受けてその木剣が真っ二つになった。


「うわっ!」


 リーナは紙一重で自分に迫ってきた冬雅の斬撃を回避する。


「だ、大丈夫ですか?」

「あ、ああ。私の反射神経も捨てたもんじゃないだろ。それにしてもこれは……木剣で木剣を斬ったのか?」

「何度も衝撃を受けたから、もろくなってたんじゃないですか?」

「いや、よく見ろ」


 冬雅とリーナは、彼女の切れた木剣の切り口を見る。


「これは鋭利な刃物で斬ったような跡だろ」

「確かに、折れたようには見えませんね」

「だからお前の木剣で私の木剣を斬ったんだよ」

「あっ、ちょっと待ってください」


 冬雅はステータスボードを表示してスキル欄を確認する。


「そうか。何か新しいスキルを習得したのか」

「そうみたいです。ええと……」

「ん? どうした?」

(リーナさんには言ってもいいかな)

「覚えたのは戦神スサノオの加護でした」

「戦神?! 神の加護か!」

「はい」


 冬雅はこれまでのリーナとの剣の修行で、戦神スサノオの加護を習得した。彼はその加護の詳細を確認する。


 戦神スサノオの加護

 斬撃属性攻撃の威力が60%上昇


「60%も! あ、いや、斬撃強化が消えてる。斬撃強化は30%だったから、実質30%アップか」


 冬雅が侍に転職した時に習得した斬撃強化は、戦神スサノオの加護に上書きされて、なくなっていた。


「まさか神の加護を習得するとはな。やはりお前達は特別な存在のようだ」

「えっ、ええと……」

「ははは。心配するな。何か事情があるんだろ。これ以上は詮索はしないでおこう」

「リーナ師匠! ありがとうございます!」

「リーナ団長!」


 冬雅とリーナがいる場所に、騎士団の男性が慌てた様子で走ってくる。


「どうした?」

「た、大変です! 王都から長距離通信が入りました! 魔族国軍がグライン王国に侵攻を開始したようです!」

「何っ!」

「魔族国軍が?!」



 次回 対魔族国軍 軍事同盟 に続く

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