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第二十六話

「それじゃあ大先生、あっしらはこれで。この御恩は一生忘れやせん。」

「おう。もう悪いことすんなよ。」

「へい。よーしおめぇら、解散解散!」


大体パーティー単位で解散する盗賊団改め冒険者の連中。ローブの面倒はこっちで見ておくと言ってギルドカードを見せたら、あまり驚かずに


「やっぱすげぇ人って居るんすねぇ。世界は広ぇや。……先生のことは大先生が居りゃぁ大丈夫そうっすね。」


なんて言っていた。先生なんて呼んでいた割にこの残念ローブが被保護対象なのは分かっているらしかった。本人は理解してなかったが。


連中を開放してよかったか考えたが、元々人を傷つけずに魔法で圧倒、金品だけもらってすたこらさっさという愉快な盗賊団しか予定がなかったらしいので、害は無いだろうと思う。


「いやぁー、なかなか異世界の人にしては面白い人達だったね。」

「ソーデスネー、それにしても異世界人って言ってるってことは、やっぱりあんたトリッパーか。」

「そういう君もだろうね。見た目で大体、それと言動でわかるよ。しかしその呼称は如何なものかな?何と言うか、薬物中毒者に語感が似ていないかい?」

「ああ、うん。俺もそれは思った。」


やっぱりトリッパーは不評か。まあ押し通せば問題なかろうなのだァァァァッ!!


「まああの会場には結構な人数がいただろうし、何時かは遭遇すると思っていたんだけど、まさか同類の、しかも特化型のチートとはね。」

「?あんたのチートは魔法系のチートだろ?」

「うん。MP無限っていうチートさ。まさかOKとは思わなかったけど、特化型があれだけ強いなら納得だ。ずばり君のチートは……」


バーンとか聞こえてきそうなポーズを取り、此方に指を突きつけてローブが言った。


「指パッチンで自由に炎を操れる某大佐みたいなチートだろう!」

「違います。」


空気が固まる。何だこの残念な生き物、物凄いドヤ顔オーラで全くの的外れ回答を出してきたぞ。というかMP無限ってお前かぁぁぁー!


「あれー?じゃあ魔法の威力増幅とか?」

「ハズレ。」

「あ、指パッチンがいらないだけ?」

「それも違う。」

「じゃあなんなのさ?わけがわからないよ。」


若干むくれたオーラでこっちを見てくる。俺としてはそのローブのほうがわけがわからないよ。中は見えないし一体どうなってるんだ?


「生憎、ほぼ初対面の相手に自分の能力をべらべらと話す趣味は持ち合わせていなくてね。顔すらわからないのに信用とか、ね。」

「うぐっ。納得できるしなんかカッコいい。」


冗談交じりにいじってみたら、なんか納得された。いや、別に教えても良かったんだけどね?何となく意地悪したくなる時ってあるだろ?


「まあとりあえずギルドに登録にでも行くか。してないんだろ?」

「し、失礼にゃ。これでもランクAのスゴ腕冒険者なんだぞ!」

「噛んでるし、この世界のギルドのランク分けは色だぞ?」

「はぅっ。」


なぜ見栄を張ったし。さっきより上がってるぞ。まあ同郷?なわけだし親切に扱ってやることもやぶさかではない。なんていい人なんだろう、俺。というかローブって俺より年上の可能性が高いわけだが、一々残念というか、くぐもっていても若いっぽい高い声と合わさって俺より年下に思える。


「ま、まあいいじゃないかそんなことは。さっさとギルドに行こう。」


ごまかすように歩き出すローブ。確かに街の中にあるんだろうが……


「ギルドの場所わかってるん?」

「」


聞いた途端固まった。ギギギとか聞こえてきそうな感じでこっちを振り返る。行ったことない場所を知ってるわけがないよな、そりゃ。本当に残念なやつだ。

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