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ミクシードワールド ~神の作業帳~  作者: 早秋
第三章 全体イベント
40/74

(2)倉庫整理

昨日の話のイリスのスキル描写でミスがありました。

訂正してありますので、ご確認願います。

 新しく覚えた錬金術スキルを育てるために錬金術を使い始めたのだが、初期スキルの割には今までのスキルに比べて成長が遅い。

 理由は簡単なことで、パティの店に卸すための商品を作るために、錬金術スキルを育てるための時間が限られてしまっているためだ。

 現在では、回復薬などの調合系の製品に加えて、装備のエンチャントまで行っている。

 今はまだそれらに加えて錬金術を鍛えることが出来ているが、他にも生産スキルを覚えると非常に厳しい状況になってしまうだろう。

 作成師の職業スキルである短縮作成は、通常作成時よりもスキルの伸びが遅いという弱点がある。

 ハジメの感覚では、回復薬一つ作る場合で比較すると、通常作成と短縮作成では調合スキルの伸びが十分の一にも満たない感じなのだ。

 勿論時間が大幅に短縮されるという大きなメリットがあるので、回復薬などの定番商品を作るときには有難く利用しているのだが。

 というよりも、短縮作成を使わないと新しいスキルを伸ばすための時間が無くなってしまう。

 作れる物が多くなってくると時間配分が難しくなるのは、嬉しい悲鳴と言った所だろう。

 

 そんな中で錬金術を試しているわけだが、特に目新しいことはない。

 この世界において、錬金術のメインで作れる物は合金のような物になる。

 現在のハジメの力量で作れるような物は、既に錬金術をメインにしているプレイヤーが商品化しているのだ。

 錬金術で作れる物は、そのほとんどが他の生産職で使われる素材になるので、基本的には独自ルートを持っている物が多いのだ。

 戦闘職メインで、生産スキルを持っている者も当然いるが、そうした者達が使う分はさほど多くない上に既にそうした店舗もでている。

 そうした理由からハジメが作った物を他のプレイヤーに売るといったこともほとんど無いのである。

 結果として錬金術で作った物は、クエストで消化するか倉庫の肥やしになっているのが現状なのだ。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「ハジメ」

 作業に一区切りつけて休んでいると、エイヤが話しかけて来た。

「どうした?」

「倉庫にある素材は、使っていいの?」

「素材? どれだ?」

「金属類の素材とか」

 ハジメが錬金術で作っている金属類の素材は、倉庫の中で一抱えになるほど溜まってきている。

 勿論同じ物だけではなく複数種類ある。

「構わんが、どうするんだ?」

「時間が空いているときに、精霊魔具作成でも試してみようかと思って」

「ああ。そうか」

 バネッサには精霊魔具作成のスキルがある。

 そもそも四人目をダークエルフにしたのは、生産してもらう事を期待しての事だ。

 エイヤも、今までは攻略で役に立つ料理を優先していたが、折角覚えた精霊魔具作成に手を付けたいと考えたようだ。

「そうだな。このままだと分かりづらいから、倉庫の整理でもしようか」

 倉庫は既にハジメだけが使っているわけではなく、イリスの農産物から攻略で取得したアイテムまで置かれている。

 今までも一応ある程度の分別して置いていたのだが、生産スキル持ちが三人もいるとどれが使って良い物かも分からなくなってくる。

 そうした整理をした方が良いだろう。

 何となく思いついたことだったが、全員に確認を取った上で倉庫の整理をすることになった。

 

