表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でゲームのシステムで最強を目指す  作者: 霧野夜星


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/122

第六十三話 コロポックル転職

「わかりました。ではお預けします」

「うむ」


 ギルドマスターは、ヒュドラ変異種の魔石を自分の魔法のかばんに入れながら男性職員と話す。


「やっぱ、俺が王都に持って行かないと駄目だよな」

「それはそうですよ。ボス変異種案件ですから、ギルマスが責任を持って提出して来てください」

「しかたない。ついでに上手い酒でも買ってくるか」


 ヒュドラ変異種の魔石は、ギルドマスターがメイル国の王都へ行って国に提出するようだ。


「ギルマスがわざわざ王都まで行くんですか?」

「そうだ。それほどボスの変異種の出現は大事件なんだ。ほっとくと国が滅ぶかもしれないんだからな」

「Bランク以下のダンジョンのボスの変異種なら、Aランクパーティが倒せるから、ここまでの問題にはならないんだけどね」

「なるほど。ああ、これはお返しします」

「私も」


 冬雅と凛子は、毒無効の指輪を外してギルドマスターに渡す。


「おう。それじゃあ、本来のボス部屋に行くぞ。ボスを倒したから帰還の魔法陣が出現してるはずだ」


 冬雅達はこの広い部屋を出て、その先のセーフエリアを通り過ぎてボス部屋に入る。するとギルドマスターのいう通り、部屋の真ん中に地上へ瞬間転移できる魔法陣が出現していた。


「あっ、宝箱!」


 凛子はボス部屋の奥に宝箱があるのを見つける。


「あれはボス討伐の報酬の宝箱だな。トウガ達が開けていいぞ」

「はい」


 冬雅達はボス部屋の奥の宝箱を開けて、中のアイテムを冬雅が手に取りアイテムボックスに収納する。


 魔法王のネックレス×1

 金塊×2


「魔法王のネックレスだって」

「やった! じゃあ、私のね」


 魔法王のネックレスには美しい緑色の宝石がついていたので、凛子は嬉しそうにしている。


「どんな効果があるのかまだわからないから、調べてから装備した方がいいわよ」

「えー」

「呪いとか、かかってたら嫌でしょ」

「はぁ。しょうがないか」


 宝箱の中身を入手した冬雅達は、部屋の中央にある帰還の魔法陣のそばに戻ってくる。


「よし、じゃあ帰るぞ」

「はー、やっと外に出れる」

「もう変異種なんて、こりごりよ」


 ギルドマスター達と月下の華は帰還の魔法陣に入り、このボス部屋から地上へ転移していく。


「俺達も帰ろう」

「外に出たら、おじいちゃんの転職とか、装飾品合成とか、色々やらないといけないことがいっぱいね」

「私は早く帰ってお風呂に入りたい」


 冬雅達も帰還の魔法陣に入り、銀の地下迷宮の入口まで瞬間転移する。


「ふぅ、帰って来れた。やっぱ外は空気が違うわ」

「今回は急いでたから、いつもより疲れた」


 サキは地上へ戻ってきて喜んでいるが、凛子は疲れた様子だった。


「そうだ。借りてたやつを返さないと」


 冬雅はポケットに入れていた救難信号の魔道具を、入口にいる兵士に返却する。それを見てギルドマスターも救難信号の魔道具を兵士に返却し、それから冬雅に話しかける。


「よく覚えてたな。感心、感心」

「そういえば、ジークさんとか、ほかの人達には月下の華を救出したことをどうやって連絡するんですか?」

「連絡はできないぞ」

「えっ? じゃあ、どうするんですか?」

「だから一週間って期限を切ったんだ。あと四日くらいすれば、あいつらも捜索を終えて帰ってくるだろう」

「はー、それは面倒というか、残念というか」

「あれは駄目なんですか? ええと、長距離通話とか何とかの魔道具」


 サキがギルドマスターにそう質問する。


「長距離通信の魔道具な。あれはダンジョン内では使えないんだ。それに救難信号のやつより、さらに高価で貴重だからな。ギルドとか城とか重要な拠点でしか使われてないんだよ」

「そうなんですか」

「ああ、俺達がここでアイアン・スピリッツと不死鳥の火を待ってるから、お前達は帰っていいぞ。俺達がギルドに戻ったらAランクのギルドカードを渡すから、後でギルドに来てくれ」

