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(6)スキル追加と訓練所

※次回更新は、1/12の21時です。

 この世界において、スキルのレベルを上げる方法はただ一つ。

 そのスキルに関連する行動をすることだ。

 例えば、剣術スキルを持っている者がモンスターを剣を使って討伐した時は当然のこと、単純に拠点内で剣の素振りをしているだけでも上げることが出来る。

 勿論、実践でモンスターを討伐した時と、素振りではレベルの上がり方が違って来る。

 単純な比較は難しいが、あるモンスターを十回剣を振って倒した時と素振りを百回行った時では、モンスターを討伐したほうが上がりやすいといわれている。

 経験値などが見えているわけではないので、実際にそうなのかは分かっていないのだが、戦闘職の間ではそう認識されていた。

 では、生産職の場合はどうなのか。

 生産職が物を生産するときは、生産スキルを使って行う。

 当然物を作っているときに、あるいはそれに類する行動をしたときに経験が貯まっていくと言われている。

 生産スキルに関してはそれだけで説明がつくのだが、よく問題にされているのが魔法スキルだ。

 ここで言う魔法スキルと言うのは、生産活動で使う魔法の事だ。

 生産物は、高位の物あるいは品質が高くなるほど、魔法そのものだったり属性だけをエンチャントして作成することがほとんどになる。

 そこで問題になるのが、生産職における魔法スキルの効率のいい上げ方だ。

 戦闘で魔法スキルを使った方がいいのか、あるいは生産を行う事で上げる方がいいのか、意見が二分されている。

 単純にレベルを上げるだけなら戦闘を行った方がいい。

 問題は、同じ職業で同じスキルレベルにしても同等の製品が作れないという事があるのだ。

 例えば、職業が料理人LV10で料理スキルがLV5だとする。

 ある料理に火魔法を使う必要がある場合に、全く同じ手順・レシピで料理をしても品質に差が出たり、極端な例だと作れなかったりする。

 この現象を説明するために、プレイヤースキルが存在しているのではないかという話もある。

 要はレベルが作成条件に達成していても、指定の物を作るための技術レベルが必要なのではないか、という事だ。

 そんな物はない、と言う意見もあるのだが、現在のところ生産職の間では「ある」という意見が優勢になっている。

 プレイヤースキルの存在を認めれば、同じ手順・同じ材料で生産を行っても出来る品質が違って来ることも説明が出来るからだ。

 実はプレイヤースキルに関しては、生産職だけではなく戦闘職もあるのではないのか、と言われているが確認はされていない。

 同じ剣術でプレイヤーによって、当然だが太刀筋が変わったりするので、それがプレイヤースキルだという話もある。

 結局のところ、プレイヤースキルに関しては画面だったり鑑定で確認することが出来ないので、結論を出すことは出来ないのだ。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 ハジメはプレイヤースキルが存在していると考えている派だ。

 そのために、結界石を作るために必要な光魔法と闇魔法は、アイテム作成でレベルを上げようとしていた。

 といっても今のハジメは、どちらもエンチャントすることでしか使う機会がない。

 結果として光魔法のエンチャントをして作る白水晶と闇魔法をエンチャントして作る黒水晶が量産されていた。

 今でも第三エリアの坑道に採掘組が掘りに来ているので、水晶に困ることは無いのだが。

 量産しているおかげで、白水晶と黒水晶の品質は「D+」まで作れるようになっていた。

 ちなみに職業スキルの短縮作成は使っていない。

 一つ一つ作業を行う事がプレイヤースキルに関係するならば、短縮作成では上がらない可能性があるからだ。

 ただ、これに関しては疑問もある。

 回復薬を短縮作成しているときには、しっかりと調合スキルが上がっているのだ。

 他に短縮作成を持っているプレイヤーがいれば検証も出来るのだろうが、今のところそんな話は聞いたことがない。

 ハジメと同様に黙っているだけの可能性もあるのだが。

 それはともかくとして、検証が出来ない以上、短縮作成は使わずに作成することにしていた。

 