 数時間後。

 あらかたの整理が終わった。

「・・・・・・こうして整理してみると、意外と余計な物が多かったんだな」

「そうですね」

 ハジメの言葉に、イリスが頷いている。

 現在ハジメたちの前には、不必要として判断された物が山積みになっていた。

 流石にイリスが作っている農産物があるわけではない。

 主にハジメが練習用に作っている物と、何れ使うだろうと取っておいた素材が山となっているのだ。

 今すぐ使える物は省いてある。

 それでもかなりの量の素材及びアイテムがいらない物と判断された。

「問題はこれらをどうするか、だが・・・・・・」

 はっきり言えば、余り物なのでパティの店で扱いには物足りないという物も多々ある。

「いっその事、パティに見てもらったらどう?」

「そうだな・・・・・・。結局、それが一番早いか」

 パティには手間を掛けさせてしまうが、いくらか大目に商品を卸せば喜んできてくれるだろう。

 特にイリスの野菜辺りが喜ばれる。

 そっとイリスに視線を向けると、ハジメの意図を理解したのかすぐに頷いた。

「用意しておきます」

「すまんな」

「いいえ。大丈夫です」

 実際、普段は多少畑に余裕を持たせて栽培しているので、突発的に生産物を増やすことが問題ないのだ。

 こうしてハジメはイリス特製の野菜を持って、パティの元へと向かうのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「で、これがそうなん?」

「そうだな」

 現在ハジメの拠点にはパティが来ていた。

 商品になるかどうかも分からない物を店で見てもらうより、直接来てもらった方が良いと考えたのだ。

 何より物が多いので、パティの店で全てを出すわけにもいかない。

 だったらいっその事、拠点まで足を伸ばしてもらった方が良いと考えたのだ。

 このために特別の場所を用意・・・・・・したわけではなく、採掘メンバーを受け入れるときに受付として使っている場所に来てもらっている。

 広さ的にも位置的にも丁度良かったのだ。

 

「確かに商品としては微妙な物が多いなあ」

「そうだろ?」

 ハジメ的にも大した期待はしていなかったので、パティの回答で落ち込むことは無かった。

 むしろ当たり前だと思っている。

「勘違いせんといてな? 価値がないわけではないで?」

「どういうことだ?」

「これだけの数があれば欲しい人は出るやろうけど、店に出すにはスペース的に数が多すぎるねん」

「ああ、そういう事か」

 例えば、目の前で山積みになっている加工練習用に作った水晶は、単品では売りにくく纏めて店頭で売るには数が多すぎるという事だ。

 欲しがる人が全くいないというわけではない。

「もっと言うと、うちでは価値の分からんもんも混ざっとるからな。専門家に見てもらった方がええで?」

「その専門家とやらが分からんのだが?」

「そうやなあ。それじゃあ、いつものように手配しよか?」

 いつものようにというのは、第三エリアに採掘チームを呼んでいる事だ。

「そうだな。頼む」

「任せとき」

 ハジメとしても、これらの山が処分できるのであればどんな形でも構わないので、即答するのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「こりゃまた、溜め込んだもんだのう」

「そうねえ」

 パティが呼んだのは、いつもの採掘メンバーだった。

 当然ながらベンノやリブシェもいた。

「なんだ。インゴットまであるのか?」

「ああ、それは錬金術の訓練で作ったやつだな」

「錬金にまで手を出しているのか」

 鉄鉱石から鉄を抽出するのは、錬金術の基本中の基本だ。

 鉱脈に関しては、ノームたちに聞くと教えてくれたので有難く採掘させてもらっている。

 ノームたちのエリアには、採掘メンバーを呼び込んでいないので鉱脈が枯渇する心配もない。

 

「各種水晶もまたずいぶんと溜め込んだな?」

 だいぶ前になるが、リブシェに各種水晶を渡してからまたかなりの数が溜まっていた。

 しかも今回はそこそこの品質(D-程度)の物だ。

「エンチャントのレベルを上げるには、それを作るのが一番手っ取り早いからな。それに、その辺の品質の物はかなり出回ってきているだろう?」

 ハジメがわざわざ出さなくとも、他の生産プレイヤーが大量に売りに出しているのだ。

 正確に言えば、その程度の品質であれば、多くのプレイヤーが店売りしているため市場に大量に出回っているという事だ。

 そんな状態でハジメが持っている大量の物を売りに出せば、価格が暴落してしまう可能性がある。

 それは別に各種水晶だけに限らず、ベンノの見ていた鉄インゴットも同様だ。

 鍛冶師をメインに据えているプレイヤーの多くが初期エリアに鉄の鉱脈を含むエリアなのだ。

 今更ハジメが鉄のインゴットを売りさばけるようなルートなどあるはずもない。

 ハジメが作っているインゴットは鉄以外にもあるが、どれも似たり寄ったりの物なのである。

 