「わかりました」


 その後、冬雅が影馬を召喚し、凛子がアンヴァルを召喚して、彼等は辺境の町ベールに帰るため走り出す。一方、救出された月下の華の四人は、地上へ戻ってきてすぐに兵舎の中に入って、持っていた食べ物を食べていた。彼女達は、今日まで持っていた食料を節約しながら食べていたので、お腹がすいていたようだ。

 そして冬雅達は十五分くらい街道を進んで、周りに人がいない場所に来る。


「ここならいいかな」

「おじいちゃんの転職でしょ」

「そう」


 冬雅達は馬から降りて、周りに人がいないことを確認する。


「とうとう転職じゃ。それでどうやるんじゃ?」

「ちょっと待って」


 冬雅は自分のステータスボードを表示して、仲間のコロポックルの職業欄をタッチする。


「新たに妖精の上級職が解放されました。コロポックルの職業を選んでください」


 と表示され、職業選択ウィンドウの妖精のとなりに、妖精王と龍王が追加されていた。


「り、龍王!」

「えっ?」

「りゅうおう?」

「そ、そう。コロじいは、妖精王か龍王になれるって!」

「ほえー。わしが、龍にのう」

「えー、龍になったら、もう私の肩に乗れなくなるよね」

「それどころか、一緒にいるのも大変になるでしょ」

「いや、ちょっと待って」


 冬雅は少し考える。


「たぶん転職しても、コロじいが龍になるわけじゃないよ。俺が忍者に転職した時も、見た目は何も変わってないし」

「あー、なるほど。変わるのは職業で、見た目は同じなのね」

「たぶん、習得するスキルが、龍のスキルなんじゃないかな」

「何だ、驚いて損しちゃった」

「だから、どっちを選んでも大丈夫だよ。で、妖精王と龍王。どっちがいい?」

「そうじゃのう……」


 コロポックルは少し考える。


「やはり龍王じゃろ! 何か強そうじゃし!」

「わかった」


 冬雅は転職ウィンドウの龍王の文字をタッチして選択する。すると職業欄の妖精が龍王に変わり、コロポックルの全身が一瞬だけ光った。


「おっ? おっ?」

「転職できた?」

「ちょっと待っておれ。すてーたす、おーぷん!」


 コロポックルは、自分のステータスボードを表示して職業欄を確認する。


「おお、龍王じゃ! 龍王になっておる!」


 コロポックルは無事、妖精から龍王に転職できた。


「おじいちゃん。スキルは?」

「ふむ。三つ増えとるの。ええと、龍化と飛行と聖光のブレスじゃ」

「りゅ、龍化!?」


 龍化

 巨大な龍の姿に変化できる

 すべての能力値が十倍になる

 任意に解除可能 三十分ごとにMP50を消費する 

 消費MP 100


 飛行

 龍形態の時、MPを消費せず空を飛べる


 聖光のブレス

 龍形態の時、光属性のブレスを吐くことができる

 クールタイム 五分

 消費MP 60


 コロポックルは、ステータスボードに表示されている新たに習得したスキルの効果を冬雅達に話した。


「凄い! 好きな時に龍になれるなんて最高じゃん!」

「それに十倍って!」

「まあ、元々の能力値が低いからの」

「あっ、空を飛べるなら、俺達もコロじいの背中に乗って空を飛べるかもしれない」

「それは……落っこちそうで怖いんだけど」

「あー、確かに。今は止めとくか」

「冬雅、冬雅。わし、龍化、試してみていい?」

「い、いや。巨大な龍なら、遠くからも見えるかもしれないから、この街道ではまずいよ。見つかって討伐依頼とか出されたら困るし」

「ふむ。なら、しょうがないの」

「じゃあ、そろそろベールに帰ろうか」

「ちょっと待って。その前に、私の新しいスキルも試してみたいんだけど」


 サキは姫騎士の新たなスキル、ウルスラグナ召喚を試したいようだ。


「召喚士じゃないのに、何で召喚を覚えたのか早く知りたいし」

「私も二つ新しい召喚を覚えたらから、サキの後に試そ」

「じゃあ、私から……ウルスラグナ召喚!」



 次回 召喚、召喚、召喚 に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