「同じ物ばかり作っていて飽きないの?」

 作業の合間を見計らってバネッサが話しかけて来た。

 毎日休みなしに討伐を行うと事故が起こる可能性があるという事で、今日は休みの日になっている。

 ルフはハジメの足元で寝そべってお休み中だった。

「飽きる・・・・・・じゃあ聞くが、モンスターを狩るときに武器を振り回してばかりで飽きないのか?」

 それとは違う、という文句が来そうだが、ハジメにとっては同じことなので、そう聞き返した。

「それは、飽きる飽きないとは違うと思うけど・・・・・・」

「俺にとってはそれと同じことだ。ああ、そうか。訓練の素振りと一緒だろう。素振りに飽きてしまって途中で放り投げれば、成長はしない」

「ああ、そういう事ならわかるわ」

 中には素振りなど行わなくても強い者は強い、という者もいるだろう。

 だが、バネッサにとっては素振りは必要不可欠のものだ。

 その内、訓練専用の部屋を作ってもらおうと思っているが、そうした場所で行うのは主に素振りになる。

 相手がいることに越したことは無いが、だからといって素振りが必要ないというわけではない。

 

 バネッサがこんな話をしてきたのは、実は何もすることが無いからだとハジメは考えていた。

 何しろ今の拠点には、娯楽のための物が何もないのだ。

 それこそ訓練施設のような場所を作れば、バネッサならそこに行くかもしれないが、そもそも休日と言うわけでやすんでいるので、訓練をしたら意味がない。

 なんだかんだといって、ハジメもイリスもほとんど休みもなしに、今まで活動してきた。

 ここらで娯楽に関して考えてもいいかもしれない。

 バネッサと話をしながらそんなことを考えるハジメであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 その日の夕食を終えた後に、イリスとバネッサにモニターの前に来てもらった。

 ハジメ以外のメンバーの空きスキル枠が貯まっているので、いい加減に決めてしまおうと考えたのだ。

「と、言うわけで、まずはルフからなんだが・・・・・・」

 通訳代わりのイリスがいるとはいえ、完全にコミュニケーションを取ることは不可能なので、ハジメが決め打ちで決めてしまうことにした。

 一応イリスに確認を取ってもらったが、ルフもそれで構わないという事だった。

 早速新しいスキルを取得させようとステータスを確認すると、<噛みつき>スキルが<master!>になっていた。

 以前見た時はLV9だったのだが、LV10になると同時にマスターしたらしい。

 <master!>がクリックできるようになっていたので、クリックしてみると新しいスキルが出現していた。

 <牙撃>というのが、<噛みつき>の上位互換になっていた。

 他には何も出ていなかったので、そのまま素直に<牙撃>を選択する。

 画面が前のステータス画面に戻り<噛みつき>だった場所が、<牙撃>に置き換わっていた。

 上位互換した場合は、特にスキル枠を新たに埋めるわけではなく、前の物と置き換わるだけなので、ルフの空きスキルは以前と変わらず三つ空いている。

 一つは予備用に開けて置くことにして、残り二つ分を何にするかだが、物理攻撃一つと魔法攻撃一つにすることにした。

 というわけで、物理攻撃は体当たりを、魔法攻撃は水魔法を覚えさせた。

 

 次はイリスの番だが、これはすんなり決まった。

 収穫した物を入れるのに便利な<収納>スキルがまず一つ。

 もう一つは、<収穫>というスキルだ。

 これは、イリス以外のスキル欄には出ていなかったスキルだ。

 恐らく農婦(又は農夫)だけが覚えられるスキルなのだろう。

 内容としては、指定した収穫物を一定の範囲内のみ勝手に収穫してくれるという物だった。

 収穫してくれた収穫物は、スキル使用者の<収納>内に入るらしい。

 指定できる収穫物の数と収穫できる範囲は、レベルによって増えて行く。

 収穫物が入る場所が<収納>に指定されていることから、恐らくこのスキルを覚えたために取得可能なスキルとして表示されたのだろう。

 農婦はレア職業ではあるが、作成師のようにユニークではないということは確認できている。

 単純に選択されている人数が少ないだけだ。

 そのため、このスキルに関しての情報を掲示板に載せておいた。

 これらのスキルを覚えたことにより、農産物も安定的に作れるようになる。

 そうすれば、パティのところにも卸せるようになるだろう。

 