「儂はインゴットを貰って行くぞ?」

「あたしは水晶を持って行くわ」

 ベンノやリブシェに限らず、ここに来たメンバーは何かしらの物を手にしていた。

 ハジメとしても倉庫の肥やしになっているよりも、他のプレイヤーの役に立ってくれるのであればいう事はない。

 本来であれば、いらない者なのでタダで押し付けてもいいのだが、そう言うわけにもいかない。

 一人一人と交渉してハジメが興味を引くものを提示できた者は、物々交換となった。

 残念ながらそう言った物が無かった場合は、パティがしっかりと査定をして金銭でのやり取りになる。

 

「ん? これは何だ?」

 在庫の山をチェックしていたベンノがふとある物を取り上げてそう呟いた。

 その手に持っている物は、何かのインゴットに見える。

 ハジメも近寄って見るが、普通の鉄のインゴットだった。

「なんだ。鉄のインゴットじゃないか・・・・・・? おや?」

 ベンノが持っているインゴットをきちんと鑑定すると別の名前になっている。

 

 <鉄のインゴット(精霊)>

 

 通常は(精霊)はつかないのだが、そのインゴットにはその表示がついていた。

「なんでここにあるんだ?」

 (精霊)付いているインゴットは、エイヤが精霊魔具作成で作った物だ。

 どうやら分別する際に、間違えて処分側に入れてしまったらしい。

「まあ、いいか。それは、精霊魔具作成で作ったインゴットだな」

 混ざってしまったものはしょうがない。

 鉄はまだまだあるので、エイヤには新しく作ってもらうしかない。

 そもそも鉄のインゴットは、さほど苦労せずに作っていたので恐らく大丈夫だろう。

「ほう。これがそうなのか」

 ハジメの答えを聞いて、ベンノが納得したように頷いている。

 精霊魔具作成のスキル自体はさほど珍しいものではない。

 エルフかダークエルフで器用値が高ければ(?)スキルとして選べるようになる。

 だが、その二種族をサポートキャラに選択する場合は、大体が魔法職にしている。

 メインスキルとして精霊魔具作成を選ぶことがないために、インゴットの状態ではほとんど商品として出回らないのだ。

 端的に言うと、精霊魔具作成のスキルと取っている者が、自分で使う分だけ作って利用しているだけなのだ。

 実際、ハジメもこの処分品に紛れ込んでいなければ、表に出すことは無かっただろう。

 勿論、器用値が高いダークエルフで精霊魔具作成をメインスキルにしているプレイヤーもいるが、全体の数からすれば圧倒的に少ないので希少価値が高いのである。

 何よりインゴットで売るよりも製品にしてしまって売った方が、儲けが出るのだからそれも当然だろう。

 結局は、需要と供給のバランスの問題なのだ。

 

「貰ってもいいのか?」

「構わないが、それだけで足りるのか?」

 思った以上のベンノの食いつきに、ハジメは目を瞬いた。

「研究用だからな。スキル持ちでない者が加工をした場合どうなるかを知りたい」

「ああ。そういう事か。持って行っても構わないぞ」

 ハジメもベンノがやりたいことを理解して、譲ることを同意した。

 別にハジメもエイヤも出し惜しみしているわけではない。

 エイヤ自身の腕もまださほど高いわけではないので、商品として表に出ていないだけだ。

 加えて先ほどの事情で、インゴットなどの素材も商品とするつもりはない。

 今のところは、エイヤも討伐の片手間で作っているだけなので、商品化できるほどの量を用意できないのだ。

「ありがたい!」

 ベンノはホクホク顔でそのインゴットを確保した。

 

