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第十九話

街の散策、と言っても元の世界と違う建物やらの見物や食料の買い込みがほとんどだったが、を終え宿に帰る。道中絡まれたりもしたが、全部スルーしておいた。


宿で飯を食っている時は絡まれなかったが、周りがヒソヒソとこっちを見て言っているのはうんざりした。気にしなきゃ良い話だけど、ヒソヒソ話すなら直接来いよ。無視するけど。


翌日からは一日中図書館に引きこもる生活を続けた。どうせ知らない事もまだまだ多いし、常識を学ぶのも大切なことだと思う。働かずに食う飯と言っても狩りで手に入れた金を使ってるわけだし問題ない。ニートとは違うのだよ、ニートとは。


そんな風に五日間過ごし、朝は早めに南の門に着いた。三台の馬車にいくらか人が集まっているが、まだ出発までは時間があるようだ。


「おや?こんなところにどうしたんですか?何かの連絡でしょうか。」


なんというか若干小太りの、しかし嫌な感じのしない上品な太り方とでも言うのだろうか、おっさんが話しかけてくる。


「いえ、商隊の護衛依頼を受けてるんすけど。」

「ふむ、そうなんですか?おかしいですね、今回の護衛依頼はランクが銀以上の人間を募集することに変更になったはずでは……ええと、君のランクはいくつですか?」

「虹っす。」

「はい?すみません、少々聞き取りづらかったのでもう一度言っていただけますか?」

「だから虹だってっす。」


まどろっこしいのでギルドカードを見せる。こういう時に見せるだけで相手に伝わるって言うのは便利だな。


目の前のおっさんは少し固まった後、噂がどうとかブツブツ言った後に


「そうですか。では今回はよろしくおねがいしますね。」


そう言って手を差し出してきた。別にこの人の護衛ではなく商隊の護衛なんだからいらないんじゃないかと思いつつも、とりあえず握手に応じておく。


「馬車ってこれだけっすか?もっと荷物とか多いんじゃ……」

「いえ、今回の募集は規模よりもむしろ運ぶ物のほうが理由ですからね。と言っても十人以上居ますから結構な量ですよ?」


若干会話がちぐはくな気もするが、そう言えばアイテムボックスがあるから荷物にスペースは取らないんだったな。それにしても募集の理由って、さっきの銀以上って奴のことかな?そんな貴重品を運ぶんだろうか?


「物って言うと、何か危険なものでも?」

「ええと、一応機密なんですが、噂通りなら本人ですしね……ちょっと耳を。」


本人?なんじゃそらと思いつつも耳を近づけると、周りに聞こえないような声でおっさんが


「ドラゴンの素材ですよ。」


と言った。ああ、そりゃ本人って俺だわな、間違いなく。にしてもそんなことを機密事項にする必要あるのかね?ざっと五頭分の素材だったはずだが。というかなんでギルドに売った素材を商人が持ってるんだ?


納得したり疑問に思ったり、そんな思考が顔に出ていたのだろうか、おっさんが続ける。


「ああ、ギルドが買い取った素材をドワーフのお偉いさんが買い取ったらしくてですね、そのお陰で本来の商隊に合わせて私が運ぶことになったり、護衛のランクを上げたりしたんですよ。」


依頼を受けた時は何も言われてなかったし、ドラゴンの素材運搬なんて無かったんだろうか。それも見越してこの依頼を受けさせたんだとしたら、ギルドマスターさんは何と言うか、やり手?食えない?そんな感じのおじいさんだ。


「そうなんすか。大体わかったっす、あざっす。」

「いえいえ、それほどのことでも。」


私が運ぶとか機密とか言ってたあたり、このおっさんはそこそこ偉い人なんだと思う。なんか言葉遣いも丁寧だし、そこはかとなく上品さが漂っている気がする。


「おーい、護衛依頼を受けた奴らは集まってくれ!」


そんな声が聞こえたので、おっさんに会釈してそっちに向かう。一体何の用だろうか?

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