 最後がバネッサだったが、彼女に関してもさほど悩まずに決めることが出来た。

 バネッサ自身も<収納>スキルを希望していたので、まずそれで一つ。

 もう一つは、魔法を攻撃スキルとして使用する場合には、魔力操作があったほうが良いという情報が掲示板にあったのにそれにした。

 魔力操作は、攻撃手段としての魔法だけではなく、生産職でも使えるスキルらしいので、何れはハジメも覚えるつもりだ。

「何でも、レベルが上がると戦闘を止めないで魔法を使う事が出来るようになるらしい」

「へえ。それは使えるわね。魔法を使うときは、一々手を止めないと使えなかったから」

「そうなのか。あれ? でも、ルフは?」

 ルフも魔法スキルは覚えている。

 だが、ルフがスキルを使う際は、当然ながら呪文を唱えたりはしていない。

「言われてみれば・・・・・・けど、わからないわね」

 バネッサは、ルフと一緒に討伐に向かう事がほとんどだ。

 当然だが、その際にルフが呪文を唱えている所など見ていない。

「呪文の省略か・・・・・・何か方法があるのか、もしくは種族によって違うのか。少し調べてみるか」

「そうね」

 ハジメが提案すると、バネッサも頷いた。

 もちろん調べる情報源は、掲示板になる。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 掲示板で調べてみたのだが、結論から言えばよくわからなかった。

 魔力操作があれば、魔力の扱いに長けるため、魔法職にはほぼ必須と言う結論が出ていた。

 だが、呪文に関しての情報は、様々な意見があってどれも正しく感じたのだ。

 一番有力な説は、種族によって魔法の扱いが変わってくるのではないか、というものだ。

 ヒューマノイドに近ければ当然魔法の扱いも同じになるが、ルフのような獣タイプになると全く別の系統になるというものだ。

 獣人たちは、獣たちとある程度の意思の疎通が出来るが、そもそもの根源から魔法の扱いが違っているので、説明を聞いても認識のすり合わせが難しい。

 そのために、話を聞いてもよくわからない、もしくは全く意味が別の物になってしまう。

 それに関しては真偽のほどは分からないが、ヒューマノイド種が魔法を使う場合は、呪文を省略は可能であることはわかった。

 ハジメが知っている限りの話と同じように、当然訓練する必要はあるのだが。

 理想は呪文なしなのだが、かなりの技術が必要になるとのことだった。

 更に呪文の省略には、スキルレベルも上げなといけないのではないかと推測されていた。

 推測で収まっているのは、未だに呪文を省略して使えたという報告がないためである。

 現在、最前の魔法使い職で主流になっているのは、短縮呪文と言われる技術だった。

 これも良くラノベなどに出てくるものと変わらない。

 本来の呪文を短くして魔法を使えるようにする技術だ。

 戦闘中に長々と呪文を唱えるよりは、短縮したほうが遥かにましだという事なのだろう。

 

「なるほどね。呪文省略はあるのね」

「スキルレベルは関係あるのでしょうか?」

 魔法に関しては、戦闘非戦闘に限らず必要になる。

 呪文省略が使えれば、便利になることは間違いながないために、イリスもバネッサも興味があるようだった。

「スキルレベルは関係ないみたいだが、やはり練習は必要なようだな」

 掲示板を見る限りでは、数をこなせ、と記載してあった。

 結論を言えば、数をこなせば何とかなるようだった。

「やはり練習する場所は必要ですね」

「そうだな。訓練所設置するか」

「そうしましょう!」

 満場一致で訓練所を設置することが決まった。

 訓練所は、購買の中にいくつか種類がある。

 GPが高額なものになると、団体戦の訓練さえできるような大きさの物もあったが、ハジメたちには今のところ必要がない。

 目的は魔法の訓練なので、魔法の攻撃にも耐えられるような物にしておいた。

 それなりのGPがかかったが、必要経費なのでまた稼げばいいだけだろう。

 