「ということは、これもいいのかな?」

 次に確認してきたのは、リブシェだ。

 手には水晶を一つ持っている。

 鑑定で確認すると<精霊水晶>となっていた。

 ハジメが加工した水晶に、エイヤが精霊の力を加えた物だ。

 これも一般的な精霊魔具の材料として知られている。

「・・・・・・ああ、構わないぞ」

 誰が紛れ込ませたのか分からないが、元々出す予定の無かった物がちょくちょく混じっている。

 とはいえ、それらの物が外部に出して拙いというものではないので、さっさと許可を出すことにした。

 外部に出して拙い物というのは、危険物とかそう言う物ではなく、加工途中というような物だ。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 何だかんだで、処分品とした出した物のほとんどが捌けてしまった。

 残った物は本当の意味でのごみに近い物だったので、ハジメも当然だと納得している。

 何故そんな物を出していたのかというと、もしかしたら欲しがる者が出るかもしれないと思っての事だ。

 それらの処分方法をどうしようかと頭を悩ませつつ、思った以上に利益になった今回の取引に、ハジメもホクホク顔になるのであった。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:上級作成師ハイクリエイターLV20(2up)

 体力 :3219(+100)

 魔力 :5231(+165)

 力  :269(+18)

 素早さ:337(+20)

 器用 :685(+40)

 知力 :430(+27)

 精神力:575(+33)

 運  :20

 スキル:調合LV15(1up)、魔力付与LV15(1up)、鑑定LV13(1up)、俊敏LV8、短剣術LV7、風魔法LV7、地魔法LV6(1up)、水魔法LV5、火魔法LV6(1up)、収納LV12、宝石加工LV10、装飾作成LV8、光魔法LV7、闇魔法LV7、錬金術LV4(New!→3up)、空き×3(2up)

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:狼LV32(1up)

 体力 :5656(+100)

 魔力 :1897(+51)

 力  :474(+22)

 素早さ:265(+11)

 器用 :126(+5)

 知力 :135(+6)

 精神力:158(+7)

 運  :10

 スキル:牙撃LV9(1up)、威圧LV12、俊敏LV12(1up)、気配察知LV11(1up)、収納LV10、火魔法LV9(1up)、魔力操作LV10、報酬LV10(1up)、体当たりLV9(1up)、水魔法LV8(1up)、空き×2

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(一人前)LV31(1up)

 体力 :4156(+82)

 魔力 :2279(+50)

 力  :253(+11)

 素早さ:105(+7)

 器用 :275(+15)

 知力 :147(+7)

 精神力:200(+12)

 運  :10

 スキル:栽培LV15(1up)、料理LV11、棍棒術LV7、怪力LV11、採取LV13(1up)、成長促進LV12(1up)、水魔法LV10、採掘LV8、地魔法LV9、収納LV10(1up)、収穫LV8(1up)、空き×3

 職業スキル:種子作成

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦士LV29(1up)

 体力 :3605(+102)

 魔力 :1735(+30)

 力  :258(+16)

 素早さ:160(+10)

 器用 :125(+9)

 知力 :149(+10)

 精神力:84(+6)

 運  :10

 スキル:剣術LV14(1up)、槍術LV8、弓術LV9(1up)、体術LV12、火魔法LV8(1up)、風魔法LV7、魔力操作LV8、収納LV9(1up)、解体LV5(1up)、鷹の眼LV6(2up)、空き×1

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔法使いLV19(2up)

 体力 :528(+42)

 魔力 :1913(+161)

 力  :96(+11)

 素早さ:115(+6)

 器用 :159(+17)

 知力 :209(+21)

 精神力:139(+14)

 運  :10

 スキル:火魔法LV11(1up)、風魔法LV11(1up)、精霊術LV12(1up)、魔力操作LV11(1up)、料理LV5(1up)、精霊魔具作成LV3(1up)、空き×2

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