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異世界でゲームのシステムで最強を目指す  作者: 霧野夜星


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第五十九話 達人の籠手

「は? 解体できないって、今までどうやって……」

「ああ、確かひかりのつばさは、モンスターの死骸をそのまま売りに来てましたね」


 男性職員は、冬雅達が大量のモンスターの死骸を、倉庫に並べていたのを見たことがあった。


「低ランクモンスターはアイテムボックスで運べたんですが、高ランクのモンスターは大型のが多くて、全部運べなくて困ってるんですよ」

「それだけ強いくせに解体できないって……まあいい。お前達、魔石を取ってきてやれ」

「しょうがないですね。ひかりのつばさに戦闘面で支援は必要なさそうなので、魔石取りで支援しましょう」

「Aランクモンスターと戦闘するより楽だと思いましょ」


 冒険者ギルドの職員の二人は、倒れている三体のキマイラから魔石を取り出し、クリーンを使って綺麗にしてから冬雅に渡す。


「ありがとうございます。では進みます」


 救助隊は再び進みだし、モンスターを倒しながら地下四階のセーフエリアに到着し、全員で休憩をとる。このダンジョンのセーフエリアも、部屋の中心に女神像があり、その周辺にいるとHPとMPが徐々に回復するようになっていた。


「上泉君。急にここに来ることになったから、色々、聞きたいことがあるんだけど」

「何?」

「まずここは地下何階まであるの?」

「ええと…」


 サキの質問に答えるため、冬雅はアイテムボックスから銀の地下迷宮の地図を取り出して確認する。


「地下二十階だって」

「じゃあ、まだまだね。それでここってAランクダンジョンでしょ。じゃあ、ここのボスはSランクモンスター?」

「ちょっと待って」


 冬雅は今度はアイテムボックスから「メイル国 冒険者マップ」と「モンスター図鑑」を取り出して調べる。


「ここのボスはヒュドラで、Aランクモンスターだって。ヒュドラはAランクでも上位の強さらしい」

「ヒュドラっ大きな蛇の奴?」

「そう。首がいっぱいあって、毒を持ってる蛇のモンスター」

「ああ、毒なら私が毒無効の指輪を装備してるよ」

「おいおい。今回はボスを倒す必要はないぞ」


 冬雅とサキの会話が聞こえてきたギルドマスターが、二人に近寄り話しかける。


「月下の華を救出したら、すぐに地上へ戻るからな。彼女達がボス部屋にいるなら話は別だが、その可能性は低いだろう」


 ギルドマスターは、月下の華がボス部屋にいて救難信号を送ったのなら、もう間に合わないだろうと考えていた。


「なるほど。ではひとつ聞きたいんですが、救難信号の魔道具なんて便利な物があるなら、ほかのダンジョンでも使えばいいんじゃないですか?」

「ああ、できるならそうしたいところだが、そいつは貴重で高価な魔道具なんだ。だから冒険者全員に渡すのは無理だ。もしダンジョンを出て、そいつを国に返さなかったら、窃盗の罪に問われることになるからな」