 訓練所を設置した後は、皆で様子を見に行くことにした。

「これが訓練所か」

「思ったよりも広いですね」

「練習! 早速練習!」

 購入した訓練所は、体育館くらいの広さがあった。

 大きさ的には中規模クラスの物を選んだのだが、これよりもさらに大きいものになるとどれほどになるのだろうか。

 団体戦用と言うのもまんざら嘘ではないらしい。

 それはともかくとして、訓練所の端っこには的らしき物も設置されえていた。

 早速その的を狙ってバネッサが魔法を打ち込んでいた。

「あら? なかなか難しいわね」

 訓練所の端から端までかなりの距離があるので、なかなか的に当てられないようだった。

 ようやく一つ当てた後に、その的と周辺を確認しに行った。

「かなり丈夫なようだな」

 的には中った形跡があるが、壊れるというほどではない。

 的に当たらずに周辺の床とかにも当たっていたはずなのだが、目立った傷は見当たらなかった。

 この分なら思いっきり攻撃魔法の練習も出来るだろう。

 その後も、しばらくの間、皆で攻撃魔法の訓練を行った。

 新しい施設を手に入れて、若干浮足立つ一同なのであった。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:作成師クリエイターLV29(1up)

 体力 :2202(+51)

 魔力 :3439(+85)

 力  :96(+7)

 素早さ:120(+10)

 器用 :250(+20)

 知力 :150(+15)

 精神力:181(+12)

 運  :9

 スキル:調合LV12(1up)、魔力付与LV10、鑑定LV8、俊敏LV6、短剣術LV5、風魔法LV5、収納LV9(1up)、宝石加工LV8(1up)、装飾作成LV6(1up)、光魔法LV2(New!→1up)、闇魔法LV2(New!→1up)、空き×1

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:狼LV24(1up)

 体力 :4842(+152)

 魔力 :1493(+52)

 力  :301(+15)

 素早さ:188(+7)

 器用 :88(+5)

 知力 :107(+5)

 精神力:106(+6)

 運  :10

 スキル:噛みつきLV10⇒牙撃LV1(New!)、威圧LV9(1up)、俊敏LV9、気配察知LV9(1up)、収納LV7、火魔法LV7(1up)、魔力操作LV9(1up)、報酬LV7、体当たりLV1(New!)、水魔法LV1(New!)、空き×1

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農夫ファーマー(一人前)LV23(2up)

 体力 :3584(+241)

 魔力 :1924(+79)

 力  :169(+10)

 素早さ:57(+6)

 器用 :157(+11)

 知力 :88(+6)

 精神力:107(+8)

 運  :10

 スキル:栽培LV11、料理LV7(1up)、棍棒術LV5、怪力LV8、採取LV11(1up)、成長促進LV8、水魔法LV8(1up)、採掘LV6(1up)、地魔法LV7(1up)、収納LV1(New!)、収穫LV1(New!)、空き×1

 職業スキル:種子作成

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦士LV21(2up)

 体力 :2795(+266)

 魔力 :1386(+121)

 力  :116(+12)

 素早さ:75(+7)

 器用 :53(+7)

 知力 :69(+8)

 精神力:51(+5)

 運  :10

 スキル:剣術LV10(1up)、槍術LV5(1up)、弓術LV6、体術LV9(1up)、火魔法LV1(New!)、風魔法LV1(New!)、魔力操作LV1(New!)、収納LV1(New!)、空き×1

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