「そうなんですか。気を付けます」

「お前達、そんなことも知らないとは、ほんとに冒険者になりたてなんだな。それで、どうやってそれだけの強さを……いや、冒険者に過去を聞くのはマナー違反だったか」


 ギルドマスターはそう言って冬雅達から離れて、職員の二人がいる場所に戻っていく。


「ねえ、上泉。お菓子、もっとない?」

「あるけど、一週間くらい、ここにいることになるかもしれないから、最初にいっぱい食べると、後で何もなくなるよ」

「うえー。じゃあ、やめとくか」

「ああ、そうだ。二人に言っておくことがあった」


 そう言って冬雅は小声で話す。


「デュラハンの討伐報酬をもらえたんだけど、これを選んだんだ」


 そう言って冬雅はアイテムボックスから達人の籠手を取り出す。


「これって手に装備するやつ?」

「そう。というか、軽っ!」


 冬雅は達人の籠手を持ってみて、その軽さに驚く。


「たぶん軽量化の魔法が付与されてるな。ああ、それで二人と離れてたから、どれを選ぶか、相談できなかったんだよ」

「ああ、上泉君のあのスキルがばれないようにか」

「そう。それで俺一人の判断でこれを選んだんだ」

「別にいいよ。そんなこと気にしなくて」

「そうそう。次は私の欲しいものにしてくれれば」

「わかった」

「ああ、次、宝石があったら私のね」

「凛子は相変わらずね。それで、それはどんな装備なの?」

「装備してみるよ」


 冬雅は左手に達人の籠手を装備してステータスボードを表示する。だが彼の装備欄には達人の籠手が表示されてなかった。


「ああ、装飾品扱いなのか」


 冬雅は睡眠無効の指輪を外して、もう一度ステータスボードを見る。


 達人の籠手 防+15 会心率+10%


「防御力が15、それと会心率が10%上がるみたい」

「会心率って?」

「物理攻撃する時、クリーンヒットすると与えるダメージが増えるんだけど、それの発動確率のことだよ」

「へー、物理攻撃なら、上泉かサキが使ったら?」

「それは上泉君が使っていいよ。私は最初から光の鎧に籠手がついてるし」

「わかった」


 冬雅は達人の籠手を装備した左手を軽く振ってみる。するとまったく重さを感じず、さらに違和感もなかった。


「これは軽いから攻撃の邪魔にならないな」

「よーし、そろそろ出発するぞ。今度はアイアン・スピリッツが先頭で頼む」

「了解です」


 地下四階のセーフエリアからは、またジーク達が先頭で進み、次の地下七階のセーフエリアに向かって最短距離で進んでいく。その途中、上半身が鷲、下半身が獅子の姿で、背中に二枚の翼を持つグリフォンや、アイアンゴーレムの上位種で、体の所々が銀でできているシルバーゴーレムなどのAランクモンスターが出現したが、彼等は難なく倒し、さらに途中で冬雅達が先頭を変わって順調に進んでいく。そして地下七階のセーフエリアまで到着した。


「今日はここまでだな。ここで一泊する」


 救助隊は地下七階のセーフエリアでテントを張って今日の救助活動を終える。そして食事の後、時間が進んで就寝時間になり、テントの中でサキと凛子が、寝る前に寝袋に入りながら話している。


「私、人前では召喚魔法、使わないほうがいいよね」

「そうね。攻撃魔法と召喚魔法が使えるってわかったら、転職できることがバレるからね。馬の召喚なら大丈夫みたいだけど」


 ジークやギルドマスターも、スキルブックで習得した馬を召喚していた。


「やっぱそうだよね。はぁ、ティターニア召喚をまだ試してないし、これから新しい召喚を覚えても使えないのか」

「まあ、魔法だけでもいけるでしょ」

「まあいいや。もう寝よ。明日も朝から進むんだろうし」

「そうね。じゃ、おやすみ」


 救助隊は地下七階のセーフエリアにで一泊し、次の日になり、救助隊はさらに戦いながら最短ルートで進み、地下十階のセーフエリアに到着し、さらに休憩を終える。


「ここからはアイアン・スピリッツは別行動だ。この階から隅々まで探索しながら地下へ進んでくれ」

「わかりました」

「俺達は最短ルートで地下十三階のセーフエリアを目指す」

「はい」


 アイアン・スピリッツは地下十階から捜索を始め、冬雅達は最短ルートで地下十三階のセーフエリアを目指して進んでいく。その途中、通常のデュラハンや、強力な武器と盾と鎧を装備した骸骨のモンスター、スケルトンジェネラルなどが出現したが、冬雅達は難なく倒し、地下十三階のセーフエリアに到着した。

 普通のAランクの冒険者パーティならここまでくるのに何日かかかるのだが、最短ルートで進んでいるのと、冬雅達の強さのおかげて二日目でここまで来れていた。さらにここに到着する途中、冬雅、サキ、凛子はレベル40、コロポックルはレベル29になり、凛子は新しい召喚を習得していた。


 アールマティ召喚

 天使アールマティを召喚する

 消費MP 40


 そしてセーフエリアで休憩の後、


「よし、次は地下十六階のセーフエリアを目指すぞ」

「月下の華の人達は、セーフエリア以外にいる可能性はないんですか?」

「それはわからん。セーフエリア以外でもモンスターがいない場所はあるし、地上へ脱出中に迷ってさまよってるかもしれん。まあ、セーフエリアにいる可能性が高いのは確かだ」

「セーフエリアにいるのなら、一週間くらいなら生き延びられると思うわ。彼女達の中にアイテムボックス持ちがいるし、クリエイトウォーターが使える娘もいるし」



 次回 ヒュドラ に続く

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